2023年9月2日土曜日

大脳の機能

今回から,第32回国家試験で出題された150問を通して解説していきます。

 

第1回は,大脳の機能です。

 

 大脳の機能

前頭葉

思考など

頭頂葉

体性感覚など

後頭葉

視覚など

後ろ

側頭葉

聴覚など

大脳辺縁系

記憶,感情などの本能など

 

覚え方のコツとポイント

 

前頭葉

最もヒトらしい部分をつかさどる。サルと比べるとヒトの額(ひたい)は発達している。


頭頂葉

体のバランスをつかさどる。自動車の機能で,車の位置を車の上部から映し出す「インテリジェントアラウンドビューモニター」(日産自動車)があるが,それをイメージすると良い。上から見て,体の動きを司令する。


側頭葉

耳の近くにあるので,聴覚にかかわる。


後頭葉

後ろなのに視覚にかかることに注意。


大脳辺縁系

動物の脳。

 

それでは,今日の問題です。

 

32回・問題1

人体の構造と機能に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 視覚は,後頭葉を中枢とする。

2 腸管は,口側より,空腸,回腸,十二指腸,大腸の順序である。

3 肺でガス交換された血液は,肺動脈で心臓へと運ばれる。

4 横隔膜は,消化管の蠕動に関わる。

5 副甲状腺ホルモンは,カリウム代謝をつかさどる。

 

医学概論は,とにかく覚える内容が多いのが特徴の科目です。

 

この問題は,知識がないと正解できませんが,特に勉強していなくても,日常生活で見聞きしたこと,昔習った知識などで正解できる問題も含まれます。

 

そういう回の問題を見ると,「なんだ,,簡単だ」と思うかもしれません。

 

しかし,そういった簡単な問題で正解できたとしても,勉強不足では点数は伸びないので,しっかりとした知識をつけることは欠かせません。

 

それでは,解説です。

 

1 視覚は,後頭葉を中枢とする。

 

これが正解です。

 

大脳の機能は,かなりの頻度で出題されていますが,確実な知識がないとおそらく解けないはずです。

 

しかし,福祉職である社会福祉士,精神保健福祉士は,医療職ではないので,決して深い知識は問われません。

 

先述の〈覚え方のポイント〉を参考に,知識を整理しておきましょう。

 

2 腸管は,口側より,空腸,回腸,十二指腸,大腸の順序である。

 

こういった問題があるととても難しいように思います。

 

しかし,ヒントはあります。それは十二指腸です。十二指腸潰瘍という疾患があることからわかるように,胃に近いところにあります。胃酸によって潰瘍が起きるからです。

 

わかりやすいものを組み入れて,この選択肢を消去しやすく組み立てています。

 

順番は,口側から,十二指腸,空腸,回腸,大腸(盲腸,結腸,直腸)です。

 

3 肺でガス交換された血液は,肺動脈で心臓へと運ばれる。

 

心臓の構造も出題頻度が高いものです。

 

動脈は,心臓から出ていく血管です。

 

静脈は,心臓に戻ってくる血管です。

 

肺でのガス交換(肺循環)は,右心室から肺動脈で肺に運ばれます。

肺で酸素を取り入れて,肺静脈を通って心臓に戻ります。

 

肺動脈には,酸素を含まない静脈血が流れます。

肺静脈には,酸素を含む動脈血が流れます。

 

4 横隔膜は,消化管の蠕動に関わる。

 

横隔膜が関わるのは,肺の動きです。

 

5 副甲状腺ホルモンは,カリウム代謝をつかさどる。

 

これは難しすぎです。

 

副甲状腺ホルモンがつかさどるのは,カリウム代謝です。

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