2023年9月29日金曜日

義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針

 今回は,文部科学省による「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針」を取り上げます。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/__icsFiles/afieldfile/2017/04/17/1384371_1.pdf


おそらく,今後は二度と出題されないだろうと思います。

そのために,前説なしで,今日の問題です。



第32回・問題30 

文部科学省の「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針」(2017年(平成29年))で示された不登校児童生徒への支援に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。

1 不登校児童生徒が学校へ登校するという結果を,第一の目標としている。

2 不登校児童生徒の意思を十分に尊重し,その状況によっては休養が必要な場合があることに留意する。

3 不登校児童生徒の実態に配慮した教育を実施する「特例校」の設置を促進している。

4 不登校児童生徒や保護者のプライバシーの保護に配慮して,学校や教育委員会による家庭訪問は控える。

5 「チーム学校」体制の整備を,スクールソーシャルワーカーのリーダーシップの下で推進する。


二度と出題されないと思われる問題を解く意義は,問題を解くことに慣れることにほかなりません。


それでは,脳をフル回転させて,一緒に考えていきましょう。


1 不登校児童生徒が学校へ登校するという結果を,第一の目標としている。


これは誤りですが,問題全体を見渡した場合,矛盾した内容が出題されていることに気が付きますか?


それはさておき,基本指針では,「支援に際しては、登校という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある」と示されています。


2 不登校児童生徒の意思を十分に尊重し,その状況によっては休養が必要な場合があることに留意する。


これが1つめの正解です。


この選択肢が正解なら,選択肢1は必ず誤りとなります。


不登校児童生徒が学校へ登校するという結果を,第一の目標としている。

 ↑       ↑       

 ↓       ↓       

不登校児童生徒の意思を十分に尊重し,その状況によっては休養が必要な場合があることに留意する。


この2つは,並び立たない内容です。

そのため,どちらかが正解であれば,どちらかが誤りとなります。


こういったことに気がつくことは,簡単ではありません。そのために問題を解いて問題慣れすることが大切です。

国家試験では時々見られます。


3 不登校児童生徒の実態に配慮した教育を実施する「特例校」の設置を促進している。


これが2つめの正解です。


特例校とは,不登校児童生徒の実態に配慮した特色ある教育課程を編成し,教育を実施する学校です。


この指針では,教育支援センターの設置の促進も求めています。


教育支援センターとは,不登校児童生徒の支援の中核となるもので,通所希望者に対する支援のみならず、通所を希望しない不登校児童生徒に対する訪問支援などを実施します。


教育支援センターという名称から,不登校児童生徒の支援が結びつかないので,注意が必要です。


4 不登校児童生徒や保護者のプライバシーの保護に配慮して,学校や教育委員会による家庭訪問は控える。


学校や教育委員会による家庭訪問で状況把握を促進することが示されています。


5 「チーム学校」体制の整備を,スクールソーシャルワーカーのリーダーシップの下で推進する。


チーム学校は,校長のリーダーシップの下、学校や教員がスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門スタッフ等と不登校児童生徒に対する支援等について連携・分担するチームです。


スクールソーシャルワークに限らず,ワーカーがリーダーシップを取るといった内容のものが正解になることはありません。


〈今日の注意ポイント〉


今日取り上げた指針自体は,今後出題されることはないと思いますが,この問題の中では,3点覚えておきたいものがあります。


・特例校

・教育支援センター

・チーム学校


これらは,スクールソーシャルワークに関連する問題で出題されることがあるかもしれません。


教育現場は,社会福祉士・精神保健福祉士にはスクールソーシャルワーカーとしての役割を期待しています。

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