2023年9月16日土曜日

ウェーバーの支配システム

今回は,ウェーバーの支配システムを取り上げます。

  

①伝統的支配

神聖なもの,慣習によるもの,などによるものです。

日本では昔の天皇制,家父長制(親の言うことは絶対的)などが伝統的支配の類型になります。

②カリスマ的支配 

特別な能力(カリスマ)を持った人による支配です。

「ちょっと極端だけれど,この人の言うことなら従える」と思えるようなものです。

戦国武将の織田信長や豊臣秀吉などがカリスマ的支配と言えるでしょう。

③合法的支配

規則(法)による支配です。

近代民主国家は,合法的支配です。

伝統的支配やカリスマ的支配と違い,規則により命令し,人々は規則によって従います。支配者も規則に従います。

 

これを押さえたところで,今日の問題です。


第32回・問題15

次のうち,ウェーバー(Weber,M.)の合法的支配の説明として,正しいものを1つ選びなさい。

1 伝統や慣習により正当化される支配

2 正当な手続により制定された法に従うことで成立する支配

3 支配者のリーダーシップや資質,魅力によって正当化される支配

4 絶対的な権力者が定めた法に基づいて行われる支配

5 少数の卓越した能力を持つ者たちによって行われる支配



ウェーバーの支配システムを一問丸ごと取り上げるのは,とても珍しいことです。

多くの場合は,問題の中のいくつかの選択肢として出題されます。

今後のためにポイントを整理したとも言える出題なのかもしれません。


それでは,解説です。


1 伝統や慣習により正当化される支配


これは,伝統的支配のことを述べたものです。


2 正当な手続により制定された法に従うことで成立する支配


これが正解です。


3 支配者のリーダーシップや資質,魅力によって正当化される支配


これは,カリスマ的支配を述べたものです。


4 絶対的な権力者が定めた法に基づいて行われる支配


絶対的な権力者が定めた法は,抑圧的法といいます。

抑圧的法は,絶対的権力者はその法に従うことはありません。


5 少数の卓越した能力を持つ者たちによって行われる支配


これは寡頭制の鉄則と呼ばれるものです。

2023年9月15日金曜日

心理療法~応用行動分析

心理療法の出題頻度は極めて高いので,確実に覚えておきたいです。

覚える数が多くて覚えるのが大変かもしれません。


しかし,出るか出ないかわからないものを覚えるよりも出る確率が高いものを確実に覚えることが得点を上げるためには重要です。


さて,今日は,心理療法の中でも「応用行動分析」を取り上げます。


応用行動分析では,問題となる行動・変えたいと思う行動を標的行動といいます。標的行動の前後の行動を分析することで,標的行動を変化させていきます。


例えば,勉強する時間がなくなるので,スマホを見ないようにしたいと思っているとします。


この場合の標的行動は「スマホを見る」です。


勉強中にわからないことがある。(先行事象)

↓

スマホを見る。(標的行動)

↓

調べもの以外のものを見てしまう。(結果事象)



この場合は,調べものは,教科書や参考書などに限定します。

それらに書かれていないものは,国家試験に出題されていたとしても,それほど重要ではないことを意味していると考えることができます。


勉強中にスマホを手に取るという行動をしなければ,標的行動は変えられそうです。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題14 

心理療法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 回想法は,高齢者の自動思考を修正することを目的としている。

