今回は,社会資源を学びます。
社会資源とは,クライエントの福祉ニーズを充足するために用いられるすべてのものです。
フォーマルな社会資源とインフォーマルな社会資源に分けることができます。
なお,フォーマルとは「公式な」といった意味です。
フォーマルな社会資源 |
制度化されたもの。 例:介護保険サービス,障害福祉サービスなど。 |
インフォーマルな社会資源 |
制度化されていないもの。 例:家族,友人,地域住民,ボランティア,法人が提供する独自のサービスなど。 |
国家試験では,フォーマルな社会資源とインフォーマルな社会資源では,どちらを優先して活用するか,といったことが繰り返し出題されています。
さて,どちらを優先すべきなのでしょうか。あるいは,どちらを優先させなければならないのでしょうか。
そんな原理や原則は存在しません。
クライエントのニーズに沿って,柔軟に活用されるからです。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題111
ソーシャルワークで活用されるインフォーマルな社会資源の特徴に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 制度化されたサービスである。
2 利用者は,一定の手続と受給要件を満たす者に限られる。
3 利用者との私的な人間関係を通して,援助が提供される。
4 フォーマルな社会資源と比べ,提供されるサービスの継続性や安定性は高い。
5 フォーマルな社会資源と比べ,利用者の個別的な状況に対する融通性は乏しい。
この問題は,インフォーマルな社会資源の特徴が問われています。
家族,友人,地域住民,ボランティア,法人が提供する独自のサービスなどが,インフォーマルな社会資源でしたね。
それを押さえたところで,解説です。
1 制度化されたサービスである。
制度化されたサービスは,フォーマルな社会資源です。
2 利用者は,一定の手続と受給要件を満たす者に限られる。
利用者が一定の手続と受給要件を満たす者に限られるのは,フォーマルな社会資源です。
3 利用者との私的な人間関係を通して,援助が提供される。
これが正解です。
利用者との私的な人間関係とは,家族,友人,地域住民などを指しているものだと思われます。
4 フォーマルな社会資源と比べ,提供されるサービスの継続性や安定性は高い。
提供されるサービスの継続性や安定性が高いのは,制度化されたサービスであるフォーマルな社会資源です。
5 フォーマルな社会資源と比べ,利用者の個別的な状況に対する融通性は乏しい。
利用者の個別的な状況に対する融通性に乏しいのは,制度化されたサービスであるフォーマルな社会資源です。
家族や友人なら,無理してでも24時間ずっと付き添ってくれるかもしれません。フォーマルな社会資源では,そうはいきません。皆さんもそうでしょう?