2024年12月26日木曜日

経営体制~外部環境への対応

 現状維持は衰退!!


今どき,はやらない熱血コンサルタントが言いそうなセリフです。

しかし,環境は常に変化していくことは事実です。

平成から令和に代わるときに,昭和から平成に代わるときを振り返る映像がたくさん紹介されていました。変化したことはたくさんあります。

福祉の世界が大きく変わったのは2000年のことです。モダニズムの時代だった20世紀最後の年に,社会福祉事業法が社会福祉法になり,介護保険法が施行されました。

この大きなうねりの中,バブル経済の象徴のようなジュリアナ東京の元・経営者が介護保険事業に乗り出したこともあります。

ちなみにジュリアナ東京の開業は1991年なので,実際にはバブルははじけた後のことです。

営利企業が参入することは,介護保険以前にはまず考えられないことだったと思います。
その後,障害福祉にも支援費制度を経て,障害者自立支援法が施行されていきます。

変化が大きくなればなるほど,既存のものの見方・考え方を変えなければなりません。

江戸末期の各藩の動きを考えると一目瞭然です。

変化が少ない時は,前例主義が活きます。
変化が大きくなればなるほど,変革が必要です。

社会は常に変化しています。

だからこそ

現状維持は衰退!!

変化に機敏に対応しなければ,組織は必ず衰退します。




それでは今日の問題です。


第30回・問題121 

組織と外部環境に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 科学的管理法は,複雑な外部環境の変化に対応して組織を管理するために考案された。

2 外部環境や経営戦略が大きく変化した場合でも,組織構造はできるだけ変えないことが望ましい。

3 内部規則を重視する組織文化を持つ組織は,外部環境の大きな変化に対応しやすい。

4 外部環境である政策や制度の変更は,組織の経営戦略に影響を与える。

5 短期的な外部環境の変動に対応して,組織の使命・理念を頻繁に変えることが望ましい。




明確なルールに基づく「官僚制」は,環境変化の小さい時には機能するかもしれませんが,変化が大きくなったときは,もしかすると,カリスマ的支配のような支配システムの方がより変化に対応できるのかもしれません。

日本で言えば,織田信長です。彼のカリスマ性がなければ,百戦錬磨の織田家臣団を効率的に動かして,天下統一の一歩手前までたどり着くことはできなかったのではないでしょうか。

社是を復唱していれば,もしかすると,明智光秀による謀反は起きなかったかもしれません。

さて,この問題の正解は,選択肢4です。


4 外部環境である政策や制度の変更は,組織の経営戦略に影響を与える。

政策や制度は,経営戦略に大きく影響するのは当然のことです。

例として,2019年に再開された商業捕鯨を挙げます。

大型船で商業捕鯨を行っていた企業は,商業捕鯨を行いたくても禁止されたわけですから,経営戦略は変えざるを得なかったことでしょう。

制度・政策の変更は,経営戦略に影響を与えないわけがありません。


それでは,ほかの選択肢も確認していきましょう。


1 科学的管理法は,複雑な外部環境の変化に対応して組織を管理するために考案された。

科学的管理法は,作業効率を高めるために標準的な作業量を決めて,賃金に差をつけたものです。

外部環境への対応ではなく,内部環境に対する働きかけです。


2 外部環境や経営戦略が大きく変化した場合でも,組織構造はできるだけ変えないことが望ましい。


環境が変われば,適切な組織構造も変化します。

「望ましい」「望ましくない」は,正解になりにくいものです。覚えておきましょう。


3 内部規則を重視する組織文化を持つ組織は,外部環境の大きな変化に対応しやすい。

内部規則を重視する組織は,変化が小さい時は機能しますが,今までの価値観では対応できなくなったとき,江戸時代で言えば,いわゆる黒船来航のような大きな変化には対応困難です。

200年以上継続した江戸幕府はその後崩壊していくことになります。
反対に下級武士が今までの発想にとらわれることなく,生き生きと活躍できた藩が力をもつもとにつながっていきます。


