2024年12月21日土曜日

集団の力学に関する基礎理論~チーム

 今回は,チームについて学びます。


集団の力学と聞くととても難しそうに感じるかもしれませんが,落ち着いて消去していけば,正解できる問題が大半です。


それでは,今日の問題です。


第27回・問題122

チームに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 チームとは,共通の目標や職務の遂行のために,相互に依存し,協力し合う二人以上の人々からなる境界の明瞭な集合体である。

2 チームの業績は,メンバーによる努力の投入量の総和とほぼ同じになる。

3 遂行するタスクが多様なスキルや判断を必要とする場合には,チームよりも個人の方が高い業績を上げることができる。

4 短期的目標や各自の役割・責任の配分などがあらかじめ組織の管理者によって統制されているチームを,自己管理型チームと呼ぶ。

5 チームメンバーの人数が多いほど,建設的な交流が促進される。


問題をザーッとみると,とても難しく感じる人もいるでしょう。


ここでひるむ人は,試験に負けます。

気持ちを強く持って問題を読んでいきます。


わからないものがあれば,△を付けます。


それでは,解説です。


1 チームとは,共通の目標や職務の遂行のために,相互に依存し,協力し合う二人以上の人々からなる境界の明瞭な集合体である。


結果的には,これが正解です。


しかし,これを選ぶのは,簡単ではありません。


ここは,冷静に△をつけます。


2 チームの業績は,メンバーによる努力の投入量の総和とほぼ同じになる。


チームに限らず,努力は結果に直結しないことは多くの人が知っています。

努力が結果にすぐ現れるのなら本当にどれだけよいかと思います。

だからこそ国試合格のためには適切な勉強が必要です。


過去3年の過去問を完璧に覚えても絶対に合格できません。それだけでは知識不足だからです。

そのため,努力していても,国試合格という結果を得ることは難しいと言えます。


3 遂行するタスクが多様なスキルや判断を必要とする場合には,チームよりも個人の方が高い業績を上げることができる。


チームよりも個人の方が適切な判断ができるのなら,カンファレンスは必要ないでしょう。ただの情報伝達の場に徹すればよいことになります。


個人では得られないメリットがあるからこそチームは存在します。



4 短期的目標や各自の役割・責任の配分などがあらかじめ組織の管理者によって統制されているチームを,自己管理型チームと呼ぶ。


「自己管理型チームって何? 聞いたことない。わからない」と思ったらだめです。


落ち着けばわかります。


日本語は推測することができるからです。


自己管理型チームは,メンバー個々が自律的に自分を管理するチームではないかという推測です。そしてその推測は正解です。



5 チームメンバーの人数が多いほど,建設的な交流が促進される。


この出題パターンの場合は,極端な例を考えます。


多いほどですから,1人よりも2人,2人よりも3人,3人よりも4人,・・・・・・,

9,999人よりも10,000人,・・・・・・,100万人よりも100万1人・・・。

といった具合です。


人数には適正な数があります。


ここまで極端だとしなくても,10名のグループワークなら,発言力の強いがいた場合,その人の独壇場となることでしょう。


別な言い方をすれば,人数が多くなると「社会的手抜き」が生じます。


選択肢1以外は,消去することができます。


その結果として,△をつけておいた選択肢1が残ります。



<今日の一言>


今日の問題は,知識がなくても正解できるものです。

受験生に差がつきにくいので,適切な問題ではないと言えます。


しかし,別な見方をするとこういった問題でミスするわけにはいきません。


確実に正解するためには,少々わからない言葉があっても,大体の見当をつけることが大切です。

この問題の中では「自己管理型チーム」がそれにあたります。


ここで「わからない,お手上げ」と思うと正解にたどり着くことができません。

勉強しているときは,わからなければ調べることができます。


しかし国試は,それはできません。


そのため,大体の見当をつけることは極めて重要なことなのです。

理解しないと気が済まない,という性格の人は特に気を付けなければなりません。

2024年12月20日金曜日

組織に関する基礎理論~組織学習とは?