2 応用行動分析は,個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていく。

3 認知行動療法は,クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認していく。

4 森田療法は,不安をあるがままに受け入れられるように支援していく。

5 ブリーフセラピーは,未来よりも過去に焦点を当てて介入を行っていく。


苦手だと思う人はとことん嫌な問題かもしれません。


しかし,心理専門職ではない社会福祉士には,詳細の知識を必要としません。

それぞれの特徴を覚えておけば,心理専門職と連携できます。


それでは,解説です。


1 回想法は,高齢者の自動思考を修正することを目的としている。


回想法は,クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認していくものです。


高齢者の自動思考を修正するのは,認知行動療法(あるいは認知療法)です。


2 応用行動分析は,個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていく。


応用行動分析は前説でわかりますね。


個人の無意識に焦点を当てて介入するのは,精神分析療法です。


3 認知行動療法は,クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認していく。


この解説は良いでしょう。選択肢1の解説のとおりです。


4 森田療法は,不安をあるがままに受け入れられるように支援していく。


これが正解です。森田療法では,不安があってもそれを解消するのではなく,不安をあるがままに受け入れることが特徴です。


5 ブリーフセラピーは,未来よりも過去に焦点を当てて介入を行っていく。


ブリーフセラピー(短期療法)では,過去に焦点を当てた問題の解決は求めません。


過去に焦点を当てた問題の解決を行うことは,とても時間がかかり,短期では行えないためです。

過去に焦点を当てた問題の解決を行うのは,精神分析療法などです。


〈今日のポイント〉

心理療法は種類が多くて覚えるのが大変です。

しかし,それぞれの特徴をピンポイントで押さえると国家試験では対応可能です。

たとえば,森田療法では「不安をあるがままに」といったことです。

2023年9月14日木曜日

バーンアウトの症状

 バーンアウトの症状は


1.情緒的消耗感(精神的な疲労などによって,それ以上努力できなくなってしまうこと)

  ↓ ↓

2.脱人格化(人を物のように扱ってしまうこと)

  ↓ ↓

3.個人的達成感の低下(自分に対する自信の喪失や仕事などに対するやりがいの喪失)


の順番に現われるとされます。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題13 

ストレス反応の1つであるバーンアウトの症状に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 理解と発話の両面での失語症状が生じる。

2 人を人と思わなくなる気持ちが生じる。

3 近時記憶の著しい低下が生じる。

4 視覚的な幻覚が頻繁に生じる。

5 他者との関係を強めようとする傾向が生じる。


バーンアウトは知っていても,バーンアウトの症状については,勉強しないと正しく理解できないものでしょう。


そういった意味では,資格試験には向く出題かもしれません。


それでは,解説です。


1 理解と発話の両面での失語症状が生じる。


失語が生じるのは,脳障害によるものです。


理解の面での失語は,ウェルニッケ失語といいます。


発語の面での失語は,ブローカ失語といいます。


2 人を人と思わなくなる気持ちが生じる。


これが正解です。


人を人と思わなくなる気持ちが生じるのは,バーンアウトの症状のうちの「脱人格化」といいます。


3 近時記憶の著しい低下が生じる。


近時記憶の著しい低下が生じるのは,認知症です。


4 視覚的な幻覚が頻繁に生じる。


視覚的な幻覚が頻繁に生じる疾患の代表は,レビー小体型認知症です。


幻聴が特徴なのは,統合失調症です。


5 他者との関係を強めようとする傾向が生じる。


他者との関係を強めようとする傾向が生じるのは,あえて言えば,境界性パーソナリティ障害と言えるかもしれません。


境界性パーソナリティ障害は,他者から見捨てられたくないなどの気持ちから,逆に他者に対して激しく攻撃するなどの衝動性が特徴です。

2023年9月13日水曜日

ハーディネスとレジリエンス

今回,取り上げる問題は,ストレスをテーマにしたものです。

ストレスが出題される時には,高い確率でコーピングが出題されます。


しかし,今回のテーマは,ストレスではなく「ハーディネスとレジリエンス」です。

どちらもストレスを感じた時の本人の強さに関連した用語です。


ハーディネスは,ストレスに強い性格特性のことです。

レジリエンスは,復元力などを意味し,ストレスなどの状況に対応する力のことです。


どちらもストレスマネジメントには重要なので,しっかり覚えておきたいです。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題12 

ストレスに関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 コーピングとは,ストレスの原因となる出来事のことである。

2 日常の些細ないらだちごとが積み重なっても,健康を損なうようなストレスは生じない。

3 ストレッサーを制御できるという信念は,ストレスの緩和にはつながらない。

4 アパシーとは,ストレス状態が続いても,それに対処できている状態のことである。

5 ハーディネスとは,ストレスに直面しても健康を損なうことが少ない性格特性である。


カタカナが多い問題です。

カタカナ用語は,勉強しないと意味がわからないため,国家試験の出題に向くと言えます。知識の有無が明確になるからです。


それでは,解説です。


1 コーピングとは,ストレスの原因となる出来事のことである。


コーピングは,ストレスへの対処方略のことです。問題焦点型コーピングと情動焦点型コーピングがあります。


ストレスの原因となる出来事のことは,ストレッサーといいます。


2 日常の些細ないらだちごとが積み重なっても,健康を損なうようなストレスは生じない。


日常の些細なことであっても,それが積み重なることで大きなストレスとなります。


3 ストレッサーを制御できるという信念は,ストレスの緩和にはつながらない。


ストレッサーを制御できるという信念は,首尾一貫感覚(SOC)といいます。

ストレスの緩和につながる感覚です。


首尾一貫感覚(SOC)には,ストレッサーを制御できるという信念「処理可能感」のほかに,自分が置かれた状況を理解できるという信念「把握可能感」,自分が置かれた状況は意味のあるものであるという信念「有意味感」があります。