5 短期的な外部環境の変動に対応して,組織の使命・理念を頻繁に変えることが望ましい。

短期的な変化に対応するものは,戦術です。

使命及び理念は,長期的なものですから,頻繁に変えることはありません。
抽象的な表現がなされているので,変える必要がないのです。

ここでも,「望ましい」が使われていますね。


<今日の一言>

第22回の問題と異なり,今日の問題は人名が使われていません。

例えば,選択肢1に人名をつけてみると

1 テイラー(Taylor,F.W.)は,複雑な外部環境の変化に対応して組織を管理するために科学的管理を考案した。

という文になります。

主張したいのは,

重要なのは,人名ではなく,その中身である

ということです。

多くの受験生は,歴史と人名を苦手としています。

しかし,人名を正しく覚えておかなければならないのは,

児童福祉領域で出題される

留岡幸助
石井十次
石井亮一
野口幽香

といった面々や

社会理論系で出題される

ウェーバー
マッキーバー
テンニース

などといった古典的な人たちです。

これらは,実績が重要なので

留岡幸助=家庭学校

といった覚え方をしても最低限何とかなるのに対し

テイラー=科学的管理法

といった覚え方は,完全にミスマッチです。

覚えるべき優先度は,人名ではなく,その内容です。

科学的管理法=標準的な作業量を決めて賃金に差をつけた

といったものとなります。

私たちチームfukufuku21は,学習ノートをつくることはおすすめしません。

ノートを作ると,ノートに書きこむことが目的になってしまうおそれがありますし,自分が書いたノートを使って勉強したとき,先ほどのようなミスマッチがあれば,得点力につながらないからです。

私は書いて覚える派です

という方がいます。漢字を覚えるときは,何度も書いて覚えたでしょう。
それは,漢字を正しく覚えることが必要だからです。

しかし,社会福祉士の国試は,丸暗記が役立つものはまずありません。

書いて覚える派であったとすれば,ノートに書き込むのではなく,使っている参考書に気がついたこと,特に押さえておきたいことを書き込むのが良いです。

そうすれば,参考書+ノートではなく,参考書1つで勉強できます。

何度も受験して,合格基準点に到達しない方は,ぜひ学習方法を見直してみましょう。
覚えるべきポイントがずれるいわゆるミスマッチが起きているかもしれません。

メイヨーら=ホーソン実験を行った

といった覚え方では,国試では絶対に得点につながりません。


重要なのは,人名ではなく,その中身である

2024年12月25日水曜日

リーダーシップ理論~パス・ゴール理論

 今回がリーダーシップ理論の最終回です。


今回は,コンティンジェンシー理論の一つである「パス・ゴール理論」と行動理論の一つである「マネジリアル・グリッド」を紹介したいと思います。

まずは,パス・ゴール理論です。

ブルームらの期待理論に基づき,魅力的なゴール(目標)に至る明確なパス(経路)を示すことがリーダーの役割だとします。

ブルームらの期待理論
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/08/20190808.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/08/20190809.html


パス・ゴール理論は,コンティンジェンシー理論です。
変化する状況として「環境的要因」と「個人的要因」を挙げています。

























パス・ゴール理論では,リーダーの行動をこの図のように「指示型リーダーシップ」「参加型リーダーシップ」「支援型リーダーシップ」「達成志向型リーダーシップ」に分類していますが,現時点では,ここまで詳しく覚える必要性はないと言えます。

さて,次はマネジリアル・グリッドです。

マネジリアル・グリッドは,「人に対する関心」と「業績に対する関心」の2軸でリーダーシップのスタイルを分析するものです。




























マネジリアル・グリッドでは「9・9型」が最も優れたリーダーシップであるとしています。「グリッド」は「格子」を意味しています。

PM理論を格子状に細かくしたものが,マネジリアル・グリッドだと押さえるとよいでしょう。


それでは,今日の問題です。


第31回・問題120 

リーダーシップの理論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 パス・ゴール理論では,メンバーの目標達成のための道筋を明示することが,リーダーシップの本質であるとしている。

