2023年3月10日金曜日

第37回国家試験で合格しよう!

社会福祉士の国家試験は,第37回から令和元年度の改正カリキュラムによるものとなります。


その前に受験資格を得た人は,何かの研修を受けないと受験資格がなくなる,といった誤った情報が一部にあるようですが,そんなことは一切ありません。


カリキュラムが変わっても,一度得た受験資格はずっとあります。


今回のカリキュラムの改正は,科目再編が中心です。とは言っても新しく加わった内容もあります。


そのようなものは,どのように出題されるかわからないこともあり,ピンポイントで覚えることが困難です。


手ごわいのは,知識を使って考えて答えなければならないタクソノミーⅡ型,Ⅲ型の問題です。


それでは,今日の問題です。


第35回・問題15 次の記述のうち,ヴェーバー(Weber,M.)の合法的支配における法の位置づけとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 法は,被支配者を従わせ,超人的な支配者の権力を貫徹するための道具である。 

2 法は,伝統的に継承されてきた支配体制を正当化するための道具である。

3 法は,支配者の恣意的な判断により定められる。

4 法は,神意や事物の本性によって導き出される。

5 法は,万民が服さなければならないものであり,支配者も例外ではない。


合法的支配を知っていることを前提に答えを考える典型的なタクソノミーⅡ型です。


しかし,知識があれば,比較的正解しやすいタイプかもしれません。


つまり,知識があれば正解できやすく,知識がなければ,5分の1の確率でしか正解することができないのが,タクソノミーⅡ型であると言えるでしょう。


この問題の正解は,選択肢5です。


5 法は,万民が服さなければならないものであり,支配者も例外ではない。


合法的支配は,合理的ルールによる支配です。現代の民主国家は合法的支配によるもので成立します。


合理的ルールは,国の場合,法律ということになりますが,支配者も合理的ルールに従います。


それでは,これ以外も解説します。


1 法は,被支配者を従わせ,超人的な支配者の権力を貫徹するための道具である。 


これは,カリスマ的支配による法です。


超人的というところから,推測することが可能です。


2 法は,伝統的に継承されてきた支配体制を正当化するための道具である。


これは,伝統的支配による法です。


伝統的というところから,推測することが可能です。


3 法は,支配者の恣意的な判断により定められる。


恣意的とは,勝手気ままという意味です。


合法的支配以外による法だと言えます。


つまり,伝統的支配,カリスマ的支配による法です。


4 法は,神意や事物の本性によって導き出される。


これは,伝統的支配による法です。


伝統的支配には,神など神聖なものを背景とした支配も含まれるからです。


〈今日の一言〉


タクソノミーⅡ型は,受験生を苦しめます。


しかし,知識があれば,手がかりを見つけ出すことができます。


新しいカリキュラムになると手がかりを見つけにくくなる可能性があります。


そのために,現在の延長線上にある第36回国家試験で合格しておきたいです。

2023年3月9日木曜日

第35回国家試験の特徴

第35回国家試験というか,第34回国家試験からの出題トレンドかもしれませんが,特徴的なものとして気づくのは,法の目的が出題していることです。


学校の先生は,法の目的を押さえておくように言います。


それがようやく実るように傾向になってきたと言えるのかもしれませんが,覚えていなくても答えに困ることはないように思います。


多くの場合は,法の目的の中にその法の特徴を示す文言が含まれるためです。


第35回・問題28 生活困窮者自立支援法の目的規定に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずることにより,生活困窮者の自立の促進を図ること。

2 すべての国民に対し,その困窮の程度に応じ,最低限度の生活を営めるよう必要な保護を講ずることにより,生活困窮者の自立の促進を図ること。

3 尊厳を保持し,能力に応じ自立した日常生活を営めるよう,必要な保健医療及び福祉サービスに係る給付を行い,生活困窮者の自立の促進を図ること。

4 能力に応じた教育を受ける機会を保障する措置を講ずることにより,生活困窮者の自立の促進を図ること。

5 社会,経済,文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されるよう施策を講ずることにより,生活困窮者の自立の促進を図ること。


この問題は,うまく作っていると言えます。


最後を「生活困窮者の自立の促進を図ること」で統一しているために,受験生の混乱を引き起こします。


以下のようにしてみるとどうでしょうか。


1 生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずることにより,生活困窮者の自立の促進を図ること。

