今回から医療法に基づく医療施設に取り組んでいきましょう。
前回まで取り上げていた診療報酬ほどは細かくはありません。
過去に出題されたものをたどっていけば,得点を稼ぐことができる範囲です。
ただし今日取り上げるものは少し難しい問題です。
それでは前説なしに今日の問題を解いてみましょう。
第24回・問題65 医療法上の医療提供施設に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 調剤薬局は,医療法上の医療提供施設には含まれない。
2 病床数が20床未満であっても,病院と名乗ることができる。
3 臨床研修制度成立後は,新たに医籍登録された医師が病院の管理者になるためには,臨床研修等を修了しなければならないと定められた。
4 病院の管理者は,医療の安全を確保するための指針を策定する必要があるが,診療所ではその必要はない。
5 診療所は,療養病床を設けることはできない。
知識ゼロでは解けない問題です。
現行カリキュラム3回目の出題方針が定まっていない時点での問題なので,難しさは倍増です。その理由は後述します。
それでは解説です。
1 調剤薬局は,医療法上の医療提供施設には含まれない。
これは間違いです。
医療法に基づく医療提供施設は,診療所,病院,介護老人保健施設,介護医療院,調剤薬局です。助産院が医療提供施設に含むかは法の解釈によります。解釈によって違いがあるものは絶対に出題されないので,心配ご無用です。
さて調剤薬局です。なぜこの出題があるのかと言えば,調剤薬局が医療提供施設に規定されたのは,平成18年の医療法の改正だからです。
今後は,平成30年から加わった介護医療院が要注意です。
2 病床数が20床未満であっても,病院と名乗ることができる。
これも間違いです。
前回,解説した通り,病院は病床数が20床以上,20床未満は診療所となります。
現在はこのようなタイプの言い回しはされません。勘の良い人なら,「20床未満であっても」という言い回しから,何か裏があると気づいてしまうからです。
今なら,間違い選択肢を作るなら
「医療法では,病床を有するものを病院,病床を有しないものを診療所としている」
といったものになるのではないかと思います。20床未満は有床診療所となるので間違いです。
3 臨床研修制度成立後は,新たに医籍登録された医師が病院の管理者になるためには,臨床研修等を修了しなければならないと定められた。
これが正解です。
この問題の難易度を高めたのは,旧カリキュラム時代も含めてこの時が初めての出題となった臨床研修制度を正解にしたことでしょう。
臨床研修制度とは,平成18年の医師法改正によって義務付けになったものです。
それ以前に医師免許を取得したものは臨床研修を修了したものとみなされます。
平成18年の医師法改正と伴い,病院及び診療所の開設者は,臨床研修を修了していることが条件となっています。
4 病院の管理者は,医療の安全を確保するための指針を策定する必要があるが,診療所ではその必要はない。
これは間違いです。
医療の安全に関する出題は,この後も続きます。医療の安全は医療法の目的の一つだからです。
指針の策定は病院も診療所も策定しなければなりません。
5 診療所は,療養病床を設けることはできない。
これも間違いです。
診療所も療養病床を設けることができます。
診療所が設けることができる病床は,一般病床と療養病床です。
精神病床,結核病床,感染症病床は病院でなければ設けることができません。
<今日の一言>
社会福祉士の国家試験の実施機関である「社会福祉振興・試験センター」は,問題ごとの正解率を重視していると考えられます。
そのため,6割程度の人が正解できる問題を目指して出題しているように思います。
しかし,実際に試験を行ってみると,試験センターや試験委員の思惑と違って,極端に正解率が高かったり,低かったりする問題が生じます。
その結果として,合格基準点を上下させています。
第30回国試のように,合格基準点が極端に上がってしまうと,今後はどんな勉強をしたら良いのか心配になる人も多いかと思います。
しかし,勉強法は今もこれからも一切変わることはありません。
必要なのは,出題基準に示された範囲をしっかり押さえていくことです。
難しい問題が出題されれば,多くの人は正解できません。
簡単な問題が出題されれば,多くの人が正解できます。
合格するために重要なことは,難しい問題を正解するこどはなく,誰もが正解できる問題を自分も正解できる確実性です。
難しい問題が多く出題されれば,合格基準点は下がります。
簡単な問題が多く出題されれば,合格基準点は上がります。
合格基準点の上下はそういった理由です。
ほかの受験者と差をつけるしたら,一つひとつをあいまいにせず,確実な知識にするこどか何よりも大切です。
今日の問題は,難易度が高めでしたが,基本的にはここまで難しくはないです。
あいまいにしないというのは,過去に出題されたポイントを押さえて,覚えていくことです。
参考書の内容を覚えるのは必須です。しかしこれからは最後の仕上げの時期です。
国試でどのように出題されるのかを知って,そのポイントを覚えておくと,得点力は確実に上がります。
