心理療法の出題頻度は極めて高いので,確実に覚えておきたいです。
覚える数が多くて覚えるのが大変かもしれません。
しかし,出るか出ないかわからないものを覚えるよりも出る確率が高いものを確実に覚えることが得点を上げるためには重要です。
さて,今日は,心理療法の中でも「応用行動分析」を取り上げます。
応用行動分析では,問題となる行動・変えたいと思う行動を標的行動といいます。標的行動の前後の行動を分析することで,標的行動を変化させていきます。
例えば,勉強する時間がなくなるので,スマホを見ないようにしたいと思っているとします。
この場合の標的行動は「スマホを見る」です。
勉強中にわからないことがある。(先行事象)
↓
スマホを見る。(標的行動)
↓
調べもの以外のものを見てしまう。(結果事象)
この場合は,調べものは,教科書や参考書などに限定します。
それらに書かれていないものは,国家試験に出題されていたとしても,それほど重要ではないことを意味していると考えることができます。
勉強中にスマホを手に取るという行動をしなければ,標的行動は変えられそうです。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題14
心理療法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 回想法は,高齢者の自動思考を修正することを目的としている。
2 応用行動分析は,個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていく。
3 認知行動療法は,クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認していく。
4 森田療法は,不安をあるがままに受け入れられるように支援していく。
5 ブリーフセラピーは,未来よりも過去に焦点を当てて介入を行っていく。
苦手だと思う人はとことん嫌な問題かもしれません。
しかし,心理専門職ではない社会福祉士には,詳細の知識を必要としません。
それぞれの特徴を覚えておけば,心理専門職と連携できます。
それでは,解説です。
1 回想法は,高齢者の自動思考を修正することを目的としている。
回想法は,クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認していくものです。
高齢者の自動思考を修正するのは,認知行動療法(あるいは認知療法)です。
2 応用行動分析は,個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていく。
応用行動分析は前説でわかりますね。
個人の無意識に焦点を当てて介入するのは,精神分析療法です。
3 認知行動療法は,クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認していく。
この解説は良いでしょう。選択肢1の解説のとおりです。
4 森田療法は,不安をあるがままに受け入れられるように支援していく。
これが正解です。森田療法では,不安があってもそれを解消するのではなく,不安をあるがままに受け入れることが特徴です。
5 ブリーフセラピーは,未来よりも過去に焦点を当てて介入を行っていく。
ブリーフセラピー(短期療法)では,過去に焦点を当てた問題の解決は求めません。
過去に焦点を当てた問題の解決を行うことは,とても時間がかかり,短期では行えないためです。
過去に焦点を当てた問題の解決を行うのは,精神分析療法などです。
〈今日のポイント〉
心理療法は種類が多くて覚えるのが大変です。
しかし,それぞれの特徴をピンポイントで押さえると国家試験では対応可能です。
たとえば,森田療法では「不安をあるがままに」といったことです。