2 すべての国民に対し,その困窮の程度に応じ,最低限度の生活を営めるよう必要な保護を講ずることにより,生活困窮者の自立の促進を図ること。

3 尊厳を保持し,能力に応じ自立した日常生活を営めるよう,必要な保健医療及び福祉サービスに係る給付を行い,生活困窮者の自立の促進を図ること。

4 能力に応じた教育を受ける機会を保障する措置を講ずることにより,生活困窮者の自立の促進を図ること。

5 社会,経済,文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されるよう施策を講ずることにより,生活困窮者の自立の促進を図ること。


共通部分は,正解以外は嘘なので,このように線を引いてみると明らかとなります。

あらあら不思議,丸裸です。


選択肢3・4・5を選ぶ人はまずいないと思います。


選択肢3は,介護保険法

選択肢4は,教育基本法

選択肢5は,障害者基本法


選択肢1と2は,いずれも「困窮」という言葉が含まれているので,迷ってしまいますが,冷静に考えると,選択肢1は,「生活困窮者に対する自立の支援」と明確に目的が書かれているので,これが正解だとわかります。


選択肢2は「最低限度の生活を営めるよう必要な保護を講ずる」という方法が書かれているので,生活保護法だと判断できます。


国家試験会場では,この冷静な判断ができなくなってしまうのがとても怖いです。


法の目的で困るのは,かつての規定を出題された場合です。


第35回・問題61 身体障害者福祉法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 

1 身体障害者福祉法の目的は,「身体障害者の更生を援助し,その更生のために必要な保護を行い,もって身体障害者の福祉の増進を図ること」と規定されている。

2 身体障害者の定義は,身体障害者手帳の交付を受けたかどうかにかかわらず,別表に掲げる身体上の障害がある18歳以上の者をいうと規定されている。

3 身体障害者手帳に記載される身体障害の級別は,障害等級1級から3級までである。

4 都道府県は,身体障害者更生相談所を設置しなければならない。

5 市町村は,その設置する福祉事務所に,身体障害者福祉司を置かなければならない。


正解は,選択肢4というとてもシンプルなものなので,難易度は低いですが,判断しにくいのが,選択肢1です。


1 身体障害者福祉法の目的は,「身体障害者の更生を援助し,その更生のために必要な保護を行い,もって身体障害者の福祉の増進を図ること」と規定されている。


これは,身体障害者福祉法の目的で正しいですが,現在のものではなく,1949年・昭和24年に法が創設された当時のものとなっています。


現在のものは以下の通りです。


この法律は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)と相まつて、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、及び必要に応じて保護し、もつて身体障害者の福祉の増進を図ることを目的とする。


