2024年9月22日日曜日

地方財政の頻出ポイント

 

今回は,地方財政を学びます。

 

旧カリキュラムでは,「福祉行財政と福祉計画」という独立した科目に含まれていたので,出題頻度が高いものでした。

 

しかし,令和元年度カリキュラムでは「地域福祉と包括的支援体制」に含められたので,必ず出題されるものではなくなったかもしれませんが,しっかり学んでおきたいです。

 

それでは,今日の問題です。

 

第33回・問題46

「令和2年版地方財政白書」(総務省)における地方財政の状況(普通会計)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 都道府県及び市町村の歳入純計決算額では,地方交付税の割合が最も大きい。

2 都道府県の目的別歳出では,土木費の割合が最も大きい。

3 市町村の目的別歳出では,民生費の割合が最も大きい。

4 都道府県の性質別歳出では,公債費の割合が最も大きい。

5 市町村の性質別歳出では,補助費等の割合が最も大きい。

 

地方財政が面倒なのは,都道府県,市町村,そしてこれらの純計の3つを覚えなければならないためです。

 

それらを整理しながら,解説していきます。

 

1 都道府県及び市町村の歳入純計決算額では,地方交付税の割合が最も大きい。

 

歳入で最も大きいのは,地方税です。

 

地方分権によって,財源を地方に移しているためです。

 

2 都道府県の目的別歳出では,土木費の割合が最も大きい。

3 市町村の目的別歳出では,民生費の割合が最も大きい。

 

目的別歳出(最も大きいもの)

純計

民生費

都道府県

教育費

市町村

民生費

 

ということで,正解は,選択肢3です。

3 市町村の目的別歳出では,民生費の割合が最も大きい。

 

都道府県が教育費が多い理由は,政令指定都市を除く市町村立義務教育諸学校教職員の人件費を負担しているためです。

 

4 都道府県の性質別歳出では,公債費の割合が最も大きい。

5 市町村の性質別歳出では,補助費等の割合が最も大きい。

 

性質別歳出(最も大きいもの)

純計

人件費

都道府県

補助費等

市町村

扶助費

 

扶助費とは,生活困窮者,児童,障害者等を援助するために要する経費です。

 

補助費等とは,市町村に対する都道府県の負担金,さまざまな団体等への補助金,公営企業に対する負担金などです。

 

都道府県が補助費等が多く,市町村は扶助費が多くなる理由が理解できるでしょう。

 

この問題では出題されていませんが,民生費の目的別内訳も重要です。

 

民生費の目的別内訳(最も大きいもの)

純計

児童福祉費

都道府県

老人福祉費

市町村

児童福祉費

 

都道府県は老人福祉費が多いのは,後期高齢者医療事業会計,介護保険事業会計への負担金を拠出しているためです。

2024年9月21日土曜日

専門機関に配置される職員

 

今回は,専門機関に配置義務がある職員を学んでいきます。

 

専門機関

配置職員

福祉事務所

社会福祉主事

児童相談所

児童福祉司

身体障害者更生相談所

身体障害者福祉司

知的障害者更生相談所

知的障害者福祉司

女性相談支援センター

女性相談支援員

 

精神保健福祉法に基づく専門職員には,精神保健福祉相談員がありますが,精神保健福祉センターや保健所などに任意で配置されます。

 

これだけなぜか,配置は任意となっています。

 

それでは,今日の問題です。

 

第33回・問題45

次のうち,行政機関に配置が義務づけられている職種として,正しいものを1つ選びなさい。

1 身体障害者更生相談所の身体障害者相談員

2 都道府県福祉事務所の知的障害者福祉司

3 婦人相談所の母子・父子自立支援員

4 精神保健福祉センターの精神保健福祉相談員

5 児童相談所の児童福祉司

 

今は,制度改正があってなくなった専門機関と専門職員が混ざっています。

 

それでは,解説です。

 

1 身体障害者更生相談所の身体障害者相談員

 

身体障害者相談員はあまり聞いたことがない職種ではないでしょうか。

 

多くの場合,身体に障害のある当事者に業務を委託されています。

 

身体障害者福祉法では

 

「市町村は、身体に障害のある者の福祉の増進を図るため、身体に障害のある者の相談に応じ、及び身体に障害のある者の更生のために必要な相談援助を、社会的信望があり、かつ、身体に障害のある者の更生援護に熱意と識見を持つている者に委託することができる。」

 

と規定しています。

 

身体障害者更生相談所に配置義務がある専門職は,身体障害者福祉司です。

 

社会福祉士は,実務経験を必要とせずに身体障害者福祉司に任用されます。

 

2 都道府県福祉事務所の知的障害者福祉司

 