2 フィードラー理論に代表される「条件適合理論」において,リーダーの行動は「構造づくり」と「配慮」に集約される。

3 三隅二不二は,リーダーシップの行動面に注目して,集団の「目標達成行動」と「集団維持機能」の2次元で類型化したSL理論を示した。

4 カリスマ的リーダーシップでは,リーダーのスタイルを任務実行志向と人間関係志向に分類する。

5 マネジリアル・グリッドでは,「人に対する関心」と「業績に対する関心」の2軸で類型化し,「1・1型」が最も理想的なリーダーシップのスタイルであるとしている。



バランスのよい問題だと思います。

勉強不足の人は,まったく解けない問題でしょう。

難易度が高いので,勉強をしっかりした人でも正解するのは大変です。

しかし,こういった問題であっても,落ち着いてさえいれば,糸口は見つけられるので,決して焦ることはないです。焦ると問題文が正しく読めなくなるので要注意です。



さて,正解は,選択肢1


1 パス・ゴール理論では,メンバーの目標達成のための道筋を明示することが,リーダーシップの本質であるとしている。


パス・ゴール理論を述べたそのままズバリの内容です。


それでは,ほかの選択肢はどこが間違っているのかを確認していきましょう。


2 フィードラー理論に代表される「条件適合理論」において,リーダーの行動は「構造づくり」と「配慮」に集約される。

条件適合理論=コンティンジェンシー理論では,リーダーの行動は,それぞれ異なります。


理論

状況

リーダーの行動スタイル

フィードラー理論

人間関係,タスク内容,リーダー権限

仕事志向型(タスク志向型)

人間関係志向型

SL理論

メンバーの習熟度,意欲

教示的リーダーシップ

説得的リーダーシップ

参加型リーダーシップ

委任的リーダーシップ

パス・ゴール理論

環境的要因,個人的特性

指示型リーダーシップ

参加型リーダーシップ

支援型リーダーシップ

達成志向型リーダーシップ




このようにまとめることができますが,リーダーの行動スタイルまでは覚えなくても,それぞれはコンティンジェンシー理論であることが理解できていれば,おそらく国試では答えられるはずです。

リーダーシップを「構造づくり」と「配慮」に分類したのは,オハイオ州立大学研究です。


3 三隅二不二は,リーダーシップの行動面に注目して,集団の「目標達成行動」と「集団維持機能」の2次元で類型化したSL理論を示した。

故・三隅先生の理論は,PM理論です。今は落ち着いて問題文を読んでいるので,SL理論をPM理論に読み間違うことはないと思います。

しかし,国試会場では,普段はしないようなミスをします。

この問題もPM理論と読み間違う恐れは十二分にあります。


4 カリスマ的リーダーシップでは,リーダーのスタイルを任務実行志向と人間関係志向に分類する。



任務遂行志向とは,おそらく仕事志向型(タスク志向型)と同意語です。

そうすれば,この2つに分類したのは,フィードラー理論だということになります。

しかしそれを正確にわかっていなくとも,カリスマ的リーダーシップは,もともとはウェーバーの支配システムであり,リーダーシップ理論ではないので,このような分類はしないだろうと想像することができるでしょう。


5 マネジリアル・グリッドでは,「人に対する関心」と「業績に対する関心」の2軸で類型化し,「1・1型」が最も理想的なリーダーシップのスタイルであるとしている。


マネジリアル・グリッドは,この時が初めての出題でした。

1のパス・ゴール理論を正解にできないとこの選択肢の正否を判断できないので,消去法で正解にたどり着くことができません。

2024年12月24日火曜日

リーダーシップ理論の総まとめ(永久保存版)

 リーダーシップ理論には,3つの流れがあります。

 

①特性理論

②行動理論

③状況適合理論(コンティンジェンシー理論)

 

特性理論は,昔のリーダーシップ理論です。

端的に言えば,優れた能力が持つ者がリーダーとなる。

リーダーシップは,生得的だというものです。

 

優れたリーダーはどのような資質を持っているのか,ということを研究していきます。

 

しかし,結論は出ることなく,特性理論にとって代わったのが「行動理論」です。

行動理論では,優れたリーダーは資質によるものではなく,行動が優れていると考えます。

 

PM理論,レヴィンらのリーダーシップ理論,マネジリアル・グリッドなどが行動理論となります。

行動理論の特徴は,優れたリーダーシップ行動は「〇〇だ」と提示していることです。

 

行動理論をもう一歩進めたものが「状況適合理論(コンティンジェンシー理論)」です。

コンティンジェンシー理論は,特定のリーダーシップ行動が優れているとするとするのではなく,適切なリーダーシップ行動は,状況によって変わると考えるものです。

 

フィードラー理論,SL理論,パスゴール理論などがコンティンジェンシー理論となります。

 