更生という文字が消えています。


ここで使われている更生とは,職業リハビリテーションを意味しています。


これに関しては,第22回国家試験で,以下のように出題されています。


第22回・問題129・選択肢1

身体障害者福祉法は,制定時には身体障害者の更生を目的とし,更生とは英語のリハビリテーションの訳で,医学的な回復を意味していた。


身体障害者の更生を目的としていたのは正しいですが,医学的な回復ではなく,職業リハビリテーションを意味しています。


過去にこのように出題されているので,これをヒントに作ったのが,第35回の国家試験だと言えます。


これまでも過去の問題をアレンジして出題されることがありましたが,第35回ではそれがあからさまにわかる問題が散見しています。


このような出題が見られていることで,今後もそうなるのかはわかりませんが,これもトレンドだと言えるでしょう。

ただし,多くの人は,古い問題を目にすることはまずないと思いますし,古いものは制度が変わっているので,一般の人が古本屋などで入手して勉強するのは怖いです。

過去問を参考にして,作られるのが参考書です。

丁寧に作られた参考書なら,身体障害者福祉法のかつての定義も書かれているはずです。

つまり,国試勉強の基本は,参考書に書かれているものを覚えるということになります。

2023年3月8日水曜日

第35回国家試験と今後の行方

第35回国家試験は,合格率44.2%,合格基準点90点という結果となりました。


まさしく歴史が動いた瞬間です。


後世の人が社会福祉士の国家試験の歴史を振り返った時,ここが転換点になったことを知るのではないでしょうか。


合格率がどうなろうが,合格基準点がどうなろうが,覚えるべきものを確実に覚えれば合格できるので,それらを今までは特段気にしたことはありません。


しかし,よくわかることは,文章で構成する問題は,難易度をそろえることが難しいことです。


問題が易しくても難しくても合格基準点を6割程度に固定的に運用されるなら,問題が易しければ合格が楽になりますし,問題が難しい時は合格が難しくなります。


タクソノミーⅡ型,タクソノミーⅢ型は,知識がそのまま答えにならないので,問題の作り方によって,難易度は大きく変化します。


第35回では,不適切問題が1問あり,すべての受験者に1点が加点されました。


第35回・問題76 次の記述のうち,医療チーム内で専門分野を超えて横断的に役割を共有するトランスディシプリナリモデルの事例として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 Fさんの病状が急変したため,医師は,看護師へ静脈注射機材の準備,薬剤師へ薬剤の準備,医療ソーシャルワーカーへ家族への連絡の指示を出した。

2 災害発生による傷病者の受入れのため,G病院長は,全職員の招集,医師へのトリアージ,看護師へ手術室の準備,医事課職員へ情報収集などの指示を出した。

3 Hさんの食事摂取の自立の希望を達成するため,理学療法士は座位保持,作業療法士は用具の選定,管理栄養士は食事形態,看護師は食事介助の工夫を行った。

4 一人暮らしで在宅療養中のJさんの服薬管理について,往診医,訪問看護師,薬剤師,訪問介護員,介護支援専門員等の自宅への訪問者それぞれが,Jさんとの間で確認することにした。

