地域相談支援は,精神科病院や入所施設で生活している精神障害者などが地域で生活するための相談支援です。
地域相談支援には,地域移行支援と地域定着支援があります。
地域移行支援は,病院や施設から地域生活に移行するための支援を行います。
地域定着支援は,地域生活を継続するための支援を行います。
地域相談支援は,指定一般相談支援事業者が行います。
指定するのは都道府県です。
それでは,今日の問題です。
第35回・問題60
事例を読んで,この段階においてU相談支援事業所のM相談支援専門員(社会福祉士)が行う支援の内容として,次のうち最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
U相談支援事業所のM相談支援専門員は,V精神科病院の地域医療連携室に勤務するA精神保健福祉士から,精神障害者のBさん(50歳代)の今後の生活について,相談を受けた。Bさんは,V精神科病院において約10年にわたって入院生活を送ってきた。現在,症状は安定しているが,身寄りもなく,帰る場所もない状態であり,聞かれれば,「可能なら就労したい」と答える。そこで,M相談支援専門員は,A精神保健福祉士と連携しつつ,Bさんとの定期的な面接による相談を行い,これからの生活を一緒に考えることになった。
1 地域移行支援による退院支援
2 地域定着支援による退院支援
3 公共職業安定所(ハローワーク)を利用した求職活動の支援
4 障害者就業・生活支援センターによる職業準備訓練を受けるための支援
5 後見開始の審判申立て支援
事例問題は,事例の中に答えにつながる情報があります。
それを押さえることが大切です。
Bさんは,精神科病院に10年以上入院しています。
このことから,絶対に対象にならないのは,「2.地域定着支援」です。
地域定着支援は,地域生活を継続するための支援だからです。
「5 後見開始の審判申立て支援」は,Bさんの症状は安定しているという情報やBさんの受け答えの様子から,この時点で必要ないと考えられます。
地域移行支援と就労支援ではどちらが「この段階において」最も適切なものとなるでしょうか。
正解は,地域移行支援です。
病院に入院しながらの就労はあり得ないからです。
ということで,正解は「1 地域移行支援による退院支援」です。
なお,障害者就業・生活支援センターは,地域生活している人に対して,就業面と生活面の一体的な支援を行います。入院中の障害者は対象となりません。
〈障害者就業・生活支援センターの業務〉
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就業面での支援 |
生活面での支援 |
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○就業に関する相談支援 ・就職に向けた準備支援(職業準備訓練,職場実習のあっせん) ・障害者の特性、能力に合った職務の選定 ・就職活動の支援 ・職場定着に向けた支援 ○雇用管理についての事業所に対する助言 |
○日常生活・地域生活に関する助言 ・生活習慣の形成,健康管理,金銭管理等の日常生活の自己管理に関する助言 ・住居,年金,余暇活動など地域生活,生活設計に関する助言 |