これが「あいまいにしない」ということの神髄です。
2018年11月5日月曜日
2018年11月4日日曜日
診療報酬制度の徹底理解~その6
診療報酬は,深掘りすればいくらでもできます。しかし,それでは正解率が低くなってしまいます。
今まで見てきたように,難しい問題も存在します。
今日の問題も難しい部類に入るものかもしれません。
なぜなら,1つの科目の知識で完結するものではなく,ほかの科目にまたがった知識が問われるからです。
それでは今日の問題です。
第30回・問題71 診療報酬に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 一般病棟入院基本料で算定される一般病棟には,療養病床の病棟が含まれる。
2 有床診療所入院基本料で算定される有床診療所には,20人の患者を入院させる医療施設が含まれる。
3 地域包括ケア病棟入院料で算定される病院には,特定機能病院が含まれる。
4 障害者施設等入院基本料で算定される障害者施設等には,医療型障害児入所施設が含まれる。
5 特定機能病院入院基本料で算定される病棟には,特定機能病院の療養病棟が含まれる。
次回から,医療法に規定される医療提供施設を取り上げていきますが,この問題ではそれと絡めて出題されています。
この問題が難しくなっているのは,過去問の知識では正解を導くことはできないからです。
また,「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」で学ぶ知識が必要であるということもあります。
しかし,落ち着けば決して答えられないものではありません。
ただし,「入院基本料って何?」「分からない」と思ってしまうと,迷いの森に入り込みますので注意が必要です。
そこさえ気をつければ,勉強をしっかりしてきた人なら,問題の多くには正解できる仕掛けがなされています。
なお,入院基本料とは,医学的管理,看護,寝具類等の基本的な入院医療体制を評価した診療報酬です。
それでは解説です。
1 一般病棟入院基本料で算定される一般病棟には,療養病床の病棟が含まれる。
これは間違いです。
入院基本料は,以下のように体型づけられています。
<病院>
・一般病棟入院基本料
・療養病棟入院基本料
・結核病棟入院基本料
・精神病棟入院基本料
・特定機能病院(一般病棟,結核病棟,精神病棟)入院基本料
・専門病院入院基本料
・障害者施設等入院基本料
<有床診療所>
・有床診療所入院基本料
・有床診療所療養病床入院基本料
このように,一般病棟と療養病棟の入院基本料は別になっています。
入院基本料って何? と思うとまったく分からなくなってしまいますが,一般病棟と療養病棟は,看護師の配置数などが大きく違うので,一緒のものではないと見当をつけることができるでしょう。
話は逸れますが,1980年代後半の第1次医療法改正によって,病床数の規制が行われました。規制が始まる前は自由開業制がとられていました。そのため,規制が行われる前に,いわゆる「駆け込み増床」が行われました。その結果発生したのは看護師不足という問題です。そこで,看護師が確保できない病院は,介護力強化病院(その後の療養型病床群,現在の療養病床に続くもの)に移行した医療機関もあります。
駆け込み増床した病院やその時期に開設した病院は,30年以上が経過し,現在はちょうど建て替えの時期に差し掛かっています。近年建て替えられた病院は,駆け込み増床の時期に建てられたものが多いはずです。
2 有床診療所入院基本料で算定される有床診療所には,20人の患者を入院させる医療施設が含まれる。
これも間違いです。
医療法では,病床数が20床以上の医療機関を病院,病床がない,あるいは20床未満の医療機関を診療所と分けています。過去に何度も出題されています。しっかり覚えておきましょう。
入院基本料は知らなくても,病院と診療所の違いが分かっていれば,消去できたことでしょう。
3 地域包括ケア病棟入院料で算定される病院には,特定機能病院が含まれる。
これも間違いです。
特定機能病院には,一般病床,結核病棟,精神病棟があり,地域包括ケア病棟入院料は,特定機能病院は含まれないものとなっています。
診療報酬で地域包括ケア病棟の条件(現時点)としては,「看護職員配置13対1」「在宅復帰に係る職員1名の専任」「理学療法士等のリハスタッフ1名の専従配置」があります。これらの条件があることを知っておけば,特定機能病院ではなさそうな感じがするでしょう。
4 障害者施設等入院基本料で算定される障害者施設等には,医療型障害児入所施設が含まれる。
これが正解です。
障害児入所支援は福祉型と医療型があり,そのうちの医療型障害児入所施設は児童福祉法と医療法に基づいてサービスが提供されています。
医療法に基づき治療を実施するので,病院として診療報酬が設定されています。「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」の知識が必要な選択肢です。
5 特定機能病院入院基本料で算定される病棟には,特定機能病院の療養病棟が含まれる。
これも間違いです。
先述のように,特定機能病院は,一般病棟,結核病棟,精神病棟が含まれます。療養病棟は含まれていません。