5 自立歩行を希望するKさんの目標をゴールに,理学療法士,作業療法士,看護師,介護福祉士とでケースカンファレンスを行い,立位保持訓練の方法を検討した。


これがタクソノミーⅡ型に当たる問題です。


難しくなりすぎないように,設問には「積断的に役割を共有する」という但し書きを加えた工夫がみられます。


この問題を作った試験委員は,選択肢5を正解にしたつもりだったと思いますが,選択肢4も完全に間違いだとは言えないことが不適切問題になった理由でしょう。


これを踏まえて,今後はタクソノミーⅡ型,Ⅲ型はより慎重につくられていくことになるでしょう。


今後の行方


先に述べたように,文章で構成する問題は,難易度を安定させることが難しいと考えられます。


しかも知識がそのまま答えにならないタクソノミーⅡ型,タクソノミーⅢ型の問題は,丸暗記的な勉強では,正解することができません。


第35回国家試験は,第34回国家試験の厳しさを知っているからこそ,歯を食いしばって勉強した人が多かったと思います。


第35回国家試験が易しかったから合格できたと思うのは,大間違いです。

合格するのが以前よりも易しくなったと思って,気を緩めると足元をすくわれます。


第35回に合格した人は,もしかするとそれ以前に合格した人から揶揄されることもあるかもしれません。


しかし,決してそんなことはありません。確実な知識がなければ合格できない問題に生まれ変わった国家試験で見事合格できたのは,努力があってこそのことです。


今後,受験する人は,合格が易しくなったと思うのは,大間違いです。

どんな試験になろうと,努力不足の人が合格するのは困難です。


正しい努力を続ける人は報われます。正しい国家試験の姿です。

2023年3月7日火曜日

第35回国家試験の合格発表を終えて

厚生労働省のホームページ「第35回社会福祉士国家試験合格発表」

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31495.html


今回の国家試験に合格された方は,おめでとうございます。

高い得点だった方は,肩透かしを食ったような感じがしているかもしれません。

しかし,努力しないと合格できない試験であることには変わりありません。

不合格になった方は,もう少し頑張って勉強すれば良かったと嘆いているのではないでしょうか。

それは今回に限らず毎回のことです。

ものすごい点数を取る人や勉強不足の人は別ですが,多くの人は,合格・不合格は紙一重です。

ミスが少なければ合格し,ミスが多ければ不合格になります。

ただ,今回は,シビアな問題が少なかったこともあり,しっかり勉強して国家試験に臨んだ方は,多少のミスがあっても,その他の問題でカバーできたのではないかと思います。

第36回国家試験に向けたスタートですが,明日から数回にわたって,気になる問題をピックアップしていきたいと思います。

合格をつかめなかった方は,辛い気持ちが落ち着いたら,合格に向けて頑張っていきましょう。

2023年3月6日月曜日

社会保障給付費の機能別内訳

ILO基準の社会保障給付費の機能別内訳は,


1 高齢

2 保健医療

3 家族

4 障害

5 労働災害

6 失業

7 住宅

8 生活保護その他


に分類されて,まとめられています。この順番は多い順になっています。


令和2年度・2020年度では,高齢が約半分を占め,3割の保健医療と合わせて,この2つで8割を超えます。


注意すべきポイントは,「家族」です。


家族は,10年くらい前から比べるとかなり増えてきています。


以前は,わずか数パーセントにすぎませんでしたが,近年の少子化対策により,給付が伸びています。


それでも10%にも到達していません。

今後は,10%を超えると考えられると思いますが,家族がどの程度なのかは,必ず押さえておきたいです。


それでは,今日の問題です。


第29回・問題50 「平成28年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所)の内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 社会保障給付費の対国内総生産比は20%を超えている。

2 政策分野別社会支出の構成割合が最も高いのは,「家族」に対する支出である。

3 政策分野別社会支出のうち,「住宅」支出の構成割合は10%を超えている。

4 部門別社会保障給付費の対国内総生産比をみると,「医療」が最も高い。

5 社会保障財源をみると,公費負担の割合が最も高い。


この時に,OECD基準の社会支出が初めて出題されました。


政策分野別社会支出は,


保健

高齢

家族

遺族

障害・業務災害・傷病

失業

積極的労働市場政策

住宅

他の政策分野


に分類されて,まとめられています。この順番は多い順になっています。


社会保障給付費の1位と2位が入れ替わっていますが,社会保障給付費と異なり,1位と2位の差はわずか数パーセントしかありません。


そのため,政策分野別社会支出の最も多いものが問われることはないと言えます。


そのため「高齢と保健を合わせると8割を超える」というところが重要です。


社会保障給付費と社会支出の内容は,基本的にほぼ一緒なので,それぞれを詳細に覚える必要はありません。


変な覚え方をするとあいまいになるので,注意が必要です。


それでは,解説です。


1 社会保障給付費の対国内総生産比は20%を超えている。


これが正解です。


対国内総生産比は,とても覚えにくいものです。

対国民所得比も出題されるので,特に覚えにくいです。


対国内総生産比は,約20%


対国民所得比は,約30%


国民所得に比べて,国内総生産のほうが規模が大きいので,比率にすると,上記のようになります。


2 政策分野別社会支出の構成割合が最も高いのは,「家族」に対する支出である。


政策分野別社会支出は,保健と高齢が1位と2位となります。家族は多くなっていますが,10%まではありません。


これは,社会保障給付費と同じです。


3 政策分野別社会支出のうち,「住宅」支出の構成割合は10%を超えている。


保健と高齢を合わせると8割を超えるので,それ以外は10%を超えるものはないと推測できます。


住宅は,1%にも満ちません。


4 部門別社会保障給付費の対国内総生産比をみると,「医療」が最も高い。


ようやくここで,社会保障給付費が出題されました。

しかし,少しひねりが入っています。


部門別社会保障給付費は,年金,医療,福祉その他(5:3:2)の順になっていることは何度も出題されていますが,ここでは対国内総生産比を聞いています。


しかし,年金,医療,福祉その他のうち,年金が最も大きいことが分かっていれば,同じ分母で割っても,割合は年金が最も大きくなります。


5 社会保障財源をみると,公費負担の割合が最も高い。


社会保障財源は,社会保険料:公費=6:4 となっています。


これは,これまでに何度出題されてきたか分からないほど,繰り返し繰り返し出題されています。


〈今日のまとめとして〉


国家試験は,もちろん新しいものを加えて出題されますが,基本的には過去に出題されたものを押さえていくと合格基準点に到達できます。


つまり,参考書に書かれているものを確実に覚えていけば,必ず合格できるということです。


不合格になるのは,覚え方が甘いということに尽きます。覚え方には工夫が必要です。

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