2023年9月10日日曜日

パーソナリティ理論とビッグファイブ

パーソナリティ理論を分類すると,類型論と特性論に分けられます。


類型論は,人のパーソナリティを類型化するものです。


あなたは,〇〇タイプです。


とタイプ分けするのが,類型論だと覚えると良いでしょう。


代表的な類型論

ユング リビドーの方向によって,外向型と内向型に分けました。

クレッチマー 体格と気質を結び付けてタイプ分けしました。


特性論は,パーソナリティをいくつかの因子(特性)が組み合わさって作り上げられると考えます。


今日の特性論の代表は,ビッグファイブです。


ビッグファイブでは,パーソナリティの因子を5つに分けています。

そのためにビッグファイブと呼ばれます。


ビッグファイブの5因子

 ・外向性

 ・神経症傾向

 ・誠実性

 ・調和性

 ・開放性


これらの強弱によって,パーソナリティは作られていると考えるのが,ビッグファイブです。


代表的な特性論者には,オールポートとキャッテルがいますが,これについては今日の問題の解説で紹介します。


それでは,今日の問題です。



第32回・問題9

パーソナリティの理論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 クレッチマー(Kretschmer,E.)は,特性論に基づき,体格と気質の関係を示した。

2 ユング(Jung,C.)は,外向型と内向型の二つの類型を示した。

3 オールポート(Allport,G.)は,パーソナリティの特性を生物学的特性と個人的特性の二つに分けた。

4 キャッテル(Cattell,R.)は,パーソナリティをリビドーにより説明した。

5 5因子モデル(ビッグファイブ)では,外向性,内向性,神経症傾向,開放性,協調性の5つの特性が示されている。


憎らしいほど引っ掛けポイントがうまく仕込まれている問題です。


かなり注意しないとその引っ掛けの餌食になりそうです。


それでは,解説です。


1 クレッチマー(Kretschmer,E.)は,特性論に基づき,体格と気質の関係を示した。


クレッチマーが体格と気質の関係を示したのは適切です。


しかし,クレッチマーのパーソナリティ理論は,特性論ではなく,類型論です。


2 ユング(Jung,C.)は,外向型と内向型の二つの類型を示した。


これが正解です。


ユングは,リビドーの向きによって,パーソナリティを外向型と内向型に分けました。


タイプ分けしているところからわかると思いますが,ユングの理論は類型論です。


3 オールポート(Allport,G.)は,パーソナリティの特性を生物学的特性と個人的特性の二つに分けた。


オールポートの理論は,特性論です。


パーソナリティの特性を,多くの人に共通している「共通特性」とその人の個人的なものである「個人的特性」の2つに分けています。


その特性の組み合わせによって,パーソナリティは成り立っていると考えました。


4 キャッテル(Cattell,R.)は,パーソナリティをリビドーにより説明した。


キャッテルの理論は,特性論です。


キャッテルは,辞書からパーソナリティに関する用語を抜き出し,それを分析して,12の因子にまとめました。


5 5因子モデル(ビッグファイブ)では,外向性,内向性,神経症傾向,開放性,協調性の5つの特性が示されている。


一見するとこれが正解に見えそうです。


しかし,外向性と内向性は,よくよく考えると同じファクターです。

その強弱によって,特性の一つとなります。


ビッグファイブの5因子

・外向性

・神経症傾向

・誠実性

・調和性

・開放性


現在のパーソナリティ理論では,パーソナリティの因子は,この5つにほぼ集約されると考えられています。

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