2025年6月5日木曜日

難民条約の批准

 日本は,1982年(昭和57年)に難民条約を批准しています。


この批准に伴い,ほとんどの社会保障制度から国籍要件が撤廃されています。


外国人であっても,それぞれの要件に合う場合は,日本人と同じ保障を受けることができます。


ただし,生活保護法は,国民を対象としているため,外国人を対象としません。


その代わりに,法的根拠はないものの,予算措置によって,生活保護を受けることができます。


それでは今日の問題です。


第35回・問題50

日本の社会保険に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 国民健康保険は,保険料を支払わないことで自由に脱退できる。

2 健康保険の給付費に対する国庫補助はない。

3 雇用保険の被保険者に,国籍の要件は設けられていない。

4 民間保険の原理の一つである給付・反対給付均等の原則は,社会保険においても必ず成立する。

5 介護保険の保険者は国である。


今日のテーマは,選択肢3に出題されています。

答えはわかると思いますが,解説します。


1 国民健康保険は,保険料を支払わないことで自由に脱退できる。


社会保険の特徴は,強制加入であることです。


国民健康保険から脱退するのは,生活保護を受給する場合,後期高齢者医療制度に加入する場合です。


2 健康保険の給付費に対する国庫補助はない。


もちろん国庫補助はあります。


ただし,健康保険組合の給付費には国庫補助はありません。


3 雇用保険の被保険者に,国籍の要件は設けられていない。


これが正解です。


雇用保険に限らず,ほとんどの社会保障制度には国籍要件はありません。


4 民間保険の原理の一つである給付・反対給付均等の原則は,社会保険においても必ず成立する。


民間保険は,保険の原理に従って運営されています。


給付・反対給付均等の原則とは,支払う保険料は,受ける保障の期待値と等しく設定されるというものです。


たとえば,民間医療保険では,保障を大きくしたい場合は,それに合わせて保険料も高く設定されます。


しかし,社会保険は,さまざまな背景によって運営されるので,給付・反対給付均等の原則は成立しません。


たとえば,公的年金保険では,将来受け取る年金額を高くしたいと思っても,それはできません。


5 介護保険の保険者は国である。


国が保険者となる社会保険制度は,厚生年金,国民年金,雇用保険,労災保険です。


介護保険の保険者は,市町村,あるいは市町村の広域連合です。


都道府県が保険者となる社会保険は,国民健康保険のみです。

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