2018年1月5日金曜日

合格する勉強法とは?~質的データの分析の徹底理解!!

質的調査のデータは,観察法,インタビュー(面接),記録類(ドキュメント)などがあります。

前回までは,質的調査のデータの収集のしかたを紹介してきました。

いよいよ今回は,得られたデータの分析を紹介します。

国試に出題されるのは,KJ法とグラウンデッドセオリーです。

KJ法は,メイドインジャパン。川喜田二郎先生のイニシャルを取ってKJ法と名付けられています。

社会調査に限らず,外国生まれの理論が多い中,メイドインジャパンのものは出題される率が高くなります。

思いついたものをカードに書きだし,類似のものをカテゴリー化することで分析しています。


グラウンデッドセオリーは外国生まれの理論です。

グラウンデッドセオリーはうまい訳語がありません。

なぜなら,もともとあった「グラウンドセオリー」を皮肉った名称だからです。

グラウンドセオリーは「セオリー(理論)を下敷きにして」という意味です。

グラウンデッドセオリーはセオリーなしに,分析の中から新たなセオリーを発見するといった意味となります。

データ収集とオープン・コーディング(似たデータをカテゴリー化すること),軸足コーディング(カテゴリー化されたものをまとめること)を繰り返して,これ以上は新しいカテゴリーが出てこない理論的飽和という状態になったら出来上がりです。


これらを押さえて今日の問題です。

第22回・問題83

質的データの分析に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 グラウンデッド・セオリー・アプローチでは,データの収集と分析が一体となり,繰り返し実施されるのが,その特徴の一つである。

2 KJ法を利用して質的データを分類するには,理論的枠組みに基づいてあらかじめ設定された分類軸が必要である。

3 ドキュメント分析を行う際,公的機関の統計や文書あるいは新聞・雑誌などのメディア文書は分析の対象となるが,日記や手記などの個人的記録は分析の対象とはならない。

4 グラウンデッド・セオリー・アプローチにおける軸足コーディングは,単一の事象に対して,複数のコードをはり付けていくことである。

5 KJ法は,質的データの分析において,主として仮説の検証を試みる際に活用される。

前回と違ってちょっと難しいかもしれません。

しかし,KJ法,グラウンデッドセオリーが分かっていれば何とかなるでしょう。

それでは詳しく見ていきましょう。


1 グラウンデッド・セオリー・アプローチでは,データの収集と分析が一体となり,繰り返し実施されるのが,その特徴の一つである。

これが正解ですね。グラウンデッドセオリーの本質の部分をしっかりまとめていると思います。


2 KJ法を利用して質的データを分類するには,理論的枠組みに基づいてあらかじめ設定された分類軸が必要である。


グラウンデッドセオリーもそうですが,KJ法も既成の理論に基づいて分析することは求められていません。よって間違いです。


3 ドキュメント分析を行う際,公的機関の統計や文書あるいは新聞・雑誌などのメディア文書は分析の対象となるが,日記や手記などの個人的記録は分析の対象とはならない。


「〇〇は●●だが,○○は●●ではない」のパターンですね。

もちろん個人的記録も対象となります。よって間違いです。


4 グラウンデッド・セオリー・アプローチにおける軸足コーディングは,単一の事象に対して,複数のコードをはり付けていくことである。

軸足コーディングは,複数にカテゴリー化されたものを一つのカテゴリーにまとめることです。

よって間違いです。


5 KJ法は,質的データの分析において,主として仮説の検証を試みる際に活用される。



質的調査は,仮説の検証というより新たな発見のために行われることが多いです。

多くの場合,仮説の検証に用いられるのは量的調査だと言えます。

2018年1月4日木曜日

合格する勉強法とは?~質的調査の徹底理解②~インタビュー!!

