社会福祉士の国家試験に出題される社会的ジレンマの例は,
・共有地の悲劇
・囚人のジレンマ
の3つです。
それでは,今日は前説なしに今日の問題です。
第32回・問題20
次のうち,「囚人のジレンマ」に関する記述として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 合理的な仕組みに対して過剰な執着を持つ状況を指す。
2 一定期間,閉鎖的・画ー的に管理された場所で生活する状況を指す。
3 協力し合うことが互いの利益になるにもかかわらず,非協力への個人的誘因が存在する状況を指す。
4 二つの矛盾した命令を受けているため,そのいずれも選択することができない状況を指す。
5 非協力的行動を行うと罰を受け,協力的行動を行うと報酬を得ることで,協力的行動が促される状況を指す。
知識ゼロでは,5分の1以上の確率では正解できない問題です。
知識なしでも消去できる選択肢が含まれる問題もありますが,そういったものはあまり良い出来ではない問題だと言えます。この問題の出来具合は,中くらいといったところでしょう。
それでは解説です。
1 合理的な仕組みに対して過剰な執着を持つ状況を指す。
2 一定期間,閉鎖的・画ー的に管理された場所で生活する状況を指す。
4 二つの矛盾した命令を受けているため,そのいずれも選択することができない状況を指す。
これらはすべて解説する必要もないほどの嘘の選択肢です。
正解は,選択肢4です。
3 協力し合うことが互いの利益になるにもかかわらず,非協力への個人的誘因が存在する状況を指す。
囚人のジレンマは,以下のように説明されます。
状況 |
刑期 |
2人の刑期合計 |
A・Bとも黙秘 |
いずれも1年 |
2年 |
Aが黙秘 Bが自白 |
Aが15年,Bは無罪 |
15年 |
Aが自白 Bが黙秘 |
Aは無罪,Bは15年 |
15年 |
A・Bとも自白 |
いずれも2年 |
4年 |
最も利益のあるのは,相棒を信じてA・Bともに黙秘する場合です。
しかし,相手を信じれず,自白すると,2人とも黙秘した場合よりも,不利益となります。
5 非協力的行動を行うと罰を受け,協力的行動を行うと報酬を得ることで,協力的行動が促される状況を指す。
これは,選択的誘因と呼ばれるものです。
社会的ジレンマとともに覚えておきたいです。