コンティンジェンシー理論の特徴は,先述のように,適切なリーダーシップ行動は状況によって変わるものなので,優れたリーダーシップ行動は「〇〇だ」とは言いません。


〈PM理論〉 行動理論


マネジリアル・グリッド〉 行動理論













PM理論では「PM型」,マネジリアル・グリッドでは「9・9型」が最も優れたリーダーシップであるとしています。「グリッド」は「格子」を意味しています。

PM理論を格子状に細かくしたものが,マネジリアル・グリッドだと押さえるとよいでしょう。


〈フィードラー理論〉  コンティンジェンシー理論





















フィードラー理論は,コンティンジェンシー理論ですから,「タスク(仕事)志向型」と「人間関係志向型」のリーダーシップは,状況によって変わると考えるところに特徴があります。


〈SL理論〉  コンティンジェンシー理論




























SL理論が着目しているのは,メンバーの仕事(タスク)に対する習熟度と意欲です。


この図の矢印は,メンバーの習熟度と意欲を表わしています。

<メンバーの習熟度と意欲>

低い → 教示的リーダーシップ
高い → 委任的リーダーシップ

この過渡期にあるものが,説得的リーダーシップであり,参加的リーダーシップです。



〈パス・ゴール理論〉 コンティンジェンシー理論


























ブルームらの期待理論に基づき,魅力的なゴール(目標)に至る明確なパス(経路)を示すことがリーダーの役割だとします。



このほかに国家試験では,ウェーバーの支配システム,レヴィンらのリーダーシップ理論,オハイオ州立大学研究,ミシガン大学研究などが出題されています。


ウェーバーの支配システムはともかく,レヴィンらのリーダーシップ理論,オハイオ州立大学研究,ミシガン大学研究は,行動理論に位置づけられます。


それでは,今日の問題です。


第31回・問題120 

リーダーシップの理論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 パス・ゴール理論では,メンバーの目標達成のための道筋を明示することが,リーダーシップの本質であるとしている。

2 フィードラー理論に代表される「条件適合理論」において,リーダーの行動は「構造づくり」と「配慮」に集約される。

3 三隅二不二は,リーダーシップの行動面に注目して,集団の「目標達成行動」と「集団維持機能」の2次元で類型化したSL理論を示した。

4 カリスマ的リーダーシップでは,リーダーのスタイルを任務実行志向と人間関係志向に分類する。

5 マネジリアル・グリッドでは,「人に対する関心」と「業績に対する関心」の2軸で類型化し,「1・1型」が最も理想的なリーダーシップのスタイルであるとしている。



苦手だ,と思う人にとっては,ちんぷんかんぶんでしょう。

しかし,リーダーシップ理論の出題頻度は高いので,苦手だと思わず覚えるしかありません。

それでは解説です。



1 パス・ゴール理論では,メンバーの目標達成のための道筋を明示することが,リーダーシップの本質であるとしている。

これが正解です。

パス・ゴール理論は,コンティンジェンシー理論です。



2 フィードラー理論に代表される「条件適合理論」において,リーダーの行動は「構造づくり」と「配慮」に集約される。


リーダーの行動は「構造づくり」と「配慮」に集約されるとしたのは,オハイオ州立大学研究です。

オハイオ州立大学研究は,行動理論です。


3 三隅二不二は,リーダーシップの行動面に注目して,集団の「目標達成行動」と「集団維持機能」の2次元で類型化したSL理論を示した。

三隅先生が提唱したのは,PM理論です。

PM理論も行動理論です。



4 カリスマ的リーダーシップでは,リーダーのスタイルを任務実行志向と人間関係志向に分類する。

リーダーのスタイルを任務実行志向と人間関係志向に分類するのは,フィードラー理論です。


フィードラー理論は,コンティンジェンシー理論です。


5 マネジリアル・グリッドでは,「人に対する関心」と「業績に対する関心」の2軸で類型化し,「1・1型」が最も理想的なリーダーシップのスタイルであるとしている。

マネジリアル・グリッドが最も理想的なリーダーシップだとしたのは,「9・9型」です。

マネジリアル・グリッドは,行動理論です。

2024年12月23日月曜日

リーダーシップに関する基礎理論~レヴィンらのリーダーシップ理論~

 今回は,レヴィンらが提唱したリーダーシップ理論を紹介したいと思います。


国試問題からリーダーシップ理論を追っかけているので,体系的ではないことをお許しください。


レヴィンらが提唱したリーダーシップのスタイル


 ①専制型リーダーシップ

 ②放任型リーダーシップ

 ③民主型リーダーシップ


このうち,最も優れているのは「民主的リーダーシップ」だとしています。


これでわかるように,行動理論です。コンティンジェンシー理論ではありません。


それでは,今日の問題です。



第26回・問題122 

リーダーシップに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 人間関係を友好的に保つための配慮と,集団目標の達成に向けてメンバーを統合する体制づくりは,専制的リーダーシップの特徴である。