<今日の一言>
今日の問題は,今後の出題を示唆するようなものとなっています。
というのは,社会福祉士には,既にある法制度に基づくものだけでなく,制度をまたがるような多問題を抱えるクライエントへの対応が求められるからです。
とはいうもの,基本は既制度をしっかり押さえることです。
法制度が縦割りになる理由は,法の適用対象を明確にしなければ,法を適用できないからです。
今まで見てきたように,難しい問題も存在します。
今日の問題も難しい部類に入るものかもしれません。
なぜなら,1つの科目の知識で完結するものではなく,ほかの科目にまたがった知識が問われるからです。
それでは今日の問題です。
第30回・問題71 診療報酬に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 一般病棟入院基本料で算定される一般病棟には,療養病床の病棟が含まれる。
2 有床診療所入院基本料で算定される有床診療所には,20人の患者を入院させる医療施設が含まれる。
3 地域包括ケア病棟入院料で算定される病院には,特定機能病院が含まれる。
4 障害者施設等入院基本料で算定される障害者施設等には,医療型障害児入所施設が含まれる。
5 特定機能病院入院基本料で算定される病棟には,特定機能病院の療養病棟が含まれる。
次回から,医療法に規定される医療提供施設を取り上げていきますが,この問題ではそれと絡めて出題されています。
この問題が難しくなっているのは,過去問の知識では正解を導くことはできないからです。
また,「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」で学ぶ知識が必要であるということもあります。
しかし,落ち着けば決して答えられないものではありません。
ただし,「入院基本料って何?」「分からない」と思ってしまうと,迷いの森に入り込みますので注意が必要です。
そこさえ気をつければ,勉強をしっかりしてきた人なら,問題の多くには正解できる仕掛けがなされています。
なお,入院基本料とは,医学的管理,看護,寝具類等の基本的な入院医療体制を評価した診療報酬です。
それでは解説です。
1 一般病棟入院基本料で算定される一般病棟には,療養病床の病棟が含まれる。
これは間違いです。
入院基本料は,以下のように体型づけられています。
<病院>
・一般病棟入院基本料
・療養病棟入院基本料
・結核病棟入院基本料
・精神病棟入院基本料
・特定機能病院(一般病棟,結核病棟,精神病棟)入院基本料
・専門病院入院基本料
・障害者施設等入院基本料
<有床診療所>
・有床診療所入院基本料
・有床診療所療養病床入院基本料
このように,一般病棟と療養病棟の入院基本料は別になっています。
入院基本料って何? と思うとまったく分からなくなってしまいますが,一般病棟と療養病棟は,看護師の配置数などが大きく違うので,一緒のものではないと見当をつけることができるでしょう。
話は逸れますが,1980年代後半の第1次医療法改正によって,病床数の規制が行われました。規制が始まる前は自由開業制がとられていました。そのため,規制が行われる前に,いわゆる「駆け込み増床」が行われました。その結果発生したのは看護師不足という問題です。そこで,看護師が確保できない病院は,介護力強化病院(その後の療養型病床群,現在の療養病床に続くもの)に移行した医療機関もあります。
駆け込み増床した病院やその時期に開設した病院は,30年以上が経過し,現在はちょうど建て替えの時期に差し掛かっています。近年建て替えられた病院は,駆け込み増床の時期に建てられたものが多いはずです。
2 有床診療所入院基本料で算定される有床診療所には,20人の患者を入院させる医療施設が含まれる。
これも間違いです。
医療法では,病床数が20床以上の医療機関を病院,病床がない,あるいは20床未満の医療機関を診療所と分けています。過去に何度も出題されています。しっかり覚えておきましょう。
入院基本料は知らなくても,病院と診療所の違いが分かっていれば,消去できたことでしょう。
3 地域包括ケア病棟入院料で算定される病院には,特定機能病院が含まれる。
これも間違いです。
特定機能病院には,一般病床,結核病棟,精神病棟があり,地域包括ケア病棟入院料は,特定機能病院は含まれないものとなっています。
診療報酬で地域包括ケア病棟の条件(現時点)としては,「看護職員配置13対1」「在宅復帰に係る職員1名の専任」「理学療法士等のリハスタッフ1名の専従配置」があります。これらの条件があることを知っておけば,特定機能病院ではなさそうな感じがするでしょう。
4 障害者施設等入院基本料で算定される障害者施設等には,医療型障害児入所施設が含まれる。
これが正解です。
障害児入所支援は福祉型と医療型があり,そのうちの医療型障害児入所施設は児童福祉法と医療法に基づいてサービスが提供されています。
医療法に基づき治療を実施するので,病院として診療報酬が設定されています。「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」の知識が必要な選択肢です。