 

組織学習とは,組織が変化し発展していくことをいいます。


それでは,さっそく今日の問題です。


第25回・問題121 

組織学習論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 アージリス(Argyris,C.)は,既存の枠組みとは異なる新しい可能性を探る組織の学習形態をシングルループ学習と呼び,組織が継続的に学習する上で必要であると指摘している。

2 他組織の成功体験や先進事例から学び,自組織に取り入れることは組織学習には含まれない。

3 ヘドバーグ(Hedberg,B.)は,組織にとって時代遅れとなったり,有効性が失われた知識を棄却するプロセスをアンラーニング(unlearning)と呼び,これが望ましい組織学習の上で欠かせないと考えた。

4 組織学習は,組織が短期的に適応していくプロセスについて説明するための概念である。

5 共通の専門知識と情熱によってインフォーマルに結びついた人々の集団である実践共同体(community practice)は,知識が生まれ共有される場にはならず組織の学習とは関係しない。



難易度はかなり高いです。人の名前は出てくるし,英語は出てくるし,そういったものが苦手な人は問題を読むのもいやになってくるかもしれません。


しかし,こういった問題では,人名がわからなければ正解できないことはまずありません。


何度も出題される人名なら,入れ替えたりしてそこを間違いポイントにすることもあります。しかし初めて出題される時に人名を入れるのは,その問題の正確性を高める意味が強く,その人名がなくても問題は成立します。


〔人名入り〕

1 アージリス(Argyris,C.)は,既存の枠組みとは異なる新しい可能性を探る組織の学習形態をシングルループ学習と呼び,組織が継続的に学習する上で必要であると指摘している。


3 ヘドバーグ(Hedberg,B.)は,組織にとって時代遅れとなったり,有効性が失われた知識を棄却するプロセスをアンラーニング(unlearning)と呼び,これが望ましい組織学習の上で欠かせないと考えた。


これらの文章は,人名を抜くとそれぞれ以下のようになります。


〔人名なし〕

1 シングルループ学習は,既存の枠組みとは異なる新しい可能性を探る組織の学習形態であり,組織が継続的に学習する上で必要である。


3 アンラーニング(unlearning)は,組織にとって時代遅れとなったり,有効性が失われた知識を棄却するプロセスであり,望ましい組織学習の上で欠かせない。


十分成立することがわかるでしょう。


ほとんど意味を持たない人名で引っ掛けられるのはもったいないことです。


さて,この問題の正解は,選択肢3


3 ヘドバーグ(Hedberg,B.)は,組織にとって時代遅れとなったり,有効性が失われた知識を棄却するプロセスをアンラーニング(unlearning)と呼び,これが望ましい組織学習の上で欠かせないと考えた。


かなり難しいです。

しかし,さっきの文章で考えてみましょう。


アンラーニング(unlearning)は,組織にとって時代遅れとなったり,有効性が失われた知識を棄却するプロセスであり,望ましい組織学習の上で欠かせない。


アンラーニングは,ラーニング(学習)なので,組織が変化し発展するためには,知識は棄却することも必要ではないかと想像できます。


これをすぐさま正解にはできないと思いますが,ほかのものを丁寧に読み込めば,結果的にこれが残ります。


それでは,ほかの選択肢も見てみましょう。


1 アージリス(Argyris,C.)は,既存の枠組みとは異なる新しい可能性を探る組織の学習形態をシングルループ学習と呼び,組織が継続的に学習する上で必要であると指摘している。


これもまた先ほど変換した文章で確認してみましょう。


シングルループ学習は,既存の枠組みとは異なる新しい可能性を探る組織の学習形態であり,組織が継続的に学習する上で必要である。


シングルループは,「一つの環」を意味しています。


それにもかかわらず,アンダーラインを引いたように


①既存の枠組み

②異なる新しい可能性を探る


という2つの要素が含まれています。


正しくは,シングルループ学習ではなく,ダブルループ学習です。


既存の枠組み → シングルループ学習

異なる新しい可能性を探る → ダブルループ学習


となります。



2 他組織の成功体験や先進事例から学び,自組織に取り入れることは組織学習には含まれない。


組織学習は,組織が変化し発展することです。


どんなきっかけであっても,組織が変化し発展することは組織学習です。

ゼロベースから新しいものを生み出すのは難しいものです。


手がかりとなるものや参考となるものがあって,そこを発展させた方が効率が良いと言えます。


研究論文を書くときに,先行研究を調べるのはそういった理由もあります。



4 組織学習は,組織が短期的に適応していくプロセスについて説明するための概念である。


組織学習が短期の適応か長期の適応かわからなくても,わざわざ「短期的」と限定するのは不自然さがあります。


そのため×はつけられるでしょう。


組織学習は,組織が変化し発展することなので,短期的に適応できたとしても,それで組織が変化し発展しなければ,組織学習とはなりません。


ということで,短期的な適応にとどまるものであれば,組織学習とはなりません。



5 共通の専門知識と情熱によってインフォーマルに結びついた人々の集団である実践共同体(community practice)は,知識が生まれ共有される場にはならず組織の学習とは関係しない。


