2024年12月11日水曜日

ケースワークの原則

 

個別化 クライエントを他のクライエントと比べることなく,理解すること。

意図的な感情表出 クライエントが感情を表現することができること。

統制された情緒的関与 援助者が自分の情緒をコントロールできること。

受容 クライエントを受け止めること。

非審判的態度 クライエントを非難するような態度を取らないこと。

自己決定 クライエントが自己決定する主体であること。

秘密保持 クライエントに関する情報を漏らさないこと。


理解しにくいのは,「意図的な感情表出」と「統制された情緒的関与」でしょう。

 

感情を表出するのは,クライエントです。

情緒を統制するのは,ワーカーです。

これが逆だとおかしなことになってしまいます。

 

統制された情緒的関与ができるようになるには,ワーカーの自己覚知が欠かせません。

 

なぜなら,ワーカー自身の価値観がクライエントの話した内容を許せないものであったなら,ワーカーは混乱し,冷静にクライエントに接することができなくなってしまうかもしれないからです。

ワーカーは個人的にどのような価値観を持っていようが,ソーシャルワークには関係ないことです。

 

それを持ち込まないようにするのが,自己覚知であり,統制された情緒的関与です。

それでは,今日の問題です。

 

34回・問題116

バイステック(BiestekF.)の援助関係の原則に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 意図的な感情表出の原則とは,クライエントのありのままの感情を大切にし,その表出を促すことである。

2 統制された情緒的関与の原則とは,クライエント自身が自らの情緒的混乱をコントロールできるようにすることである。

3 個別化の原則とは,他のクライエントと比較しながら,クライエントの置かれている状況を理解することである。

4 受容の原則とは,ソーシャルワーカーがクライエントに受け入れてもらえるように,誠実に働き掛けることである。

5 非審判的態度の原則とは,判断能力が不十分なクライエントを非難することなく,ソーシャルワーカーがクライエントの代わりに意思決定を行うことである。

 

ケースワークの原則は重要ですが,国家試験で出題されたことは,実はそれほどありません。

 

この知識があることを前提にして,問題を解くのが基本です。

 

忘れた頃に出題するという感じでしょうか。

 

それでは,解説です。

 

1 意図的な感情表出の原則とは,クライエントのありのままの感情を大切にし,その表出を促すことである。

 

これが正解です。

 

「誰が感情を表出するのか」を正しく理解しておかないと正解できません。

 

2 統制された情緒的関与の原則とは,クライエント自身が自らの情緒的混乱をコントロールできるようにすることである。

 

自らの情緒的混乱をコントロールできるようにするのは,クライエントではなく,ワーカーです。

 

3 個別化の原則とは,他のクライエントと比較しながら,クライエントの置かれている状況を理解することである。

 

個別化の原則は,他のクライエントと比較しないことです。

 

4 受容の原則とは,ソーシャルワーカーがクライエントに受け入れてもらえるように,誠実に働き掛けることである。

 

受容は,クライエントをワーカーが受け入れることです。

 

5 非審判的態度の原則とは,判断能力が不十分なクライエントを非難することなく,ソーシャルワーカーがクライエントの代わりに意思決定を行うことである。

 

非審判的態度の原則は,クライエントを非難するような態度を取らないことです。

 

判断能力が不十分なクライエントを非難することなく,ソーシャルワーカーがクライエントの代わりに意思決定を行うことは,パターナリズム(父権主義)です。

 

〈今日の一言〉

 

今日の問題は,クライエントとワーカーをひっくり返して出題した内容が含まれています。

知識不足だと,引っ掛けられそうです。

 

感情を表出するのは,クライエントです。

 

情緒を統制するのは,ワーカーです。

 

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