今回は,チームについて学びます。
集団の力学と聞くととても難しそうに感じるかもしれませんが,落ち着いて消去していけば,正解できる問題が大半です。
それでは,今日の問題です。
第27回・問題122
チームに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 チームとは,共通の目標や職務の遂行のために,相互に依存し,協力し合う二人以上の人々からなる境界の明瞭な集合体である。
2 チームの業績は,メンバーによる努力の投入量の総和とほぼ同じになる。
3 遂行するタスクが多様なスキルや判断を必要とする場合には,チームよりも個人の方が高い業績を上げることができる。
4 短期的目標や各自の役割・責任の配分などがあらかじめ組織の管理者によって統制されているチームを,自己管理型チームと呼ぶ。
5 チームメンバーの人数が多いほど,建設的な交流が促進される。
問題をザーッとみると,とても難しく感じる人もいるでしょう。
ここでひるむ人は,試験に負けます。
気持ちを強く持って問題を読んでいきます。
わからないものがあれば,△を付けます。
それでは,解説です。
1 チームとは,共通の目標や職務の遂行のために,相互に依存し,協力し合う二人以上の人々からなる境界の明瞭な集合体である。
結果的には,これが正解です。
しかし,これを選ぶのは,簡単ではありません。
ここは,冷静に△をつけます。
2 チームの業績は,メンバーによる努力の投入量の総和とほぼ同じになる。
チームに限らず,努力は結果に直結しないことは多くの人が知っています。
努力が結果にすぐ現れるのなら本当にどれだけよいかと思います。
だからこそ国試合格のためには適切な勉強が必要です。
過去3年の過去問を完璧に覚えても絶対に合格できません。それだけでは知識不足だからです。
そのため,努力していても,国試合格という結果を得ることは難しいと言えます。
3 遂行するタスクが多様なスキルや判断を必要とする場合には,チームよりも個人の方が高い業績を上げることができる。
チームよりも個人の方が適切な判断ができるのなら,カンファレンスは必要ないでしょう。ただの情報伝達の場に徹すればよいことになります。
個人では得られないメリットがあるからこそチームは存在します。
4 短期的目標や各自の役割・責任の配分などがあらかじめ組織の管理者によって統制されているチームを,自己管理型チームと呼ぶ。
「自己管理型チームって何? 聞いたことない。わからない」と思ったらだめです。
落ち着けばわかります。
日本語は推測することができるからです。
自己管理型チームは,メンバー個々が自律的に自分を管理するチームではないかという推測です。そしてその推測は正解です。
5 チームメンバーの人数が多いほど,建設的な交流が促進される。
この出題パターンの場合は,極端な例を考えます。
多いほどですから,1人よりも2人,2人よりも3人,3人よりも4人,・・・・・・,
9,999人よりも10,000人,・・・・・・,100万人よりも100万1人・・・。
といった具合です。
人数には適正な数があります。
ここまで極端だとしなくても,10名のグループワークなら,発言力の強いがいた場合,その人の独壇場となることでしょう。
別な言い方をすれば,人数が多くなると「社会的手抜き」が生じます。
選択肢1以外は,消去することができます。
その結果として,△をつけておいた選択肢1が残ります。
<今日の一言>
今日の問題は,知識がなくても正解できるものです。
受験生に差がつきにくいので,適切な問題ではないと言えます。
しかし,別な見方をするとこういった問題でミスするわけにはいきません。
確実に正解するためには,少々わからない言葉があっても,大体の見当をつけることが大切です。
この問題の中では「自己管理型チーム」がそれにあたります。
ここで「わからない,お手上げ」と思うと正解にたどり着くことができません。
勉強しているときは,わからなければ調べることができます。
しかし国試は,それはできません。
そのため,大体の見当をつけることは極めて重要なことなのです。
理解しないと気が済まない,という性格の人は特に気を付けなければなりません。