5 特定機能病院入院基本料で算定される病棟には,特定機能病院の療養病棟が含まれる。
これも間違いです。
先述のように,特定機能病院は,一般病棟,結核病棟,精神病棟が含まれます。療養病棟は含まれていません。
<今日の一言>
今日の問題は,今後の出題を示唆するようなものとなっています。
というのは,社会福祉士には,既にある法制度に基づくものだけでなく,制度をまたがるような多問題を抱えるクライエントへの対応が求められるからです。
とはいうもの,基本は既制度をしっかり押さえることです。
法制度が縦割りになる理由は,法の適用対象を明確にしなければ,法を適用できないからです。
2018年11月3日土曜日
診療報酬制度の徹底理解~その5
今回は診療報酬制度の根幹にかかわる問題を取り上げます。
根幹とは,制度の仕組みそのものです。
その先の先,またその先に診療報酬の加算があります。それが枝葉です。
根幹の部分を整理しましょう。
診療報酬は,厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)に諮問して,厚生労働大臣が決定します。
金額は,点数表に1点10円で示され,地域差,保険者によって違いはなく,全国どこの医療機関を受診しても共通です。
診療報酬の支払い方式には,出来高払い方式と包括払い方式があります。
出来高払い方式は,診療を受けた分を積み上げてその合算額を支払うものです。外来診療及び急性期医療(DPC方式ではないもの)に対して,出来高払い方式が採用されています。
包括払い方式は,病気ごとに決められた金額のみを支払うものです。診療の回数などが多くても少なくても支払われる金額は変わりません。療養型及び急性期医療のDPC制度の入院に対して,包括払い方式が採用されています。
日本の医療保障は社会保険制度が採用されています。
社会保険の給付方法には,償還払い方式と代理受領方式があります。
償還払い方式は,社会保険の被保険者が,窓口で全額を支払い,そのあとで保険者に申請することで,社会保険料分が被保険者に給付されるものです。フランスがこの方式を採用しています。
代理受領方式は,被保険者は窓口で個人負担分のみを支払い,事業所(医療機関など)が保険者に請求して,保険者が事業所に社会保険料分を給付するものです。
診療報酬の審査及び支払い権限は保険者にあります。しかしそれでは保険者の事務は大変なので,健康保険の場合は社会保険診療報酬支払基金,国民健康保険の場合は国民健康保険団体連合会(国保連)に委託しています。しかし権限はあくまでも保険者にあります。それぞれは委託されているだけです。
それでは今日の問題です。
第26回・問題72 我が国の診療報酬制度に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。
1 診療報酬の改定は,中央社会保険医療協議会の答申を経て行われる。
2 診療報酬の審査・支払権限は,健康保険組合等の保険者にある。
3 外来診療報酬については,1日当たり包括払い制度がとられている。
4 診療報酬は,健康保険と国民健康保険では異なった内容となっている。
5 診療報酬点数表において,1点単価は1円とされている。
もし答えが分からなければ,前説をもう一度確認してみましょう。
それでは,解説です。正解は2つですから注意が必要です。
1 診療報酬の改定は,中央社会保険医療協議会の答申を経て行われる。
これは正解です。
改定は中医協に諮問して,その答申を経て厚生労働大臣が決定します。決定するのは厚生労働大臣なので注意が必要です。
2 診療報酬の審査・支払権限は,健康保険組合等の保険者にある。
これも正解です。
審査・支払いの権限は保険者がもっています。実際には審査支払機関に委託していますが,権限があるのは保険者です。これは介護保険も同様です。
3 外来診療報酬については,1日当たり包括払い制度がとられている。
これは間違いです。
外来は,出来高払い方式が採用されています。包括払い方式があるのは入院の診療報酬です。
外来で包括払い方式がされると必要な検査などが受けられなくなってしまうおそれがあるため,外来に包括払い方式は絶対に採用されることはないでしょう。
4 診療報酬は,健康保険と国民健康保険では異なった内容となっている。
これも間違いです。
診療報酬は,保険者による違いはありません。また病院,診療所でも共通です。
5 診療報酬点数表において,1点単価は1円とされている。
これも間違いです。
診療報酬の点数は,1点10円です。介護報酬のように地域差はなく,全国共通です。
<今日の一言>
数年で変わってしまう加算と違って,根幹にかかわるものは,骨太であることが分かるでしょう。
本当に覚えなければならないのは,このような制度そのものにかかわるものです。
最新の法制度を覚えないとならない
そのために参考書は最新のものではないとならない
といったことを言う人がいます。
根幹にかかわるものは,最新の制度改正も出題されることはあるかもしれませんが,根幹にかかわらないような制度改正はほとんど出題されません。
出題されたとしても正解選択肢にはなり得ないでしょう。そうすると正解率の低下を招くからです。