2 リーダーシップのあり方として,状況に合わせたスタイルや行動が重視される。

3 変革型リーダーシップは,安定した環境において効力を発輝するといわれている。

4 リーダーシップは,組織的に位置づけられた公式的な管理者だけが発揮できるものである。

5 フォロワーがリーダーを支えるフォロワーシップは,リーダーシップに影響を与えることはない。





この問題の答えは,選択肢2です。


2 リーダーシップのあり方として,状況に合わせたスタイルや行動が重視される。


これは「コンティンジェンシー理論」を述べたものです。

コンティンジェンシー理論は,現代のリーダーシップ研究の主流です。


リーダーシップ理論に関連する問題を出題する時は,必ずコンティンジェンシー理論を中心として展開されることでしょう。


それでは,ほかの選択肢はどこが間違っているのか確認していきましょう。



1 人間関係を友好的に保つための配慮と,集団目標の達成に向けてメンバーを統合する体制づくりは,専制的リーダーシップの特徴である。


これがレヴィンらのリーダーシップ理論に関連するものです。

レヴィンらが提唱したリーダーシップのスタイルは,以下のものでしたね。


①専制型リーダーシップ

②放任型リーダーシップ

③民主型リーダーシップ


それぞれのスタイルを詳しく説明しておりませんが,専制型(専制的)リーダーシップという言葉から,いわゆるワンマン型のリーダーシップだとイメージできることでしょう。

人間関係を友好的に保つための配慮と,集団目標の達成に向けてメンバーを統合する体制づくりは,民主型リーダーシップです。



3 変革型リーダーシップは,安定した環境において効力を発輝するといわれている。


変革型リーダーシップを聞いたことがなくても,「変革型」と「安定した環境」は,馴染まないことはイメージできることでしょう。


安定した環境では,前例に従うのが一番です。


変革型が必要なのは,環境変化が大きい状況です。


江戸時代に黒船が来航して,江戸幕府は混乱し,各藩に意見を求めたことから幕府の威厳が低下していきます。変化に対応できた雄藩が次の時代を作っていきます。


歴史小説が,いつも経営者に人気があるのは,歴史にはいくつも学ぶべき点を見つけることができるからでしょう。



4 リーダーシップは,組織的に位置づけられた公式的な管理者だけが発揮できるものである。


リーダーシップは,上位者から下位者だけではなく,同僚に対して,下位者から上位者に対して,他部門に対して,など様々な側面があります。



5 フォロワーがリーダーを支えるフォロワーシップは,リーダーシップに影響を与えることはない。


新しい言葉としてフォロワーシップが出現してきました。

リーダーシップは,人と人の関連性の中で発揮するものです。


フォロワーの態度形成は極めて大きな意味を持ちます。



<今日の一言>


国試は,勉強不足の人にとっては,とても難しいものです。

しかし,勉強した人は得点できるように,工夫されているのが今の国試です。断言できます。


ポイントをしっかり押さえていけば,必ず合格基準点は越えます。


なぜなら,多くの受験生は勉強不足で国試に臨むので,せっかく試験委員が点数を取りやすいように問題を作っているにもかかわらず,そこに気がつかないからです。


こういったところでどんどん差がついていくので,勉強不足の人は,合格基準点を上回ることが極めて厳しくなります。


しっかり勉強した人は,点数が取れる試験です。

2024年12月22日日曜日

リーダーシップに関する基礎理論~コンティンジェンシー理論

今回は,リーダーシップ理論を取り上げます。


特性論は,優れたリーダーシップを発揮できるのは,優れた素養を生まれ持ったリーダーである,という考え方です。


ところが,研究を進めても,優れた素養について,共通するものを見出すことができず,衰退します。


現代は,優れたリーダーシップは,行動によって決まるとされる行動理論に移ってきています。


さらに今日では,優れたリーダーシップ行動は,状況によって変わるとする「コンティンジェンシー理論」が提唱されています。

当然ながら,コンティンジェンシー理論は,「最も優れたリーダーシップ行動は〇〇である」といったことは言いません。


それでは,今日の問題です。


第29回・問題123 

リーダーシップに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 コンティンジェンシー理論では,特定のリーダーシップ行動の普遍的有効性を重視する。