なにこれって感じの問題ですね。

しかし,人と同じように組織も学習します。学習しない組織があるとすれば,それは共同体のようなものではなく,ある場所に偶然集まった集団ということになるでしょう。


共通の専門知識と情熱によってインフォーマル(非公式)に結びついた集団は,そこに新しい知識は生まれても不思議ではありませんし,むしろ新しい知識は生まれることの方が自然なことだと思います。


<今日の一言>













シングルループ学習とダブルループ学習を図示してみました。


既存の枠組みの中で変化・発展するのがシングルループ学習で,それでは対応が難しくなった時に新しい可能性を探るのがダブルループ学習です。


それぞれの周りは,赤い環になっていますが,これがループであり,変化・発展しながらそれぞれぐるぐる回っています。

2024年12月19日木曜日

組織に関する基礎理論~官僚制とは?

 

今回は,組織に関する基礎理論のうち,官僚制を取り上げたいと思います。

ウェーバーが提唱した官僚制は,組織を機能させる仕組みをいいます。

官僚組織に限定されたものではありません。


〈官僚制の特徴〉

  ①ルールの明確化

  ②上下関係の明確化

  ③文書主義

  ④家計と経営の分離

  ⑤職務の専門化と専門職員の採用


日本の近代化は,明治維新以降に行われました。明治政府を主導したのは,薩長出身の指導者ですが,そのうち長州藩は,徹底した文書主義が取られていました。大量の文書は現存し,そのおかげでその当時のことを詳しく知ることができます。


長州藩の文書主義が,明治政府でも生き続け,結果として日本の近代化が進んだことは,実に興味深いことです。


さて,それでは今日の問題です。


第25回・問題120 

組織構造や環境に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 あらゆる環境に適した組織化の唯一最善の方法が存在するという考え方を,コンティンジェンシーアプローチと呼ぶ。