制度改正の根幹とは,例えば社会保険の場合は,保険者や被保険者に変更があることなどです。
現場にいると,制度改正があるたびにその対応に追われることでしょう。
しかし,社会福祉士の国試においては,制度改正に振り回される必要はありません。
ひたすら根幹を覚えていくのみです。
制度を知らなければ仕事ができない介護支援専門員などとは違うのです。
根幹とは,制度の仕組みそのものです。
その先の先,またその先に診療報酬の加算があります。それが枝葉です。
根幹の部分を整理しましょう。
診療報酬は,厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)に諮問して,厚生労働大臣が決定します。
金額は,点数表に1点10円で示され,地域差,保険者によって違いはなく,全国どこの医療機関を受診しても共通です。
診療報酬の支払い方式には,出来高払い方式と包括払い方式があります。
出来高払い方式は,診療を受けた分を積み上げてその合算額を支払うものです。外来診療及び急性期医療(DPC方式ではないもの)に対して,出来高払い方式が採用されています。
包括払い方式は,病気ごとに決められた金額のみを支払うものです。診療の回数などが多くても少なくても支払われる金額は変わりません。療養型及び急性期医療のDPC制度の入院に対して,包括払い方式が採用されています。
日本の医療保障は社会保険制度が採用されています。
社会保険の給付方法には,償還払い方式と代理受領方式があります。
償還払い方式は,社会保険の被保険者が,窓口で全額を支払い,そのあとで保険者に申請することで,社会保険料分が被保険者に給付されるものです。フランスがこの方式を採用しています。
代理受領方式は,被保険者は窓口で個人負担分のみを支払い,事業所(医療機関など)が保険者に請求して,保険者が事業所に社会保険料分を給付するものです。
診療報酬の審査及び支払い権限は保険者にあります。しかしそれでは保険者の事務は大変なので,健康保険の場合は社会保険診療報酬支払基金,国民健康保険の場合は国民健康保険団体連合会(国保連)に委託しています。しかし権限はあくまでも保険者にあります。それぞれは委託されているだけです。
それでは今日の問題です。
第26回・問題72 我が国の診療報酬制度に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。
1 診療報酬の改定は,中央社会保険医療協議会の答申を経て行われる。
2 診療報酬の審査・支払権限は,健康保険組合等の保険者にある。
3 外来診療報酬については,1日当たり包括払い制度がとられている。
4 診療報酬は,健康保険と国民健康保険では異なった内容となっている。
5 診療報酬点数表において,1点単価は1円とされている。
もし答えが分からなければ,前説をもう一度確認してみましょう。
それでは,解説です。正解は2つですから注意が必要です。
1 診療報酬の改定は,中央社会保険医療協議会の答申を経て行われる。
これは正解です。
改定は中医協に諮問して,その答申を経て厚生労働大臣が決定します。決定するのは厚生労働大臣なので注意が必要です。
2 診療報酬の審査・支払権限は,健康保険組合等の保険者にある。
これも正解です。
審査・支払いの権限は保険者がもっています。実際には審査支払機関に委託していますが,権限があるのは保険者です。これは介護保険も同様です。
3 外来診療報酬については,1日当たり包括払い制度がとられている。
これは間違いです。
外来は,出来高払い方式が採用されています。包括払い方式があるのは入院の診療報酬です。
外来で包括払い方式がされると必要な検査などが受けられなくなってしまうおそれがあるため,外来に包括払い方式は絶対に採用されることはないでしょう。
4 診療報酬は,健康保険と国民健康保険では異なった内容となっている。
これも間違いです。
診療報酬は,保険者による違いはありません。また病院,診療所でも共通です。
5 診療報酬点数表において,1点単価は1円とされている。
これも間違いです。
診療報酬の点数は,1点10円です。介護報酬のように地域差はなく,全国共通です。
<今日の一言>
数年で変わってしまう加算と違って,根幹にかかわるものは,骨太であることが分かるでしょう。
本当に覚えなければならないのは,このような制度そのものにかかわるものです。
最新の法制度を覚えないとならない
そのために参考書は最新のものではないとならない
といったことを言う人がいます。
根幹にかかわるものは,最新の制度改正も出題されることはあるかもしれませんが,根幹にかかわらないような制度改正はほとんど出題されません。
出題されたとしても正解選択肢にはなり得ないでしょう。そうすると正解率の低下を招くからです。
制度改正の根幹とは,例えば社会保険の場合は,保険者や被保険者に変更があることなどです。
現場にいると,制度改正があるたびにその対応に追われることでしょう。
しかし,社会福祉士の国試においては,制度改正に振り回される必要はありません。
ひたすら根幹を覚えていくのみです。
制度を知らなければ仕事ができない介護支援専門員などとは違うのです。
