日本は,1982年(昭和57年)に難民条約を批准しています。
この批准に伴い,ほとんどの社会保障制度から国籍要件が撤廃されています。
外国人であっても,それぞれの要件に合う場合は,日本人と同じ保障を受けることができます。
ただし,生活保護法は,国民を対象としているため,外国人を対象としません。
その代わりに,法的根拠はないものの,予算措置によって,生活保護を受けることができます。
それでは今日の問題です。
第35回・問題50
日本の社会保険に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 国民健康保険は,保険料を支払わないことで自由に脱退できる。
2 健康保険の給付費に対する国庫補助はない。
3 雇用保険の被保険者に,国籍の要件は設けられていない。
4 民間保険の原理の一つである給付・反対給付均等の原則は,社会保険においても必ず成立する。
5 介護保険の保険者は国である。
今日のテーマは,選択肢3に出題されています。
答えはわかると思いますが,解説します。
1 国民健康保険は,保険料を支払わないことで自由に脱退できる。
社会保険の特徴は,強制加入であることです。
国民健康保険から脱退するのは,生活保護を受給する場合,後期高齢者医療制度に加入する場合です。
2 健康保険の給付費に対する国庫補助はない。
もちろん国庫補助はあります。
ただし,健康保険組合の給付費には国庫補助はありません。
3 雇用保険の被保険者に,国籍の要件は設けられていない。
これが正解です。
雇用保険に限らず,ほとんどの社会保障制度には国籍要件はありません。
4 民間保険の原理の一つである給付・反対給付均等の原則は,社会保険においても必ず成立する。
民間保険は,保険の原理に従って運営されています。
給付・反対給付均等の原則とは,支払う保険料は,受ける保障の期待値と等しく設定されるというものです。
たとえば,民間医療保険では,保障を大きくしたい場合は,それに合わせて保険料も高く設定されます。
しかし,社会保険は,さまざまな背景によって運営されるので,給付・反対給付均等の原則は成立しません。
たとえば,公的年金保険では,将来受け取る年金額を高くしたいと思っても,それはできません。
5 介護保険の保険者は国である。
国が保険者となる社会保険制度は,厚生年金,国民年金,雇用保険,労災保険です。
介護保険の保険者は,市町村,あるいは市町村の広域連合です。
都道府県が保険者となる社会保険は,国民健康保険のみです。