認知行動療法は,行動療法と認知療法が統合したものです。
認知行動療法の特徴は,ゆがんだ信念を変えることなどにあります。
その信念から出てくる思考である自動思考(私は必ず失敗すると思うことなど)を課題を通して変化させていきます。
それでは,今日の問題です。
第33回・問題14
認知行動療法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 セラピストは,クライエントが独力で問題解決できるように,クライエントとの共同作業はしない。
2 他者の行動観察を通して行動の変容をもたらすモデリングが含まれる。
3 クライエントは,セッション場面以外で練習課題を行うことはない。
4 リラクセーション法は併用しない。
5 少しでも不快な刺激に曝すことは避け,トラウマの再発を防ぐ。
問題づくりが下手なので,選択肢1,3,4は知識がなくても消去できそうです。
しかし,それらも含めて解説します。
1 セラピストは,クライエントが独力で問題解決できるように,クライエントとの共同作業はしない。
認知行動療法では,クライエントと共同作業で進んでいきます。
具体的には,構造化された面接を通して行われます。この作業を通して自動思考が変化していきます。
2 他者の行動観察を通して行動の変容をもたらすモデリングが含まれる。
これが正解です。
認知行動療法の中には社会生活技能訓練(SST)があります。
SSTでは,場面設定してロールプレイを行います。
その時に,まずスタッフが演じ,クライエントがそれを真似て演じます。これがモデリングです。
また,ほかの参加者が演じたものを観察することで社会生活技能を高めていきます。これもモデリングです。
3 クライエントは,セッション場面以外で練習課題を行うことはない。
認知行動療法は,学習理論を応用したものなので,繰り返しの訓練が必要です。
セッション以外でも練習課題を行います。
4 リラクセーション法は併用しない。
リラクセーション法は,心身をリラックスさせる心理療法です。
認知行動療法だけではなく,どんな心理療法でも併用します。
5 少しでも不快な刺激に曝すことは避け,トラウマの再発を防ぐ。
認知行動療法には,暴露療法というものもあります。
暴露療法では,不安に思う場面にあえて,さらして慣れていくものです。
下手にやるとトラウマの再発が起きます。
心理療法は,暴露療法に限らず,熟達したセラピストだけが行うことができます。
そのため,社会福祉士が心理療法を行うことはありません。そういったことから,国家試験で出題されるのは,本当にそれぞれの特徴だけです。詳細な知識がなくとも対応可能です。