馴(じゅん)化は,刺激に慣れていくこと。
鋭敏化は,刺激に対して反応しやすくなること。
この知識を頼りに今日の問題です。
第32回・問題8
次のうち,馴化による行動の記述として,適切なものを1つ選びなさい。
1 同じ大きな音が繰り返されるにつれて,驚愕反応が小さくなった。
2 乳児に新しいおもちゃを見せたら,古いおもちゃよりも長く注視した。
3 まぶたにストローで空気を吹き付けると,思わずまばたきした。
4 食あたりした後に,その食べ物を見るだけで吐き気がするようになった。
5 うまくできたら褒めることで,ピアノの練習に取り組むようになった。
馴化を知らなくても,「馴」の字は「なれる」と読むことがわかれば正解できる問題です。
それでは,解説です。
1 同じ大きな音が繰り返されるにつれて,驚愕反応が小さくなった。
これが正解です。
刺激 → 大きな音
反応 → 驚愕反応が小さくなった
逆に,驚愕反応が大きくなれば,鋭敏化です。
2 乳児に新しいおもちゃを見せたら,古いおもちゃよりも長く注視した。
馴化であれば,いつも遊んでいるおもちゃに興味を興味を示さなくなります。
3 まぶたにストローで空気を吹き付けると,思わずまばたきした。
まばたきは,反射です。
4 食あたりした後に,その食べ物を見るだけで吐き気がするようになった。
一度条件づけられたものと同じようなものに対しても反応するようになることは,般化といいます。
5 うまくできたら褒めることで,ピアノの練習に取り組むようになった。
これは,オペラント条件づけです。その中でも正の強化にあたります。
うまくできた ➡ 自発的な行動
褒める ➡ 正
ピアノの練習に取り組むようになった(練習量が増える) ➡ 強化
〈今日の注意ポイント〉
オペラント条件づけは,自発的な行動に対して,ほめたり,叱ったり,といったものにより,その後の行動が多くなったり,少なくなったりするところがポイントです。
うまくできたら褒めることで,ピアノの練習に取り組むようになるのは,正の強化です。
うまくできなくて叱ることで,ピアノの練習に取り組むようになるのも,正の強化です。
ほめること,しかること → 正
ほめないこと,しからないこと → 負
その後の行動が
増える → 強化
減る → 罰
ほめることは正,しかることは罰ではないことに注意が必要です。
〈オペラント条件づけのバリエーションの整理〉
うまくできたことで,叱らなくなって,その結果として,練習量が増えた。
➡ 負の強化
うまくできなかったことに対して,叱ることで,その結果として,練習量が増えた。
➡ 正の強化
うまくできなかったことで,褒めなくなって,その結果として,練習量が減った。
➡ 負の罰
うまくできなったことに対して,叱ることで,その結果として,練習量が減った。
➡ 正の罰
〈おまけ〉
叱ることによる正の強化の例
いたずらに対して,叱ることで,いたずらが減った。
これも正の強化ですが,一般的なソーシャルワーク場面では,叱ることはめったにないでしょう。
社会福祉士の国家試験という性格上,叱るというのはあまり考えられないので,出題の中心は,基本的にほめること(あるいはそれに類似した)による正の強化となるのではないかと思います。