今回から,第32回国家試験で出題された150問を通して解説していきます。
第1回は,大脳の機能です。
上 |
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前 |
前頭葉 思考など |
頭頂葉 体性感覚など |
後頭葉 視覚など |
後ろ |
側頭葉 聴覚など |
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大脳辺縁系 記憶,感情などの本能など |
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下 |
覚え方のコツとポイント
前頭葉
最もヒトらしい部分をつかさどる。サルと比べるとヒトの額(ひたい)は発達している。
頭頂葉
体のバランスをつかさどる。自動車の機能で,車の位置を車の上部から映し出す「インテリジェントアラウンドビューモニター」(日産自動車)があるが,それをイメージすると良い。上から見て,体の動きを司令する。
側頭葉
耳の近くにあるので,聴覚にかかわる。
後頭葉
後ろなのに視覚にかかることに注意。
大脳辺縁系
動物の脳。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題1
人体の構造と機能に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 視覚は,後頭葉を中枢とする。
2 腸管は,口側より,空腸,回腸,十二指腸,大腸の順序である。
3 肺でガス交換された血液は,肺動脈で心臓へと運ばれる。
4 横隔膜は,消化管の蠕動に関わる。
5 副甲状腺ホルモンは,カリウム代謝をつかさどる。
医学概論は,とにかく覚える内容が多いのが特徴の科目です。
この問題は,知識がないと正解できませんが,特に勉強していなくても,日常生活で見聞きしたこと,昔習った知識などで正解できる問題も含まれます。
そういう回の問題を見ると,「なんだ,,簡単だ」と思うかもしれません。
しかし,そういった簡単な問題で正解できたとしても,勉強不足では点数は伸びないので,しっかりとした知識をつけることは欠かせません。
それでは,解説です。
1 視覚は,後頭葉を中枢とする。
これが正解です。
大脳の機能は,かなりの頻度で出題されていますが,確実な知識がないとおそらく解けないはずです。
しかし,福祉職である社会福祉士,精神保健福祉士は,医療職ではないので,決して深い知識は問われません。
先述の〈覚え方のポイント〉を参考に,知識を整理しておきましょう。
2 腸管は,口側より,空腸,回腸,十二指腸,大腸の順序である。
こういった問題があるととても難しいように思います。
しかし,ヒントはあります。それは十二指腸です。十二指腸潰瘍という疾患があることからわかるように,胃に近いところにあります。胃酸によって潰瘍が起きるからです。
わかりやすいものを組み入れて,この選択肢を消去しやすく組み立てています。
順番は,口側から,十二指腸,空腸,回腸,大腸(盲腸,結腸,直腸)です。
3 肺でガス交換された血液は,肺動脈で心臓へと運ばれる。
心臓の構造も出題頻度が高いものです。
動脈は,心臓から出ていく血管です。
静脈は,心臓に戻ってくる血管です。
肺でのガス交換(肺循環)は,右心室から肺動脈で肺に運ばれます。
肺で酸素を取り入れて,肺静脈を通って心臓に戻ります。
肺動脈には,酸素を含まない静脈血が流れます。
肺静脈には,酸素を含む動脈血が流れます。
4 横隔膜は,消化管の蠕動に関わる。
横隔膜が関わるのは,肺の動きです。
5 副甲状腺ホルモンは,カリウム代謝をつかさどる。
これは難しすぎです。
副甲状腺ホルモンがつかさどるのは,カリウム代謝です。