今日のテーマは,「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(2018年(平成30年)12月,外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議決定)です。
今後再び出題されることは,ほぼありません。
問題を解くポイントを中心として解説したいと思います。
第32回・問題27
「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(2018年(平成30年)12月,外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議決定)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 地域における外国人の活躍と共生社会の実現を図る地方公共団体の主体的で先導的な取組のために,社会福祉法人からの寄附金を募る。
2 災害時に避難所等にいる外国人被災者への情報伝達を支援する「災害時外国人支援情報コーディネーター」の養成研修を実施する。
3 外国人への行政・生活情報の提供において,個人情報保護の観点からソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用は極力避ける。
4 公営住宅法に基づき,外国人を含む住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録や住宅情報の提供,居住支援等を促進する。
5 外国人への情報提供及び相談を行う一元的な窓口として,厚生労働省の地方厚生局に「多文化共生総合相談ワンストップセンター(仮)」を設置する。
何とも難しい問題です。
国家試験では,こういった問題も出題されることがありますが,正解できなくても大丈夫です。みんなが解けません。
それでは,サクサク解説していきます。
1 地域における外国人の活躍と共生社会の実現を図る地方公共団体の主体的で先導的な取組のために,社会福祉法人からの寄附金を募る。
国が寄附金を募るというのは,聞いたことがありません。
それもそのはず。こんなことは法で認められません。
なぜなら,社会福祉法には「事業経営の準則」があるからです。
事業経営の準則
第六十一条 国、地方公共団体、社会福祉法人その他社会福祉事業を経営する者は、次に掲げるところに従い、それぞれの責任を明確にしなければならない。
一 国及び地方公共団体は、法律に基づくその責任を他の社会福祉事業を経営する者に転嫁し、又はこれらの者の財政的援助を求めないこと。
二 国及び地方公共団体は、他の社会福祉事業を経営する者に対し、その自主性を重んじ、不当な関与を行わないこと。
三 社会福祉事業を経営する者は、不当に国及び地方公共団体の財政的、管理的援助を仰がないこと。
この設問は,アンダーラインを引いた第2項「国及び地方公共団体は、法律に基づくその責任を他の社会福祉事業を経営する者に転嫁し、又はこれらの者の財政的援助を求めないこと」に抵触します。
2 災害時に避難所等にいる外国人被災者への情報伝達を支援する「災害時外国人支援情報コーディネーター」の養成研修を実施する。
これが正解です。
こういったものがあるそうです。
3 外国人への行政・生活情報の提供において,個人情報保護の観点からソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用は極力避ける。
これだけは,知識がなくても消去可能です。
4 公営住宅法に基づき,外国人を含む住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録や住宅情報の提供,居住支援等を促進する。
住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録や住宅情報の提供,居住支援等は,住宅セーフティ法に基づきます。
5 外国人への情報提供及び相談を行う一元的な窓口として,厚生労働省の地方厚生局に「多文化共生総合相談ワンストップセンター(仮)」を設置する。
仮称だった多文化共生総合相談ワンストップセンターは,現在は,一元的相談窓口に変わっています。あまりに長すぎたからでしょう。
一元的相談窓口を設置するのは,地方公共団体です。