質的調査のデータは,観察法,インタビュー(面接),記録類(ドキュメント)などがあります。

前回は観察法を解説しました。

今回はインタビュー(面接)です。

<覚えるべきアイテム>

自由面接法(非構造化面接)
 質問の内容を決めないで進める。

半構造化面接法
 2・3の質問をした後,その内容を語ってもらう。

構造化面接法
 質問項目(インタビューガイド)に従って進める。


面接内容の自由度
 非構造化面接>半構造化面接>構造化面接

さて,それでは今日の問題です。


第22回・問題82

調査手法としての面接法に関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。

1 構造化面接では,面接の進行は,調査対象者に任せるのが望ましい。

2 非構造化面接では,通常,詳細な質問項目や質問紙をあらかじめ用意しない。

3 社会調査で行われる面接は,収集するデータの信頼性からも,1対1で行われるのが望ましい。

4 半構造化面接では,通常,回答の選択肢を印刷した回答票を,回答者に提示して調査を進める。

5 面接法を用いる際には,調査者と調査対象者との間にラポールが形成されるのは,データの客観性を確保する上から望ましくない。


今見るとそんなに難しくはない問題かもしれません。

しかし,この問題は現行カリキュラムの第1回です。

この回は,「これからの試験は,こんな感じで出題します」といった例を示しています。

そのため今見てみるととても重要な問題が並んでいます。

ただし,この科目は試験委員が張り切りすぎたと見えて,測定の分析の部分がとても難しくなってしまっています。

そのために,この科目がとても難しく感じてしまい,いわゆる「食わず嫌い」になってしまった受験生が多いように思います。

しかし,その部分さえ無視してしまえば実はそんなには難しくはないはずです。

それでは詳しく見ていきましょう。


1 構造化面接では,面接の進行は,調査対象者に任せるのが望ましい。

構造化面接は,最もきちっと質問項目を定めた面接法です。

面接の進行は,調査者が行います。よって間違いです。


2 非構造化面接では,通常,詳細な質問項目や質問紙をあらかじめ用意しない。


非構造化面接は自由面接です。簡単なインタビューガイドは作りますが,詳細なものは作りません。

よって正解です。


3 社会調査で行われる面接は,収集するデータの信頼性からも,1対1で行われるのが望ましい。


面接は1対1で行うものもありますが,1対複数(グループインタビュー)で行うものもあります。


グループインタビューにはグループインタビューを行う意味はあります。

よって間違いです。

「望ましい」というのは,要注意です。


4 半構造化面接では,通常,回答の選択肢を印刷した回答票を,回答者に提示して調査を進める。

半構造化面接は,最初に2・3の質問をして,それを深める形で面接を進めていきます。

よって間違いです。


5 面接法を用いる際には,調査者と調査対象者との間にラポールが形成されるのは,データの客観性を確保する上から望ましくない。


ラポールは信頼関係です。

過度なラポールは不適切ですが,適度なラポール形成は適切です。

ラポール形成されていることで,普通では得ることができない情報も得られることがあるからです。

よって間違いです。


「望ましくない」というのは,要注意です。

2018年1月3日水曜日

合格する勉強法~質的調査の徹底理解!!