2018年11月2日金曜日
診療報酬制度の徹底理解~その4
今回も診療報酬制度を取り上げます。
最初に取り上げる問題は,MSW以外は最も難しい問題だったのはないかと思います。
この解説はしません。このような出題はもうされないだろうという参考のために紹介します。
第24回・問題69 事例を読んで,地域連携に関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。
〔事例〕
Gさん(70歳,女性)は,脳梗塞により左片麻痺を発症し,R急性期病院で入院加療の後,脳卒中地域連携クリティカルパスによりS回復期リハビリテーション病院へ転院した。そこで約100日間のリハビリテーションを受け,退院前に要介護3の認定を受けて自宅退院することとなった。Gさんは退院後もリハビリテーションの継続を希望しており,S病院はT介護支援事業所と連携し,退院調整を行うことを検討している。
1 地域連携クリティカルパスを用いる場合は,どの保険医療機関も「地域連携診療計画管理料」を算定できる。
2 R病院がGさんの同意を得て地域連携診療計画を作成し,S病院に情報を提供した場合には,R病院は「地域連携診療計画退院時指導料」を算定できる。
3 T事業所の介護支援専門員が,退院後のGさんのケアプランを策定するためにS病院へ出向いで情報収集をした場合には,T事業所は「医療連携加算」を算定できる。
4 S病院の社会福祉士等が,T事業所の介護支援専門員と共同して利用可能なサービスなどについてGさんに説明,指導を行った場合には,S病院は「介護支援連携指導料」を算定できる。
5 T事業所の介護支援専門員が,退院後3か月間医療保険と介護保険によるリハビリテーションを受けられるようにケアプランを策定した場合には,S病院は「地域連携診療計画管理料」を算定できる。
地域連携に関する出題になっていますが,内容は診療報酬となっています。
地域連携診療計画管理料
地域連携診療計画退院時指導料
医療連携加算
介護支援連携指導料
が出題されています。これらは今どうなっているのか,調べる気にもなりません。
この時の正解は,選択肢4でした。
介護支援連携指導料は,現在は介護支援等連携指導料となっています。
この問題は,かなり正解率が低かったのではないかと思います。
その後,同じようなタイプの問題は二度と出題されていません。
試験センターが蓄積している膨大なデータの中で,正解率が極端に低くなるタイプの問題として,この問題が認識されたと考えてよいと思います。
それでは,本当の今日の問題です。
第28回・問題72 日本の診療報酬制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 DPC対象病院の入院医療にかかる費用は,包括医療費支払い制度が適用される。
2 訪問看護にかかる費用は,居宅サービス計画に基づく利用であっても,医療保険から支払われる。
3 在宅医療の往診では,患家の求めにかかわらず医師の判断に基づき行った場合であっても,往診料を請求できる。
4 療養病床の入院基本料は,出来高払い方式によって診療報酬が算定される。
5 退院調整加算を請求できる病院の施設基準の中では,退院に係る調整部門の設置と理学療法士又は作業療法士の配置が定められている。
加算は,選択肢5の「退院調整加算」だけです。これは現在「入退院支援加算」と変わっています。
それでは解説です。
1 DPC対象病院の入院医療にかかる費用は,包括医療費支払い制度が適用される。
これが正解です。
実は,第25回に「DPC制度(DPC/PDPS)は,入院1件当たり診療報酬包括支払制度である」と出題されています。この出題がなければ,この問題の正解率も下がったことでしょう。
しかし,この出題があったおかげで,参考書にはDPC制度の説明が記載され,勉強した人は正解できたはずです。
DPC制度は,病気によって決められた診療報酬が支払われる包括支払制度です。
手術が下手な医師は傷口が大きくなります。手術が上手な医師は傷口が小さいので治りが早くなります。下手な方は処置が多く必要となり,その分儲かるというのはおかしな話です。医療費適正化のための制度がDPCということになります。
2 訪問看護にかかる費用は,居宅サービス計画に基づく利用であっても,医療保険から支払われる。
これは間違いです。
訪問看護は医療保険でも介護保険でも使えるサービスです。居宅サービス計画は介護支援専門員が作成する介護保険法に基づくものです。居宅サービス計画は介護保険ですから,介護保険から介護報酬が支払われます。
3 在宅医療の往診では,患家の求めにかかわらず医師の判断に基づき行った場合であっても,往診料を請求できる。
これも間違いです。
往診料を請求できるのは,患家の求めに応じて行った場合のみです。医師が勝手に来て,往診料を請求されたらたまったものではありません。
4 療養病床の入院基本料は,出来高払い方式によって診療報酬が算定される。
これも間違いです。
出来高払い方式と包括払い方式は,旧カリの時代,つまりまだ「保健医療サービス」という科目がなかったころから繰り返し出題されてきたものです。
