今回は,持続可能な開発目標(SDGs)を取り上げます。
ニュースなどで耳にすることがあっても,内容は詳しくは知らない人は多いのではないかと思います。
SDGsは,地球で暮らし続けていくための2030年までに達成すべき目標です。
国際連合広報センター
それでは,今日の問題です。
第32回・問題28
国際連合が掲げている「持続可能な開発目標」(SDGs)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 2000年に制定されたミレニアム開発目標(MDGs)の目標を破棄し,それに代わる目標を掲げている。
2 経済成長,社会的包摂,人口増加抑制策の調和が,持続可能な開発を達成するために求められている。
3 持続可能な開発の達成には,政府の手を借りることなく民間セクターによる行動が必要とされている。
4 貧困に終止符を打つとともに,気候変動や環境保護への取組も求めている。
5 目標実現に向けた進捗状況のフォローアップと審査の責任は国際連合にあるとし,独立した国際的専門機関を設置している。
(注) 「持続可能な開発目標」(SDGs)とは,2015年の国際連合総会において採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」において掲げられた目標である。
SDGsは,令和元年度改正の国家試験の出題基準で示されているので,今後も出題される可能性が高いと考えられます。
この問題自体は,時代を考えると正解できそうです。
それでは,解説です。
1 2000年に制定されたミレニアム開発目標(MDGs)の目標を破棄し,それに代わる目標を掲げている。
SDGsは知っていても,MDGsというものがあったことを知っている人は多くなったのではないかと思います。
こういったところには,正解はないものです。
なお,この選択肢の誤りポイントは,MDGsで立てた目標のうち未達成だったものに対して,SDGsで新たな目標に立て直して立てて取り組むところです。
2 経済成長,社会的包摂,人口増加抑制策の調和が,持続可能な開発を達成するために求められている。
社会的包摂を入れているところから,正解ではないだろうと推測できると思いますが,正しくは,「経済」,「社会」,「環境の調和」です。
3 持続可能な開発の達成には,政府の手を借りることなく民間セクターによる行動が必要とされている。
国連で採択されたSDGsであるのに,民間セクターに委ねて政府が協力しないなら,あまりにも身勝手ではないかと思います。
正しくはあらゆる社会資源を活用して行動することの重要性を述べています。
これなら納得でしょう?
4 貧困に終止符を打つとともに,気候変動や環境保護への取組も求めている。
これが正解です。
言われてみると,とても自然な内容です。
5 目標実現に向けた進捗状況のフォローアップと審査の責任は国際連合にあるとし,独立した国際的専門機関を設置している。
目標実現に向けた進捗状況のフォローアップと審査の責任は各政府にあるとされています。
〈今日の注意ポイント〉
今日の問題のようなよくわからないものが出題されると焦ります。
しかし,一度答えを知るとそれ以外は正解にはならず,正解が圧倒的に正解に見えるのではないかと思います。
この問題でも正解の「貧困に終止符を打つとともに,気候変動や環境保護への取組も求めている」は,今,地球上で起きている問題を考えるととても自然な内容だと思いませんか。
今後,こういったタイプの問題が出題されなくなるかもしれませんが,出題されても怖がることなく,冷静に考えることを忘れずにいてほしいと思います。