社会調査の手法には,量的調査と質的調査があります。

質的調査は,観察,インタビュー(面接),記録類を分析するものです。

量的調査よりは理解しやすいと思います。

それでは,今日は前説なしでいきます。


第22回・問題81

調査手法としての観察法に関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。

1 観察法においては,文字により記録したデータが主たる分析対象となるので,写真や音声などは,分析対象とはならない。

2 観察法においては,マジックミラー(ワンウェイミラー)を使った観察を行ってはならない。

3 参与観察と非参与観察の違いは,観察に当たって,調査者が観察対象者に具体的な指示を出すか出さないかである。

4 観察中にメモをするなどして蓄積されるフィールドノーツは,非参与観察では大いに活用してよいが,参与観察では使用しない方が望ましい。

5 参与観察における調査者の立場は,観察に徹する「完全な観察者」と参加を重視する「完全な参加者」との間で行き来することがある。


そんなに難しくはないかもしれません。

しかし,こういう問題で得点できるかどうか極めて重要です。

それでは詳しく見ていきましょう。


1 観察法においては,文字により記録したデータが主たる分析対象となるので,写真や音声などは,分析対象とはならない。


ちょっとスタイルは違いますが,「〇〇は●●だが,○○は●●ではない」のパターンですね。

もちろん写真や音声なども分析対象となります。

実際に観察していると,メモしきれないので,許可を得て,写真を撮ったり録音したりすることはよくあることです。

よって間違いです。


2 観察法においては,マジックミラー(ワンウェイミラー)を使った観察を行ってはならない。

言い切り表現に正解少なし,のパターンです。

許可を得るなどの配慮の上で行うのであれば,不適切とは言えません。

よって間違いです。


3 参与観察と非参与観察の違いは,観察に当たって,調査者が観察対象者に具体的な指示を出すか出さないかである。


質的調査は,文化人類学の手法を活用しています。ヨーロッパの国々が新しい文化に出会い,理解するためにいろいろな手法が使われました。

外部から観察する方法,対象者と一緒に生活しながら観察する方法などです。

前者が非参与観察,後者が参与観察です。

どちらも指示は出しません。

よって間違いです。


4 観察中にメモをするなどして蓄積されるフィールドノーツは,非参与観察では大いに活用してよいが,参与観察では使用しない方が望ましい。


内容はともかく,「望ましい」「望ましくない」という文章は,多くの場合間違い選択肢であることが多いです。

参与観察でも,メモは取ります。

よって間違いです。


5 参与観察における調査者の立場は,観察に徹する「完全な観察者」と参加を重視する「完全な参加者」との間で行き来することがある。


「あいまい表現に正解多し」は何度も出てきましたね。

「行き来することがある」があいまい表現です。

この問題でもやっぱりこれが正解です。


<今日の一言>


「あいまい表現に正解多し」「言い切り表現に正解少なし」が分かってくると,正解にたどり着きやすくなります。

2018年1月2日火曜日

合格する勉強法~調査票の配布・回収の徹底理解!!

前回は,質問紙の作り方を学びました。

今回はそれを調査対象者にどのように配布し記入するかするかについてです。

第25回に初めて出題され,それ以降は第27回を除き毎年出題されています。

それではポイントを押さえましょう。

まずは,調査票への記入法の自計式と他計式です。

「自」は調査対象者,「他」は調査者です。何回も出題されていますので,混同しないようにしっかり押さえましょう。

配布の仕方には,郵送と留置(とめおき)があります。郵送は簡単ですが,回収率は低くなる傾向があります。

留置調査は,調査員が訪問して調査票を置いてくる方法です。郵送よりも回収率は高くなりますが,経費が多くかかります。

調査員が訪問して個別に聞き取りを行う個別訪問調査という方法もあります。

それでは,今日の問題です。

第28回・問題84

調査方法と調査票への記入の仕方に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 郵送調査,留置調査,個別面接調査,電話調査の中で,実対象数を同じとすれば,調査の実施に当たっての経費と労力が最もかかるのは,郵送調査である。

2 電話調査は,調査員が質問をしながら調査票に聴き取る自計式調査である。

3 「全国世論調査の現況(平成26年版)」(内閣府)によると,公的機関,大学,メディア,企業が実施した調査の中で最も多かったのは,留置法である。

4 訪問面接調査法では,記入要領を理解した調査員が,調査対象者との面接で聞き取った内容を調査票に記入する。

5 調査票への記入の仕方として自計式は,他計式と比べて,質問の意味を正しく理解し回答を正しく記入しやすい。

この問題には,試験委員によるトラップが仕掛けられています。というのは,「全国世論調査の現況」というものがあるからです。

「こんなの知らない,分からない」と思ってしまっては,トラップにはまります。

要注意です。

それでは詳しく見ていきましょう。


1 郵送調査,留置調査,個別面接調査,電話調査の中で,実対象数を同じとすれば,調査の実施に当たっての経費と労力が最もかかるのは,郵送調査である。


経費と労力が最もかかるのは,個別面接調査ですね。

よって間違いです。

最もかからないのは,郵送調査です。


2 電話調査は,調査員が質問をしながら調査票に聴き取る自計式調査である。


自計式,他計式を理解しておかないと分からなくなります。

「自」は調査対象者です。よって間違いです。


3 「全国世論調査の現況(平成26年版)」(内閣府)によると,公的機関,大学,メディア,企業が実施した調査の中で最も多かったのは,留置法である。


これがトラップです。「こんなの知らない,分からない」と思うとだめです。

留置調査は国勢調査が代表ですが,めったに使える方法ではないことは想像しなければなりません。

何が最も多いかは分からなくても留置調査が最も使われる方法ではないことは分かるでしょう。よって間違いです。

最も多いのは手軽な郵送調査です。


4 訪問面接調査法では,記入要領を理解した調査員が,調査対象者との面接で聞き取った内容を調査票に記入する。

これが正解です。


5 調査票への記入の仕方として自計式は,他計式と比べて,質問の意味を正しく理解し回答を正しく記入しやすい。

これも自計式,他計式が正確に理解していないと間違えそうな問題です。


自計式は,調査対象者が記入するもので,正しく回答するのは簡単ではありません。よって間違いです。



2018年1月1日月曜日

国試に合格する勉強法~質問紙の作成法の出題率は50%!!

量的調査は,アンケートなどでデータを取ります。

余談ですが,アンケートはフランス語で「調査」を意味します。

そのため,本来「アンケート調査」と言うと,調査調査になってしまうので不適切な表現です。

さて,アンケートは質問紙を使って行うことが多いですが,適切に作成されないと適切な結果を得ることはできません。

別な言い方をすると,アンケートによって,結論を「はい」にでも「いいえ」にでも操作できてしまいます。

そのため,質問紙の作成方法に関する出題率は50%!!