福祉事務所に配置義務がある専門職は,社会福祉主事です。

 

知的障害者福祉司を配置しなければならないのは,知的障害者更生相談所です。

 

3 婦人相談所の母子・父子自立支援員

 

売春防止法に規定されていた婦人相談所は,法改正によって,2024年(令和6)年3月31日に廃止されました。

 

変わりに,女性支援新法(困難な問題を抱える女性への支援に関する法律)に基づく女性相談支援センターが誕生しました。

 

女性相談支援センターに配置義務がある専門職は,女性相談支援員です。

 

4 精神保健福祉センターの精神保健福祉相談員

 

前説のように,精神保健福祉法に規定される精神保健福祉相談員は,精神保健福祉センターに配置されています。

 

しかし,配置は義務ではなく任意です。

 

5 児童相談所の児童福祉司

 

これが正解です。

 

児童福祉司は,児童相談所に配置義務があります。

2024年9月20日金曜日

専門機関の設置義務

 

専門機関の設置には,義務,努力義務,任意の3段階があります。

 

以下,主なものを挙げます。

 

市町村

義務

努力義務

任意

 

基幹相談支援センター

こども家庭センター

地域包括支援センター

 

都道府県

義務

努力義務

任意

福祉事務所

女性相談支援センター

身体障害者更生相談所

知的障害者更生相談所

精神保健福祉センター

児童相談所

 

発達障害者支援センター

 

基幹相談支援センターの設置は,従来は,任意でしたが,2024年(令和6)年4月から努力義務に変わっています。

 

それでは,今日の問題です。

 

第33回・問題44 

次のうち,都道府県が設置しなければならないと法律に規定されている行政機関として,正しいものを1つ選びなさい。

1 発達障害者支援センター

2 基幹相談支援センター

3 地域包括支援センター

4 精神保健福祉センター

5 母子健康包括支援センター

 

この中で,制度が変わって,名称と根拠法が変更になっているものがあります。

 

それでは,解説です。

 

1 発達障害者支援センター

 

発達障害者支援法に基づく発達障害者支援センターは,都道府県が設置することができます。

 

つまり,設置は任意です。

 

2 基幹相談支援センター

 

障害者総合支援法に基づく基幹相談支援センターは,市町村が設置に努めなければなりません。

 

つまり,設置は努力義務です。

 

3 地域包括支援センター

 

介護保険法に基づく地域包括支援センターは,市町村が設置することができます。

 

つまり,設置は任意です。

 

4 精神保健福祉センター

 

精神保健福祉法に基づく精神保健福祉センターは,都道府県と指定都市が設置しなければなりません。

 

つまり,これが正解です。

 

5 母子健康包括支援センター

 

母子保健法に基づく母子健康包括支援センターは,2024年(令和6)年4月に,児童福祉法に基づく子ども家庭総合支援拠点の機能を見直して,児童福祉法に基づくこども家庭センターに変わりました。

 

こども家庭センターは,市町村が設置に努めなければなりません。

 

つまり,設置は努力義務です。

 

〈今日のまとめ〉

 

都道府県に設置義務があるのは,専門性の高い業務を行う機関です。

 

専門機関ではありませんが,社会福祉士の国家試験に出題される「〇〇協議会」(要保護児童対策協議会など)で設置が義務であるのは存在していません。多くは努力義務,あるいは任意です。


2024年9月19日木曜日

国庫負担金と国庫補助金

 

今回は,国庫負担金と国庫補助金を学びます。

 

国庫負担金

地方公共団体に対して義務的に負担するもの。

〈例〉

・生活保護費

・介護保険の介護給付費

・児童手当費

・児童扶養手当費

・生活困窮者自立相談支援事業費

・生活困窮者住居確保給付金費

・障害福祉サービス費 など

国庫補助金

地方公共団体に対して補助するもの。

〈例〉

・社会福祉施設等施設整備費

・生活困窮者家計改善支援事業費

・子どものための教育・保育給付交付金 など

 

 

それでは,今日の問題です。

 

第33回・問題43 

福祉の財源に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 生活困窮者自立支援法に基づき,生活困窮者家計改善支援事業の費用には国庫負担金が含まれる。

2 生活保護法に基づき,保護費には国庫補助金が含まれる。

3 介護保険法に基づき,介護給付費には国庫負担金が含まれる。

4 身体障害者福祉法に基づき,身体障害者手帳の交付措置の費用には国庫補助金が含まれる。

5 「障害者総合支援法」に基づき,地域生活支援事業の費用には国庫負担金が含まれる。

 

これは,なかなかの難問です。

 

それでは,解説です。

 