4 アパシーとは,ストレス状態が続いても,それに対処できている状態のことである。


アパシーは,ストレスが続いたことによって無気力になることです。


5 ハーディネスとは,ストレスに直面しても健康を損なうことが少ない性格特性である。


これが正解です。


ストレスは,人によって感じ方が異なり,ストレスに弱い人もストレスに強い人もいます。

ストレスに強い性格特性がハーディネスです。

2023年9月12日火曜日

流動性知能と結晶性知能

流動性知能は,新しいことへの適応力です。


その場の判断力なども流動性知能の一つです。

高齢者の自動車運転による事故が社会問題化していますが,事故を起こす原因の一つには,流動性知能の低下が考えられます。


このように流動性知能は加齢とともに低下します。


結晶性知能は,経験などにより培われていく知能です。


いわば,「おばあちゃんの知恵袋」といったところでしょうか。


結晶性知能は,流動性知能と異なり,加齢に伴ってそれほど低下しません。

もちろん個人差はありますが,人によってはかなりの高齢期まで結晶性知能が高まるという人もいます。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題11

前期高齢者(65~74歳)における認知機能や知的機能の一般的な特徴について,適切なものを1つ選びなさい。

1 作動記憶の機能は,加齢による影響が顕著にみられる。

2 エピソード記憶の機能は,加齢による影響がほとんどみられない。

3 意味記憶の機能は,加齢による影響が顕著にみられる。

4 流動性知能は,加齢による影響がほとんどみられない。

5 結晶性知能は,加齢による影響が顕著にみられる。


認知と知能をミックスして出題しています。

それぞれの用語は,特別なものを出題しているわけではありませんが,確実な知識が求められるために,正解するのは決して簡単ではないように思います。


今後は,こういった出題が増えるではないかと思います。


それでは解説です。


1 作動記憶の機能は,加齢による影響が顕著にみられる。


これが正解です。


作動記憶(ワーキングメモリー)は,短期記憶の情報処理を行うための記憶です。


ウェクスラー式知能検査では,検査者が言った言葉を覚えておいて,それを正しく答える(順唱),順番を逆に答える(逆唱)をするなどして作動記憶の知能指数を測ります。


作動記憶は,加齢の影響を受けることが理解できるでしょう。


2 エピソード記憶の機能は,加齢による影響がほとんどみられない。


エピソード記憶は,過去の記憶です。

過去の記憶という点では,個人の体験である自伝的記憶もエピソード記憶に含まれると言えるのかもしれません。


しかし,自伝的記憶は,はるか昔の記憶であるのに対し,エピソード記憶は,それほど過去の記憶ではなく,比較的最近の記憶であることに違いがあります。


加齢による影響がほとんどみられないのは,自伝的記憶です。認知症高齢者であっても,若い頃の記憶をよく覚えているのは,自伝的記憶は加齢の影響を受けにくい記憶であるということから説明できます。


エピソード記憶は,比較的最近の記憶です。

今日や昨日の出来事を覚えていないのは,認知症でなくてもよくあることです。


特に加齢の影響を受けがちな記憶だと言えるでしょう。


3 意味記憶の機能は,加齢による影響が顕著にみられる。


意味記憶は,ものの意味の記憶です。


花を見て,花の名前は思い出せなくても,花であるということは分かります。


このように,意味記憶は,加齢の影響を受けにくい記憶です。


4 流動性知能は,加齢による影響がほとんどみられない。

5 結晶性知能は,加齢による影響が顕著にみられる。


今日のテーマの登場です。


流動性知能は,新しいことへの適応力です。加齢の影響を受けます。


結晶性知能は,経験などにより培われていく知能です。加齢の影響はあまり受けず,人によってはかなりの高齢期まで高まっていく人もいるくらいです。

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