第23回,第24回,第26回,第28回と出題されています。第24回以降は1年おきの出題であることが分かります。しっかり押さえておきたいですね。

出題される内容の多くは,質問紙を作成するときの言い回し(ワーディング)です。最低でもこれは押さえておかなければなりません。


ダブルバーレル質問

1つの質問文に複数の内容を入れてしまうことです。

例えば,研修についてのアンケートを行う時,「日程や時間は適切でしたか」と質問することです。

これでは日程は適切だと思っていても時間が不適切だと思った場合は,答えられなくなってしまいます。

このような場合は,2つの質問に分ける必要があります。


キャリーオーバー効果

前の質問が影響することです。

例えば,アメリカの銃規制についてのアンケートを行う時,「銃規制をすべきである」,あるいは「銃規制はすべきではない」という結論を意図通りにしようと思えば,その前の質問を変えることで操作することができます。

キャリーオーバー効果を避けるためには,質問の順番に配慮する必要があります。


イエステンデンシー

回答する場合,「いいえ」というよりも「はい」というほうが答えやすいことです。

影響を避けるためには,「反対ですか,あるいは賛成ですか」といった質問にします。


ステレオタイプ効果

言葉本来の意味のほかに,別のイメージを含んでいる言葉のことです。

例えば,「役所」に対しての「お役所」です。

「お」をつけただけですが,特別な意味を感じます。



さて,それでは今日の問題です。


第23回・問題80

質問文作成の注意点に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 「煙草は健康に悪いから吸うべきではない,という意見にあなたは賛成ですか,反対ですか」という質問は,ダブルバーレルな質問ではない。

2 「ごきょうだいは何人ですか」という質問には,回答者が判断に迷うようなあいまいさは存在しない。

3 「あなたは,宗教は大切だと思いますか」という質問の回答は,回答者本人の信心の強さ・弱さを表すものと解釈してよい。

4 「市民運動」という表現と「草の根の市民連動」という表現は,同じ意図で使われている場合でも,回答が異なってしまう可能性がある。

5 「ふだん朝食をとりますか」という質問文では「ふだん」が指すものがあいまいなので,「今朝は朝食をとりましたか」のように日時を特定しなければならない。

「社会調査の基礎」は,少し思考を動かすことが必要な問題が多いです。この問題もその一つです。
さて,それでは詳しく見ていきましょう。


1 「煙草は健康に悪いから吸うべきではない,という意見にあなたは賛成ですか,反対ですか」という質問は,ダブルバーレルな質問ではない。


ダブルバーレル質問は,1つの問題文に複数の内容を入れることです。


ちょっと分かりにくいですが,「ダブルバーレル質問ではない」という表現から,ダブルバーレル質問ではないかと,考える必要があります。


この問題文は実は「煙草は健康に悪い」「煙草は吸うべきではない」という内容が重なっています。

ダブルバーレル質問です。よって間違いです。


2 「ごきょうだいは何人ですか」という質問には,回答者が判断に迷うようなあいまいさは存在しない。


現在の新聞などでは「きょうだい」とひらがな表記しています。

なぜなら「きょうだい」は「兄弟」と「姉妹を意味するからです。

しかし,きょうだいが,兄弟だと思ってしまうと,兄弟はいないけれど姉妹はいる人は,判断に迷ってしまうかもしれません。よって間違いです。


3 「あなたは,宗教は大切だと思いますか」という質問の回答は,回答者本人の信心の強さ・弱さを表すものと解釈してよい。


大切だということと信仰心の強さは別物です。

信仰心の強弱を尋ねたいのなら,別の質問が必要です。

よって間違いです。


4 「市民運動」という表現と「草の根の市民連動」という表現は,同じ意図で使われている場合でも,回答が異なってしまう可能性がある。


「草の根」はステレオタイプっぽい表現だと言えます。単に「市民運動」と表記するよりも,「草の根」の方が「細かい」,あるいは「這いずり回る」といった泥臭さなどの意味があります。よ

って正解です。


5 「ふだん朝食をとりますか」という質問文では「ふだん」が指すものがあいまいなので,「今朝は朝食をとりましたか」のように日時を特定しなければならない。


「ふだん朝食をとりますか」と「今朝は朝食をとりましたか」は別の質問です。

「ふだん」があいまいなら「週に何回とりますか」といった表記が適切です。



よって間違いです。

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