ヒトの体には,水分が多く含まれます。
高齢者になると,細胞内の水分量が減少します。若い時に比べると肌が乾燥するため,水分量の減少を実感することができます。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題2 高齢者の脱水に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。
1 体全体の水分量は,若年者と変わらない。
2 喉の渇きを感じやすいため,脱水になりにくい。
3 1日の水分摂取量は,若年者より多い。
4 降圧利尿薬の服用は,脱水の原因にならない。
5 腎臓による水の再吸収能力が,低下している。
この問題は,知識がなくても正解できそうな問題でしょう。
いわゆる消去法によって,正解にアプローチすることが可能だからです。
それでは,解説です。
1 体全体の水分量は,若年者と変わらない。
前説に書いたように,高齢者の体の水分量は,若年者よりも減少します。
2 喉の渇きを感じやすいため,脱水になりにくい。
加齢によって,様々な感度が低下します。
その中には喉の渇きもあります。暑さにも鈍くなります。
そのため,夏でも厚着をしている人もいます。
3 1日の水分摂取量は,若年者より多い。
水分摂取量は,若年者よりも減少します。
4 降圧利尿薬の服用は,脱水の原因にならない。
降圧利尿剤が作用する機序(メカニズム)はよくわからなくても,この問題でわざわざ出題しているので,脱水の原因にならないということはなさそうだと判断することが可能です。
5 腎臓による水の再吸収能力が,低下している。
これが正解です。
尿意を我慢していると,急に尿意が収まることがあります。
それは,尿を腎臓が吸収するためです。
尿をそのまま体外に排出するのは,動物にとってはかなり危険なことです。
水分をいつも摂取できる環境にいるとは限らないからです。そこで,尿を吸収して,腎臓で濾過し,もう一度利用しています。
尿のリサイクルです。
高齢になると頻尿傾向になりますが,その理由の一つには,腎臓による水の再吸収能力の低下も関係しています。