今回がリーダーシップ理論の最終回です。
今回は,コンティンジェンシー理論の一つである「パス・ゴール理論」と行動理論の一つである「マネジリアル・グリッド」を紹介したいと思います。
まずは,パス・ゴール理論です。
ブルームらの期待理論に基づき,魅力的なゴール(目標)に至る明確なパス(経路)を示すことがリーダーの役割だとします。
ブルームらの期待理論
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/08/20190808.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/08/20190809.html
パス・ゴール理論は,コンティンジェンシー理論です。
変化する状況として「環境的要因」と「個人的要因」を挙げています。
パス・ゴール理論では,リーダーの行動をこの図のように「指示型リーダーシップ」「参加型リーダーシップ」「支援型リーダーシップ」「達成志向型リーダーシップ」に分類していますが,現時点では,ここまで詳しく覚える必要性はないと言えます。
さて,次はマネジリアル・グリッドです。
マネジリアル・グリッドは,「人に対する関心」と「業績に対する関心」の2軸でリーダーシップのスタイルを分析するものです。
マネジリアル・グリッドでは「9・9型」が最も優れたリーダーシップであるとしています。「グリッド」は「格子」を意味しています。
PM理論を格子状に細かくしたものが,マネジリアル・グリッドだと押さえるとよいでしょう。
それでは,今日の問題です。
PM理論を格子状に細かくしたものが,マネジリアル・グリッドだと押さえるとよいでしょう。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題120
リーダーシップの理論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 パス・ゴール理論では,メンバーの目標達成のための道筋を明示することが,リーダーシップの本質であるとしている。
2 フィードラー理論に代表される「条件適合理論」において,リーダーの行動は「構造づくり」と「配慮」に集約される。
3 三隅二不二は,リーダーシップの行動面に注目して,集団の「目標達成行動」と「集団維持機能」の2次元で類型化したSL理論を示した。
4 カリスマ的リーダーシップでは,リーダーのスタイルを任務実行志向と人間関係志向に分類する。
5 マネジリアル・グリッドでは,「人に対する関心」と「業績に対する関心」の2軸で類型化し,「1・1型」が最も理想的なリーダーシップのスタイルであるとしている。
バランスのよい問題だと思います。
勉強不足の人は,まったく解けない問題でしょう。
難易度が高いので,勉強をしっかりした人でも正解するのは大変です。
しかし,こういった問題であっても,落ち着いてさえいれば,糸口は見つけられるので,決して焦ることはないです。焦ると問題文が正しく読めなくなるので要注意です。
さて,正解は,選択肢1
1 パス・ゴール理論では,メンバーの目標達成のための道筋を明示することが,リーダーシップの本質であるとしている。
2 フィードラー理論に代表される「条件適合理論」において,リーダーの行動は「構造づくり」と「配慮」に集約される。
3 三隅二不二は,リーダーシップの行動面に注目して,集団の「目標達成行動」と「集団維持機能」の2次元で類型化したSL理論を示した。
4 カリスマ的リーダーシップでは,リーダーのスタイルを任務実行志向と人間関係志向に分類する。
5 マネジリアル・グリッドでは,「人に対する関心」と「業績に対する関心」の2軸で類型化し,「1・1型」が最も理想的なリーダーシップのスタイルであるとしている。
バランスのよい問題だと思います。
勉強不足の人は,まったく解けない問題でしょう。
難易度が高いので,勉強をしっかりした人でも正解するのは大変です。
しかし,こういった問題であっても,落ち着いてさえいれば,糸口は見つけられるので,決して焦ることはないです。焦ると問題文が正しく読めなくなるので要注意です。
さて,正解は,選択肢1
1 パス・ゴール理論では,メンバーの目標達成のための道筋を明示することが,リーダーシップの本質であるとしている。
パス・ゴール理論を述べたそのままズバリの内容です。
それでは,ほかの選択肢はどこが間違っているのかを確認していきましょう。
2 フィードラー理論に代表される「条件適合理論」において,リーダーの行動は「構造づくり」と「配慮」に集約される。
条件適合理論=コンティンジェンシー理論では,リーダーの行動は,それぞれ異なります。
理論 |
状況 |
リーダーの行動スタイル |
フィードラー理論 |
人間関係,タスク内容,リーダー権限 |
仕事志向型(タスク志向型) |
人間関係志向型 |
||
SL理論 |
メンバーの習熟度,意欲 |
教示的リーダーシップ |
説得的リーダーシップ |
||
参加型リーダーシップ |
||
委任的リーダーシップ |
||
パス・ゴール理論 |
環境的要因,個人的特性 |
指示型リーダーシップ |
参加型リーダーシップ |
||
支援型リーダーシップ |
||
達成志向型リーダーシップ |
このようにまとめることができますが,リーダーの行動スタイルまでは覚えなくても,それぞれはコンティンジェンシー理論であることが理解できていれば,おそらく国試では答えられるはずです。
リーダーシップを「構造づくり」と「配慮」に分類したのは,オハイオ州立大学研究です。
3 三隅二不二は,リーダーシップの行動面に注目して,集団の「目標達成行動」と「集団維持機能」の2次元で類型化したSL理論を示した。
故・三隅先生の理論は,PM理論です。今は落ち着いて問題文を読んでいるので,SL理論をPM理論に読み間違うことはないと思います。
しかし,国試会場では,普段はしないようなミスをします。
この問題もPM理論と読み間違う恐れは十二分にあります。
4 カリスマ的リーダーシップでは,リーダーのスタイルを任務実行志向と人間関係志向に分類する。
任務遂行志向とは,おそらく仕事志向型(タスク志向型)と同意語です。
そうすれば,この2つに分類したのは,フィードラー理論だということになります。
しかしそれを正確にわかっていなくとも,カリスマ的リーダーシップは,もともとはウェーバーの支配システムであり,リーダーシップ理論ではないので,このような分類はしないだろうと想像することができるでしょう。
5 マネジリアル・グリッドでは,「人に対する関心」と「業績に対する関心」の2軸で類型化し,「1・1型」が最も理想的なリーダーシップのスタイルであるとしている。
マネジリアル・グリッドは,この時が初めての出題でした。
1のパス・ゴール理論を正解にできないとこの選択肢の正否を判断できないので,消去法で正解にたどり着くことができません。