2 行動アプローチでは,リーダーシップという影響力の実体をリーダー個人の身体的・精神的資質として捉える。

3 変革型リーダーシップ論では,メンバー個々の動機づけや知的刺激を排除するリーダーの行動を重視する。

4 リーダーシップの特性論では,課題志向型と人間関係志向型の二つの行動を重視する。

5 フォロワーシップ理論では,フォロワーの自律性を引き出すリーダーの役割を重視する。


リーダーシップ理論の知識がないと,うんざりしてしまうような問題かもしれません。




正解は,


5 フォロワーシップ理論では,フォロワーの自律性を引き出すリーダーの役割を重視する。



改めて読むと「なるほど」と思うかもしれませんが,正解だと思うのはなかなか難しい問題です。



その理由は,以下です。これが混乱させる要因です。


4 リーダーシップの特性論では,課題志向型と人間関係志向型の二つの行動を重視する。



特性論は,リーダーシップ行動を重視するものではなく,優れたリーダーは優れた素養を生まれ持っていると考えるものです。


つまり,リーダーシップは学ぶものではなく,リーダーになるべき人がリーダーになると考えて良いでしょう。特性論は,あまりに前時代的だと思いませんか。



特性論を述べたものは,


リーダーシップという影響力の実体をリーダー個人の身体的・精神的資質として捉える。


よほどひねくれた試験委員でない限り,特性論を正解にする問題はないように思います。


特性論では,リーダーシップは学ぶことができないと考えます。


それよりは,コンティンジェンシー理論を学んでもらった方が良いです。


コンティンジェンシー理論には,


フィードラー理論


SL理論


パス・ゴール理論


などがあります。



コンティンジェンシー理論を押さえるポイントは,適切なリーダーシップは,状況によって変わるものであるというところです。


コンティンジェンシー理論にもかかわらず,唯一の方法がある,といったものは,すべて間違いとなります。最低でもこれだけは押さえておきたいです。


ほかの選択肢も一応確認します。


1 コンティンジェンシー理論では,特定のリーダーシップ行動の普遍的有効性を重視する。


もしこれが正解だと思ったとしたら,コンティンジェンシー理論の理解が不足していると言えるでしょう。


コンティンジェンシー理論は,状況に合わせて適切なリーダーシップは変わる,というものです。特定のリーダーシップ行動の普遍的有効性を重視しているのは,行動理論です。


PM理論ではあれば,PM型

マネジリアル・グリッドであれば,9・9型

レヴィンらのリーダーシップ理論であれば,民主型リーダーシップ


これらが最も優れたリーダーシップだと提唱しています。


コンティンジェンシー理論は,状況によって適切なリーダーシップ行動は変化するので,どの状況に対しても有効である普遍的な行動スタイルはありません。



2 行動アプローチでは,リーダーシップという影響力の実体をリーダー個人の身体的・精神的資質として捉える。


リーダーシップという影響力の実体をリーダー個人の身体的・精神的資質として捉えるのは「特性理論」です。特性理論ではリーダーシップ研究には限界があり,その後出てきたのが「行動理論」です。



3 変革型リーダーシップ論では,メンバー個々の動機づけや知的刺激を排除するリーダーの行動を重視する。


またまた変革型リーダーシップが出題されています。


リーダーシップ行動には,状況によって程度は変化しますが,動機づけや知的刺激への働きかけは,必ず存在します。


変化が大きければ大きいほど,その変化についていけず,反発する人も出てくるでしょう。


人はロボットではありません。外の変化にも対応しなければなりませんが,同時に内部環境にも目を向けることが大切です。



4 リーダーシップの特性論では,課題志向型と人間関係志向型の二つの行動を重視する。


特性論(特性理論)は,選択肢2で述べたように,リーダーシップという影響力の実体をリーダー個人の身体的・精神的資質として捉えるものです。

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