1 生活困窮者自立支援法に基づき,生活困窮者家計改善支援事業の費用には国庫負担金が含まれる。

 

生活困窮者家計改善支援事業の費用は,国庫補助金が支出されます。

 

 

2 生活保護法に基づき,保護費には国庫補助金が含まれる。

 

生活保護費には,国庫負担金が支出されます。

 

3 介護保険法に基づき,介護給付費には国庫負担金が含まれる。

 

これが正解です。

 

国庫負担という言葉はよく聞きますが,国が義務的に支出するものが,国庫負担金です。

 

4 身体障害者福祉法に基づき,身体障害者手帳の交付措置の費用には国庫補助金が含まれる。

 

体障害者手帳の交付措置の費用には,国庫負担金が支出されます。

 

 

5 「障害者総合支援法」に基づき,地域生活支援事業の費用には国庫負担金が含まれる。

 

地域生活支援事業の費用には,国庫補助金が含まれます。

 

〈今日のまとめ〉

 

この問題を通して,何となくわかることは,国庫負担金は,地方公共団体に義務づけている事業費に支出されることが多いようです。

 

それに対して,国庫補助金は,地方公共団体が独自に行う事業や努力義務の事業に対して支出されることが多いようです。

 

国家試験に再び出題された際は,これを手掛かりに考えると良さそうです。

2024年9月18日水曜日

都道府県の役割の基本の基本

 

国家試験は五者択二,あるいは,五者択二の問題で構成されています。

当然ですが,正解以外は誤りです。


ところが,誤りの文章を作るのは,かなり難しいものです。

そのため,いくつかの方法が使われます。その一つが市町村と都道府県の入れ替えです。


知識不足では,解けないので,かなり手ごわい問題となります。


それでは,今日の問題です。


第33回・問題42

都道府県の役割に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 

1 生活困窮者自立支援法に基づき,生活困窮者自立相談支援事業を行う。

2 老人福祉法に基づき,養護老人ホームへの入所措置を行う。

3 「障害者総合支援法」に基づき,介護給付費の支給決定を行う。

4 子ども・子育て支援法に基づき,市町村子ども・子育て支援事業計画を定めるに当たって参酌すべき標準を定める基本指針を策定する。

5 介護保険法に基づき,地域密着型サービス事業者の指定を行う。

(注) 「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。


勉強には,とても良い問題です。しっかりと押さえていきましょう。


それでは,解説です。


1 生活困窮者自立支援法に基づき,生活困窮者自立相談支援事業を行う。


これが正解です。


生活困窮者自立支援法で規定される必須事業には,生活困窮者住宅確保給付金と生活困窮者自立相談支援事業の1つがあります。


これらは,都道府県と市,そして福祉事務所を設置する町村に実施義務があります。


生活困窮者自立相談支援事業は,委託して実施することができます。


2 老人福祉法に基づき,養護老人ホームへの入所措置を行う。


老人福祉法に基づく入所措置は,市町村の役割です。


この問題には出題されていませんが,児童福祉法に基づく入所措置は,都道府県の役割です。


大人は,入所も通所も市町村が決定します。


しかし,児童は,入所の決定は都道府県,通所の決定は市町村,役割が分かれているので,注意が必要です。


3 「障害者総合支援法」に基づき,介護給付費の支給決定を行う。


障害者総合支援法の実施主体は,市町村です。


そのため,ほとんどは市町村が実施します。


障害者総合支援法における都道府県の役割

・自立支援医療のうち,精神通院医療の支給決定

・指定一般相談支援事業者の指定

・障害福祉サービス事業者の指定

・地域生活支援事業のうち,専門性の高い事業

・都道府県障害福祉計画の策定


これら以外は,基本的に市町村の役割です。


なお,事業者の指定は基本的には都道府県の役割ですが,障害者総合支援法では,指定特定相談支援事業者の指定のみは,市町村の役割です。


4 子ども・子育て支援法に基づき,市町村子ども・子育て支援事業計画を定めるに当たって参酌すべき標準を定める基本指針を策定する。


基本指針を定めるのは,中央政府の役割です。


子ども・子育て支援法の場合は,内閣総理大臣が定めます。

厚生労働大臣ではないところに注意が必要です。


5 介護保険法に基づき,地域密着型サービス事業者の指定を行う。


介護保険法でも基本的に事業者の指定は都道府県の役割です。


しかし,

地域密着型サービス事業者

介護予防サービス事業者

居宅介護支援事業者


の指定は,市町村の役割です。


児童福祉法には,地域密着型サービスのようなものはないので,事業者の指定は基本的には都道府県の役割です。


ただし,児童福祉法でも例外があります。障害児相談支援事業者の指定のみは,市町村の役割です。

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