2 外部環境が不確実であるほど,組織は多くの規則や手続きを備え,明白な階層構造を持ち,中央集権化された機械的な管理システムとなる傾向にある。

3 有機的な管理システムでは,仕事内容が専門分化され,垂直方向のコミュニケーションが多く見られる。

4 官僚制は,ルールや手続き,専門化と分業,権限の階層構造などの特徴を持ち,組織を有効に機能させる上で利点がある。

5 組織にとって,環境不確実性の低い状況とは,外部環境が複雑で不安定な場合をいう。




とても難しいものが並んでいます。


しかし,前説でわかるように正解は,選択肢4です。


4 官僚制は,ルールや手続き,専門化と分業,権限の階層構造などの特徴を持ち,組織を有効に機能させる上で利点がある。



官僚制が行き過ぎて,ルールを守ることが目的化することを,マートンは「官僚制の逆機能」と呼びました。


それでは,ほかの選択肢も見てみましょう。


1 あらゆる環境に適した組織化の唯一最善の方法が存在するという考え方を,コンティンジェンシーアプローチと呼ぶ。


コンティンジェンシー理論は,リーダーシップ理論のところで詳しく学びますが,方法論は状況によって変わるというものです。状況適合理論と訳されます。



2 外部環境が不確実であるほど,組織は多くの規則や手続きを備え,明白な階層構造を持ち,中央集権化された機械的な管理システムとなる傾向にある。


外部環境が不確実という状況は,変化が大きいことを指しています。

変化が大きい時は,変化に合わせて組織も有機的に変化していかなければなりません。


中央集権的な管理システムでは,判断するのに時間がかかりますし,また機械的であれば,変化に対応できないおそれもあります。



3 有機的な管理システムでは,仕事内容が専門分化され,垂直方向のコミュニケーションが多く見られる。


垂直方向のコミュニケーションが多くみられるのは,機械的な管理システムです。


5 組織にとって,環境不確実性の低い状況とは,外部環境が複雑で不安定な場合をいう。


これは引っ掛けです。


環境不確実性の低い状況は,外部環境が安定している状況

環境不確実性の高い状況は,外部環境が複雑で不安定な状況


今は冷静に読めると思いますが,国試会場では,こういったものは見落としがちです。



<今日の一言>


官僚制は,ウェーバーの提唱した支配システム(伝統的支配,カリスマ的支配,合理的支配)のうち,ルールによる支配システムである「合理的支配」をよりすすめたものです。


近代化によって,脱魔術化,あるいは世俗化というものがおきます。

近代以前は,神聖的なものが社会を支配していたのです。


官僚制と支配システム,そして官僚制の逆機能は,社会学と社会システムでも出題されるので,しっかり覚えておきましょう。

2024年12月18日水曜日

組織に関する基礎理論~ホーソン実験

組織管理の古典的方法として,科学的管理というものがあります。


標準的な作業量を定めて,それによって賃金を変えるという方法です。

20世紀の初頭の話です。テイラーという人が考えました。


さらに作業効率を上げる方法を探るために,1920~30年代にホーソン工場で実験が行われました。この実験をホーソン実験といいます。


この実験では,工場の照明などの物理的環境,賃金,休憩時間などの条件を変化させても,作業効率は変化しないことが明らかとなりました。

作業効率に影響があったのは,職場の人間関係でした。


ホーソン実践によって,組織管理における人間関係の重要性がクローズアップされたのです。ホーソン実験にかかわったのは,メイヨーやレスリスバーガーといった学者たちです。


それでは今日の問題です。


第22回・問題113 

組織理論に関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。

1 ウェーバー(Weber,M.)が挙げた官僚制に特有な機能様式は,官庁組織に関するものである。

2 テイラー(Taylor,F.W.)が挙げた管理の第一の目標は,従業員一人一人の賃金を一律に低く抑えることである。

3 メイヨー(Mayo,G.E.)やレスリスバーガー(Roethlisberger,F.J.)は,各作業者の態度は賃金などの作業条件に依存していると主張した。

4 バーナード(Bamard,C.)は,組織成立の要件を,相互に意思を伝達できる人々がおり,それらの人々が行為を貢献しようとする意欲をもって,共通目的の達成を目指すとき,としている。

5 サイモン(Simon,H.A.)は,一人の孤立した個人は,極めて合理性の程度の高い行動をとることが可能であると主張した。


またまた人名のオンパレードです。


今は参考書に書かれている内容ばかりなので,ちゃんと勉強した人ならそれほど難しくは感じないかもしれません。

しかし,実際に受験した人は,とてつもなく難しいと感じたことでしょう。

この問題の正解は,選択肢4です。


4 バーナード(Bamard,C.)は,組織成立の要件を,相互に意思を伝達できる人々がおり,それらの人々が行為を貢献しようとする意欲をもって,共通目的の達成を目指すとき,としている。


これをすぐ正解にすることは難しいです。


ほかの選択肢を消去することで,この選択肢が残るように作られた問題です。


それでは,ほかの選択肢を消去していきましょう。


1 ウェーバー(Weber,M.)が挙げた官僚制に特有な機能様式は,官庁組織に関するものである。


実際に出題されたときは,「ヴェーバー」とドイツ語読みで出題されていました。


官僚制は,前回学んだように,組織を機能させる仕組みであり,管理組織に限ったものではありません。


2 テイラー(Taylor,F.W.)が挙げた管理の第一の目標は,従業員一人一人の賃金を一律に低く抑えることである。


テイラーが提唱した「科学的管理」は,標準的な作業量を定めて,それ以上の作業を行った人は高い賃金,それ以下の人は低い賃金を支給する管理手法です。



3 メイヨー(Mayo,G.E.)やレスリスバーガー(Roethlisberger,F.J.)は,各作業者の態度は賃金などの作業条件に依存していると主張した。


メイヨーらが行ったホーソン実験の結果,明らかとなったのは,照明などの物理的条件,賃金,休憩時間などが作業効率に関係せず,職場の人間関係が意欲に関係していたということです。



