歴史が苦手だ,という人はたくさんいます。
それはそれで仕方がないのですが,覚えるべきポイントはそれほど多くはないので,苦手だと思わず取り組んでほしいと思います。
年号がわからなくて,解けないという問題はほとんどありません。
覚え方のコツは
★我が国初の社会保険制度は,健康保険法
★社会保険制度は,医療保険制度が先で,後から年金保険制度
このような覚え方ができるのは,国家試験はどのように出題されているのかを知っているからです。
それでは,今日の問題です。
第35回・問題49
日本の社会保障の歴史に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会保険制度として最初に創設されたのは,健康保険制度である。
2 社会保険制度のうち最も導入が遅かったのは,雇用保険制度である。
3 1950年(昭和25年)の社会保障制度審議会の勧告では,日本の社会保障制度は租税を財源とする社会扶助制度を中心に充実すべきとされた。
4 1986年(昭和61年)に基礎年金制度が導入され,国民皆年金が実現した。
5 2008年(平成20年)に後期高齢者医療制度が導入され,老人医療費が無料化された。
正解はすぐわかると思います。
とても基本的なものが正解となっています。
歴史問題の出題内容は限られているので,実は得点しやすいです。
選択肢3については,同じ内容が3回も出題されています。
〈第27回〉
1950年の社会保障制度審議会勧告は,日本の社会保障制度について,租税を財源とした社会扶助制度を中心に充実させるとした。
〈第32回〉
1950年(昭和25年)の社会保障制度審議会の勧告では,日本の社会保障制度は租税を財源とする社会扶助制度を中心に充実すべきとされた。
〈第35回〉
1950年(昭和25年)の社会保障制度審議会の勧告では,日本の社会保障制度は租税を財源とする社会扶助制度を中心に充実すべきとされた。
第32回と第35回は,まったく同じ文章で出題されています。これはとても珍しいことです。
それでは解説です。
1 社会保険制度として最初に創設されたのは,健康保険制度である。
前説のようにこれが正解です。
医療保険制度は,先に被用者が対象の健康保険ができて,そのあとに自営業者などが対象の国民健康保険ができました。
年金制度では,先に被用者が対象の厚生年金ができて,そのあとに全国民が対象の国民年金ができました。
〈成立順〉
健康保険
↓
国民健康保険
↓
厚生年金
↓
国民年金
2 社会保険制度のうち最も導入が遅かったのは,雇用保険制度である。
日本の社会保険制度は5種類です。
〈成立順〉
医療保険(健康保険)
↓
年金保険(厚生年金)
↓
労働保険(雇用保険と労災保険)
↓
年金保険(国民年金)
↓
介護保険
3 1950年(昭和25年)の社会保障制度審議会の勧告では,日本の社会保障制度は租税を財源とする社会扶助制度を中心に充実すべきとされた。
社会保障制度審議会の勧告(1950年)では,社会保険制度を中心に充実すべきであることを提言しています。
この勧告は,社会保障制度の範囲と方法を示しています。
4 1986年(昭和61年)に基礎年金制度が導入され,国民皆年金が実現した。
国民皆年金が実現したのは,1961年(昭和36年)の国民年金法の施行です。
5 2008年(平成20年)に後期高齢者医療制度が導入され,老人医療費が無料化された。
70歳以上の老人医療費を無料化したのは,1973年(昭和48年)です。
1982年(昭和57年)に老人保健法が成立して,医療費を一部負担することになります。