今回は,社会福祉法に規定される地域福祉(支援)計画に定める内容を覚えたいと思います。
市町村地域福祉計画に定める内容 |
①地域における高齢者の福祉,障害者の福祉,児童の福祉その他の福祉に関し,共通して取り組むべき事項 ②地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項 ③地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項 ④地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項 ⑤地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に関する事項 |
都道府県地域福祉支援計画に定める内容 |
①地域における高齢者の福祉,障害者の福祉,児童の福祉その他の福祉に関し,共通して取り組むべき事項 ②市町村の地域福祉の推進を支援するための基本的方針に関する事項 ③社会福祉を目的とする事業に従事する者の確保又は資質の向上に関する事項 ④福祉サービスの適切な利用の推進及び社会福祉を目的とする事業の健全な発達のための基盤整備に関する事項 |
①は別にして,それ以外の内容は,市町村と都道府県の役割の違い明確に出ていることに気がつくでしょう。
市町村は,直接的な住民の支援に関係するもの。
都道府県は,間接的なもの。
特に都道府県の
③社会福祉を目的とする事業に従事する者の確保又は資質の向上に関する事項
④福祉サービスの適切な利用の推進及び社会福祉を目的とする事業の健全な発達のための基盤整備に関する事項
の2つは,都道府県の役割の特徴的な部分です。
これらのほかに特に覚えておきたいのは,市町村の
⑤地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に関する事項
は要注意です。これは近年の法改正によって加わったものです。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題22
社会福祉法の内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉サービス利用援助事業は,第一種社会福祉事業である。
2 市町村は,地方社会福祉審議会を設置しなければならない。
3 市町村は,社会福祉事業等に従事する者の確保に関する基本指針を定めなければならない。
4 都道府県は,都道府県地域福祉支援計画を策定しなければならない。
5 共同募金は,都道府県を単位として毎年1回実施される。
知識ゼロでは,5分の1以上の確率では正解できない問題です。
こういった問題が国家試験の理想です。
知識ゼロの人でも正解できる問題は,その問題の設計にどこか欠陥があります。
それでは,解説です。
1 福祉サービス利用援助事業は,第一種社会福祉事業である。
社会福祉法が定める福祉サービス利用援助事業は,日常生活自立支援事業が相当し,第二種社会福祉事業です。
第一種社会福祉事業は,主に生活支援施設であり,経営は,国,地方公共団体,社会福祉法人が行うことを原則としています。
共同募金は,生活支援施設ではありませんが,第一種社会福祉事業です。
第二種社会福祉事業は,通所などの事業です。第一種社会福祉事業と異なり,経営主体は限定されず,多様な主体が経営することができます。
2 市町村は,地方社会福祉審議会を設置しなければならない。
〈地方社会福祉審議会〉
都道府県,指定都市,中核市に必置の機関です。
都道府県知事,指定都市・中核市の長の監督に属し,その諮問に答え,又は関係行政庁に意見を具申します。
3 市町村は,社会福祉事業等に従事する者の確保に関する基本指針を定めなければならない。
社会福祉事業等に従事する者の確保に関する事項を定めるのは,都道府県地域福祉支援計画です。
4 都道府県は,都道府県地域福祉支援計画を策定しなければならない。
地域福祉(支援)計画は,2000(平成12)年の社会福祉法で規定されたものです。
その時点では,策定は任意でした。
同法の2018(平成30)年の改正によって,策定が任意から努力義務に変更になっています。
5 共同募金は,都道府県を単位として毎年1回実施される。
これが正解です。
共同募金は,都道府県を単位として毎年1回実施される寄附金の募集です。
共同募金会以外の者は,共同募金を行うことはできません。