5 サイモン(Simon,H.A.)は,一人の孤立した個人は,極めて合理性の程度の高い行動をとることが可能であると主張した。


サイモンが主張したのは,一人ひとりの意思決定が関連しあって,組織として合理的な意思決定ができるということです。



<今日の一言>


この国試が実施された時点で,参考書に書いてあったのは,


ウェーバーの「官僚制」

テイラーの「科学的管理論」

メイヨーらの「ホーソン実験」


の3つです。


バーナードとサイモンは,この時初めて目にした人が多かったのではないかと思います。


正解は,バーナードの「組織成立の要件」となりました。


サイモンが消去できないことには,正解にはたどり着きません。

実は,国試は消去法で正解する問題が多くあります。


つまり考えることが必要なのです。


試験委員は,受験生が考えながら問題を解くように問題を作ります。


この問題の最大のポイントは,


サイモンです。


「孤立した個人」という言葉からは,ポジティブなイメージを受け取ることができません。

それにもかかわらず,「極めて合理性の程度の高い行動をとることが可能である」とポジティブなイメージの言葉で締めくくられています。


ここに違和感を抱くことでしょう。そして,それは間違いできないかと見当をつけることになります。


国試は,どんなに勉強しても知らないものが出題されます。


知っているものの中に正解があることもありますし,知らないものの中に正解があることもあります。


勉強不足だから知らないのではなく,試験委員がそのように問題を作っているからです。

国試に不合格になったとき「勉強不足だった」と思うことでしょう。


しかし,どれだけ勉強しても必ず知らないものは出題されます。

そこを乗り越えるのは,知恵です。


今日の問題はいかにもそんな問題だと思いませんか?

2024年12月17日火曜日

医療法人の運営

 

「福祉サービスの組織と経営」で出題されている法人は,

①社会福祉法人
②特定非営利活動法人(NPO法人)
③医療法人

の3つです。


今回は,医療法人を取り上げたいと思います。

第37回国試から新しいカリキュラムに移行します。

新しいカリキュラムの教えるべき内容は,以下のとおりです。

 







①福祉サービスに係る組織や団体の概要と役割

 







1 福祉サービスを提供する組織

・社会福祉施設の現状や推移

・各種法人の特性

・非営利法人,営利法人

・社会福祉法人,NPO法人,一般社団法人,株式会社

・福祉サービスと連携するその他の法人

・法人格を有しない団体(ボランティア団体)等

 

















社会福祉法人とNPO法人は,明記されていますが,医療法人は明記されていません。
そのため,医療法人が新しいカリキュラムで出題されることは少ないかもしれません。しかし,重要です。



それでは今日の問題です。

第26回・問題11 

社会福祉法人又は医療法人の経営に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 社会福祉法人は,病院や診療所を開設することはできない。

2 社会福祉法人は,介護老人保健施設を開設することはできない。

3 医療法人は,障害福祉サービス事業を経営することはできない。

4 医療法人は,保育所を経営することはできない。

5 医療法人は,特別養護老人ホームを経営することはできない。

 

まず先に社会福祉事業を考えてみたいと思います。

社会福祉事業には,第一種と第二種があります。

(経営主体)
第六十条 社会福祉事業のうち、第一種社会福祉事業は、国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則とする。


押さえるべきポイント

第二種社会福祉事業は,経営主体は限定されていません。
第一種社会福祉事業は,経営主体は限定されていることに着目しましょう。

それでは解説です。

1 社会福祉法人は,病院や診療所を開設することはできない。

社会福祉法人は,社会福祉事業だけではなく,病院や診療所も開設できます。

2 社会福祉法人は,介護老人保健施設を開設することはできない。

選択肢1と同じです。

3 医療法人は,障害福祉サービス事業を経営することはできない。

社会福祉事業には,第一種と第二種があり,第二種は経営主体は限定されません。

医療法人でも第二種であれば,経営できます。

4 医療法人は,保育所を経営することはできない。

保育所は規制緩和によって,現在は営利企業であっても経営することができます。


5 医療法人は,特別養護老人ホームを経営することはできない。


これが正解です。

特別養護老人ホームは,第一種社会福祉事業です。

もう一度確認しましょう。

(経営主体)
第六十条 社会福祉事業のうち、第一種社会福祉事業は、国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則とする。

原則は,原理と違って例外があります。

現在の例外は,日本赤十字社と厚生連(農協が実施するもの)です。しかし例外が出題されることはまずないでしょう。


<今日の一言>

法律は,その適用範囲はきっちり定められています。

ごちゃごちゃ考えるとわけがわからなくなるので,原点に戻って考えるのが良いです。

今日の問題で言えば,

(経営主体)
第六十条 社会福祉事業のうち、第一種社会福祉事業は、国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則とする。

が原点です。しっかり覚えておきましょう。

(余談)

医療法人の類型には「社会医療法人」があります。
地方公共団体が設置する病院・診療所が閉鎖されていく中,地域医療を支える役割を担うために創設されたものです。

認証されるための要件のハードルが高いですが,社会医療法人に指定されると,一部の第一種社会福祉事業の実施,税制面での優遇など,一般の医療法人にはない恩恵があります。

社会医療法人の見直しの中で,特別養護老人ホームの経営も検討されましたが,結局見送られて現在に至ります。

今日の問題の選択肢5は,こういった見直し論議を踏まえた上で出題されたものだと考えられます。

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