2024年12月1日日曜日

事例問題の変更点

  

36回国家試験は,事例問題が若干変わったのに気づいているでしょうか。

 

今日の問題で取り上げている「L母子支援員(社会福祉士)」といった表記は,設問中のみとなり,事例中は「L」とだけ表記されます。


今後はこのようになるでしょう。

 

〈これまでのもの〉

 

33回・問題95

 事例を読んで,Z母子生活支援施設のL母子支援員(社会福祉士)の対応として,適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕

 Mさん(28歳)は夫のDVに耐え切れず,近所の人に勧められて福祉事務所に相談し,Aちゃん(7歳,女児)を連れでZ母子生活支援施設に入所した。Mさんには軽度の知的障害があり,療育手帳を所持している。入所後1か月が経過したが,Mさんは自室に閉じ籠もっていることが多い。また,他の入所者の部屋の音のことでトラブルとなったこともある。Aちゃんは精神的に不安定で学校を休みがちである。ある日,Mさんは,「ここに居ても落ち着かないので,Aちゃんを連れて施設を出たい」とL母子支援員に訴えてきた。

 

〈第36回版なら〉

 

 事例を読んで,Z母子生活支援施設のL母子支援員(社会福祉士)の対応として,適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕

 Mさん(28歳)は夫のDVに耐え切れず,近所の人に勧められて福祉事務所に相談し,Aちゃん(7歳,女児)を連れでZ母子生活支援施設に入所した。Mさんには軽度の知的障害があり,療育手帳を所持している。入所後1か月が経過したが,Mさんは自室に閉じ籠もっていることが多い。また,他の入所者の部屋の音のことでトラブルとなったこともある。Aちゃんは精神的に不安定で学校を休みがちである。ある日,Mさんは,「ここに居ても落ち着かないので,Aちゃんを連れて施設を出たい」とに訴えてきた。

 

ぶっきらぼうに感じると思いますが,慣れておきたいです。

この変更は,問題文の文字数を節約するためだと思われます。

 

事例問題に限らず,もう一つの変更点があります。

 

2つ選びなさい。

 

アンダーラインがついたことです。

アンダーラインがあっても,2つ選びことは忘れがちです。

 

細心の注意が必要です。

 

それでは,改めて今日の問題です。通常版です。

 

33回・問題95

 事例を読んで,Z母子生活支援施設のL母子支援員(社会福祉士)の対応として,適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕

 Mさん(28歳)は夫のDVに耐え切れず,近所の人に勧められて福祉事務所に相談し,Aちゃん(7歳,女児)を連れでZ母子生活支援施設に入所した。Mさんには軽度の知的障害があり,療育手帳を所持している。入所後1か月が経過したが,Mさんは自室に閉じ籠もっていることが多い。また,他の入所者の部屋の音のことでトラブルとなったこともある。Aちゃんは精神的に不安定で学校を休みがちである。ある日,Mさんは,「ここに居ても落ち着かないので,Aちゃんを連れて施設を出たい」とL母子支援員に訴えてきた。

1 Mさんの気持ちを受け止めた上で,これからの生活に対する希望を聴く。

2 母子分離を図るため,Aちゃんを児童相談所へ送致する。

3 Mさんには退所に関する意思決定は困難であると判断する。

4 退所の申出の背景にある施設での生活環境を探る。

5 すぐに福祉事務所に退所についての判断を仰ぐ。

 

この問題は,それほど難しくない問題でしょう。

 

注意すべきなのは,2つ選ぶことを忘れないことです。

 

それでは,解説です。

 

1 Mさんの気持ちを受け止めた上で,これからの生活に対する希望を聴く。

 

これが1つめの正解です。

 

ソーシャルワークの基本中の基本が正解となっています。

 

ここでホッとすると2つめを忘れてしまいます。国家試験は本当に怖いです。

 

2 母子分離を図るため,Aちゃんを児童相談所へ送致する。

 

これは,あまりに安易な対応です。

 

3 Mさんには退所に関する意思決定は困難であると判断する。

 

これも,あまりに安易な対応です。

 

4 退所の申出の背景にある施設での生活環境を探る。

 

これがもう一つの正解です。

 

5 すぐに福祉事務所に退所についての判断を仰ぐ。

 

これも,あまりに安易な対応です。

 

 

今日の問題と主旨がよく似た出題があります。

 

22回・問題103

 事例を読んで,特別養護老人ホームで働くL生活相談員(社会福祉士)による利用者Mさんへの対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 ある日の夕食時,一週間前に入所したばかりのMさんが,「こんな食事には,もう耐えられない」といって,食事への不満を訴えた。その場にいた介護職員がいくら勧めても,Mさんは食べようとしなかった。どうも食事のことだけではなさそうだと感じたL生活相談員は,すぐに担当の介護職員とともに,Mさんと個別面談の機会を持った。その席でMさんは,「本当は施設になんか来たくなかった。家族と一緒に暮らしたかった」と話した。

1 食事がおいしくないことをMさんにわび,我慢してほしいと頼む。

2 食事への不満を解消するために,Mさんの好物や希望する食事の内容を教えてもらう。

3 施設に早く慣れるために,Mさんには過去のことよりこれから先のことを考えてもらう。

4 すぐにMさんの家族に来所してもらい,今後についてMさんと話し合ってもらう。

5 施設での生活に対する気持ちや家族への思いを,Mさんに率直に話してもらう。

 

正解は選択肢5ですが,それ以外はあまりに安易な対応です。

 

今日の問題と違うのは,この問題では,

 

「本当は施設になんか来たくなかった。家族と一緒に暮らしたかった」と本当の気持ちを吐露してくれていることです。

 

今日の問題のほうが,このようなヒントがないために少しばかり高度です。

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