成年後見人の職務は,身上監護と財産管理です。
法務省の資料によると,それぞれ以下のように説明しています。
身上監護とは,ご本人の生活や健康の維持,療養等に関する仕事です。例えば,ご本人の住まいの確保,生活環境の整備,施設に入所する契約,ご本人の治療や入院の手続を行うことですが,食事の世話や実際の介護などは含まれていません。 財産管理とは,ご本人の財産内容を正確に把握して財産目録を作り,ご本人の財産が保たれるように管理することです。具体的には,ご本人の預金通帳や保険証書などを保管し,年金や保険金などの収入を受け取り,ご本人に必要な経費の支払を行い,それらを帳簿につけて管理を行うことです。 |
それでは,早速,今日の問題です。
第35回・問題78
事例を読んで,成年後見人のLさんが,成年被後見人のMさんと相談の上で行う職務行為として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Mさん(70歳代)は,自身の希望で一人暮らしをしているが,居住地域は,介護サービス資源が少なく,交通の便の悪い山間部である。Mさんは,要介護2の認定を受け,持病もある。最近,Mさんは心身の衰えから,バスでの通院に不便を感じ,薬の飲み忘れも増え,利用中の介護サービス量では対応が難しくなってきているようである。Mさん自身も一人暮らしへの不安を口にしている。
1 自宅以外の住まいに関する情報収集
2 Mさんの要介護状態区分の変更申請
3 Lさんによる家事援助
4 Lさんによる通院介助
5 Lさんによる服薬介助
これを整理すると以下のようになります。
1 自宅以外の住まいに関する情報収集 |
身上監護 |
2 Mさんの要介護状態区分の変更申請 |
身上監護 |
3 Lさんによる家事援助 |
× |
4 Lさんによる通院介助 |
× |
5 Lさんによる服薬介助 |
× |
この問題は事例スタイルですが,成年後見人の職務を知らないと正解することは困難です。
身上監護にあたるのは,以下の2つです。
1 自宅以外の住まいに関する情報収集
2 Mさんの要介護状態区分の変更申請
つまり,この2つが正解です。