療養病床は廃止されますが,診療報酬は包括払い方式です。いわゆる老人病院が「介護力強化病院」という名称になった1990年代に包括払い方式が導入され,今日に至っています。
5 退院調整加算を請求できる病院の施設基準の中では,退院に係る調整部門の設置と理学療法士又は作業療法士の配置が定められている。
これも間違いです。
退院調整加算は,現在は入退院支援加算と名称が変わっていますが,配置されるのは,看護師と社会福祉士です。これについては,第23回にも同様に
「診療報酬の入退院支援加算の施設基準には,退院支援に関する経験を有する専従の看護師又は介護支援専門員が1名以上配置されていること,と規定されている」と出題されています。
<今日の一言>
今日の最初の問題は,布石を打つこともなく出題されて,受験した人を混乱させたことでしょう。
その結果,2問めのような出題になりました。
退院調整加算は,社会福祉士の配置が初めて診療報酬で評価されたものなので,極めて重要な意味を持ちます。しかし丸ごと加算等が出題されることはもうないでしょう。
トピックを追っかけると,その分,情報はあっと言う間に古くなります。間違い選択肢の一つとして組み込むことは適切だと思いますが,正解選択肢に配置されるのは適切とは言えません。
正解選択肢は,試験委員の思いが込められている重要なものです。
しかし試験委員の思いだけではなく,それが正解選択肢になるだけの説得力を持っていることが大切なのです。過去問を解く時は,そこを意識すると,格段に得点力は増すはずです。
今日の2つめの問題は,退院調整加算という重要なものを取り入れながら,DPCという診療報酬の支払い方式,つまり根幹を正解にしています。
加算等は枝葉である,と思う理由はここにあります。
受験者の6割程度が正解できるためには,枝葉を正解選択肢にしてはいけないのです。
正解選択肢になったものをずっと追っかけていくと
根幹とは何か
といったことが見えてきます。
文脈が見えることは,得点力を上げる大きな要素となります。
毎年「あと数点」で合格できそうなのに,合格できないでいる人は,文脈を読むことを心がけると良いと思います。
最初に取り上げる問題は,MSW以外は最も難しい問題だったのはないかと思います。
この解説はしません。このような出題はもうされないだろうという参考のために紹介します。
第24回・問題69 事例を読んで,地域連携に関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。
〔事例〕
Gさん(70歳,女性)は,脳梗塞により左片麻痺を発症し,R急性期病院で入院加療の後,脳卒中地域連携クリティカルパスによりS回復期リハビリテーション病院へ転院した。そこで約100日間のリハビリテーションを受け,退院前に要介護3の認定を受けて自宅退院することとなった。Gさんは退院後もリハビリテーションの継続を希望しており,S病院はT介護支援事業所と連携し,退院調整を行うことを検討している。
1 地域連携クリティカルパスを用いる場合は,どの保険医療機関も「地域連携診療計画管理料」を算定できる。
2 R病院がGさんの同意を得て地域連携診療計画を作成し,S病院に情報を提供した場合には,R病院は「地域連携診療計画退院時指導料」を算定できる。
3 T事業所の介護支援専門員が,退院後のGさんのケアプランを策定するためにS病院へ出向いで情報収集をした場合には,T事業所は「医療連携加算」を算定できる。
4 S病院の社会福祉士等が,T事業所の介護支援専門員と共同して利用可能なサービスなどについてGさんに説明,指導を行った場合には,S病院は「介護支援連携指導料」を算定できる。
5 T事業所の介護支援専門員が,退院後3か月間医療保険と介護保険によるリハビリテーションを受けられるようにケアプランを策定した場合には,S病院は「地域連携診療計画管理料」を算定できる。
地域連携に関する出題になっていますが,内容は診療報酬となっています。
地域連携診療計画管理料
地域連携診療計画退院時指導料
医療連携加算
介護支援連携指導料
が出題されています。これらは今どうなっているのか,調べる気にもなりません。
この時の正解は,選択肢4でした。
介護支援連携指導料は,現在は介護支援等連携指導料となっています。
この問題は,かなり正解率が低かったのではないかと思います。
その後,同じようなタイプの問題は二度と出題されていません。
試験センターが蓄積している膨大なデータの中で,正解率が極端に低くなるタイプの問題として,この問題が認識されたと考えてよいと思います。
それでは,本当の今日の問題です。
第28回・問題72 日本の診療報酬制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 DPC対象病院の入院医療にかかる費用は,包括医療費支払い制度が適用される。
2 訪問看護にかかる費用は,居宅サービス計画に基づく利用であっても,医療保険から支払われる。
3 在宅医療の往診では,患家の求めにかかわらず医師の判断に基づき行った場合であっても,往診料を請求できる。
4 療養病床の入院基本料は,出来高払い方式によって診療報酬が算定される。
