オタワ憲章とアルマ・アタ宣言は,いずれもWHO(世界保健機構)によるものです。
アルマ・アタ宣言(1978年)は,それまでの高度医療中心から「プライマリ・ヘルスケア」(予防医療)へ転換するように提唱したものです。
この宣言をした背景には,先進国と発展途上国の間の健康格差があり,すべての人が健康な生活を送ることができることが求められていたことがあります。
オタワ憲章(1986年)は,「ヘルスプロモーション」(人々が自らの健康をコントロールし,改善することができるようにするプロセス)を強調したものです。
健康をコントロールするとは,先進国にとっては,生活習慣病予防というイメージになるかもしれませんが,そういったものではありません。
健康な生活を送ることができる環境を提供できる政策が必要です。
特に重要なことは,昨今の世界情勢でわかると思いますが「平和」を維持することでしょう。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題5
1978年にWHOが採択したアルマ・アタ宣言に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 先進国と開発途上国間における人々の健康状態の不平等について言及している。
2 政府の責任についての言及はない。
3 自己決定権についての言及はない。
4 保健ニーズに対応する第一義的責任は,専門職個人にあると言及している。
5 地域,国家,その他の利用可能な資源の活用についての言及はない。
アルマ・アタ宣言やオタワ憲章の内容を知らなくても,この問題自体は正解できるはずです。問題の作り方が下手だからです。
正解は,選択肢1です。
1 先進国と開発途上国間における人々の健康状態の不平等について言及している。
それ以外は,消去できるでしょう。解説しません。
〈今日の注意ポイント〉
これからはこんな雑な問題はもう出題されないはずなので,気を引き締めて,しっかり覚えていきましょう。スタンダードな内容を出題しながらも締まった内容になるはずです。