現在のところ(2024年12月)では,社会福祉士を配置しなければならないのは,地域包括支援センターのみです。
2005(平成17年)の介護保険の改正によって規定された地域包括支援センターは,それだけ専門的知識を持った専門職を必要としていたと言えるでしょう。
多くの職種では,社会福祉士あるいは社会福祉主事任用資格を持つものが任用資格となっています。
地域包括支援センター以外で,社会福祉士を配置しなければならない,という出題があった場合は,すべて誤りです。
それでは今日の問題です。
第33回・問題97
事例を読んで,多職種連携の観点から,この時点でのT市の地域包括支援センターのB社会福祉士の対応として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
担当地区の民生委員のCさんより,一人暮らしのDさん(80歳,男性)のことでT市の地域包括支援センターに相談の電話があった。Dさんは3か月ほど前に妻を亡くした後,閉じ籠もりがちとなり,十分な食事をとっていないようである。Dさんはこれまで要支援・要介護認定は受けていない。B社会福祉士がDさんの下を訪ねたところ,Dさんは受け答えはしっかりしていたが,体力が落ち,フレイルの状態に見受けられた。
1 法定後見制度の利用を検討するため,弁護士に助言を求める。
2 サロン活動の利用を検討するため,社会福祉協議会の福祉活動専門員に助言を求める。
3 日常生活自立支援事業の利用を検討するため,介護支援専門員に助言を求める。
4 介護老人福祉施設への入所を検討するため,医師に助言を求める。
5 栄養指導と配食サービスの利用を検討するため,管理栄養士に助言を求める。
この問題のポイントは,「多職種連携」です。
多職種連携でなければ,どんなに適切な対応であったとしても正解にはなりません。
事例問題は,設問に注意しなければなりません。ただしこの問題の場合は,すべて多職種連携となっています。そのうえで,どの職種にどんな助言を求めるのが適切なのかを考えます。
それでは,解説です。
1 法定後見制度の利用を検討するため,弁護士に助言を求める。
受け答えはしっかりしていたという情報から,成年後見制度の利用の優先度は低いと考えられます。
2 サロン活動の利用を検討するため,社会福祉協議会の福祉活動専門員に助言を求める。
これが1つめの正解です。
閉じ籠もりがちという情報から,サロン活動の利用を検討するのは適切です。
3 日常生活自立支援事業の利用を検討するため,介護支援専門員に助言を求める。
日常生活自立支援事業のサービス内容
・福祉サービスの利用援助
・日常的金銭管理サービス
・書類等預かりサービス
これらを必要としている情報はありません。
また,Dさんは,要支援・要介護認定は受けていないので,助言を求める専門職として介護支援専門員は適切だとは言えません。
日常生活自立支援事業の利用を相談するなら,市町村社協の福祉活動専門員の方が適切です。
4 介護老人福祉施設への入所を検討するため,医師に助言を求める。
Dさんは,要支援・要介護認定は受けていません。
Dさんの状態は,体力が落ち,フレイルの状態に見受けられたというものなので,受けていたとしても要支援だと考えられます。
介護老人福祉施設への入所要件は,原則要介護3以上なので,現時点では,介護老人福祉施設への入所はできないと言えます。
5 栄養指導と配食サービスの利用を検討するため,管理栄養士に助言を求める。
これが2つめの正解です。
十分な食事をとっていないようであるという情報から,栄養指導と配食サービスの利用を検討するのは適切です。