5 退院調整加算を請求できる病院の施設基準の中では,退院に係る調整部門の設置と理学療法士又は作業療法士の配置が定められている。
加算は,選択肢5の「退院調整加算」だけです。これは現在「入退院支援加算」と変わっています。
それでは解説です。
1 DPC対象病院の入院医療にかかる費用は,包括医療費支払い制度が適用される。
これが正解です。
実は,第25回に「DPC制度(DPC/PDPS)は,入院1件当たり診療報酬包括支払制度である」と出題されています。この出題がなければ,この問題の正解率も下がったことでしょう。
しかし,この出題があったおかげで,参考書にはDPC制度の説明が記載され,勉強した人は正解できたはずです。
DPC制度は,病気によって決められた診療報酬が支払われる包括支払制度です。
手術が下手な医師は傷口が大きくなります。手術が上手な医師は傷口が小さいので治りが早くなります。下手な方は処置が多く必要となり,その分儲かるというのはおかしな話です。医療費適正化のための制度がDPCということになります。
2 訪問看護にかかる費用は,居宅サービス計画に基づく利用であっても,医療保険から支払われる。
これは間違いです。
訪問看護は医療保険でも介護保険でも使えるサービスです。居宅サービス計画は介護支援専門員が作成する介護保険法に基づくものです。居宅サービス計画は介護保険ですから,介護保険から介護報酬が支払われます。
3 在宅医療の往診では,患家の求めにかかわらず医師の判断に基づき行った場合であっても,往診料を請求できる。
これも間違いです。
往診料を請求できるのは,患家の求めに応じて行った場合のみです。医師が勝手に来て,往診料を請求されたらたまったものではありません。
4 療養病床の入院基本料は,出来高払い方式によって診療報酬が算定される。
これも間違いです。
出来高払い方式と包括払い方式は,旧カリの時代,つまりまだ「保健医療サービス」という科目がなかったころから繰り返し出題されてきたものです。
療養病床は廃止されますが,診療報酬は包括払い方式です。いわゆる老人病院が「介護力強化病院」という名称になった1990年代に包括払い方式が導入され,今日に至っています。
5 退院調整加算を請求できる病院の施設基準の中では,退院に係る調整部門の設置と理学療法士又は作業療法士の配置が定められている。
これも間違いです。
退院調整加算は,現在は入退院支援加算と名称が変わっていますが,配置されるのは,看護師と社会福祉士です。これについては,第23回にも同様に
「診療報酬の入退院支援加算の施設基準には,退院支援に関する経験を有する専従の看護師又は介護支援専門員が1名以上配置されていること,と規定されている」と出題されています。
<今日の一言>
今日の最初の問題は,布石を打つこともなく出題されて,受験した人を混乱させたことでしょう。
その結果,2問めのような出題になりました。
退院調整加算は,社会福祉士の配置が初めて診療報酬で評価されたものなので,極めて重要な意味を持ちます。しかし丸ごと加算等が出題されることはもうないでしょう。
トピックを追っかけると,その分,情報はあっと言う間に古くなります。間違い選択肢の一つとして組み込むことは適切だと思いますが,正解選択肢に配置されるのは適切とは言えません。
正解選択肢は,試験委員の思いが込められている重要なものです。
しかし試験委員の思いだけではなく,それが正解選択肢になるだけの説得力を持っていることが大切なのです。過去問を解く時は,そこを意識すると,格段に得点力は増すはずです。
今日の2つめの問題は,退院調整加算という重要なものを取り入れながら,DPCという診療報酬の支払い方式,つまり根幹を正解にしています。
加算等は枝葉である,と思う理由はここにあります。
受験者の6割程度が正解できるためには,枝葉を正解選択肢にしてはいけないのです。
正解選択肢になったものをずっと追っかけていくと
根幹とは何か
といったことが見えてきます。
文脈が見えることは,得点力を上げる大きな要素となります。
毎年「あと数点」で合格できそうなのに,合格できないでいる人は,文脈を読むことを心がけると良いと思います。
2018年11月1日木曜日
診療報酬制度の徹底理解~その3
現在のカリキュラムでの国家試験は,第22回に始まりました。
現時点(2018年11月)までに,9回実施されていることになります。
「保健医療サービス」は,現行カリキュラムで加わったものです。
つまり9回出題されていることになります。
最初の頃は,どのような出題が適切なのかが図り切れなかったように思います。
チームfukufuku21が考える適切な問題というのは,受験者のうち6割程度が解ける問題です。
もちろん150問のうち,実際の正解率にはばらつきは出るでしょう。9割が解ける問題や2割が解ける問題もあるはずです。
全体で6割程度であれば良いのですが,科目全体で低い正解率になると,いわゆる0点科目になってしまう受験者が続出してしまいます。
そのため,できるだけ科目の中でも正解率を平均6割程度に収める必要があります。
全体で6割程度の正解率ばかりになると,合格率は6割くらいになってしまうのではないかと思う人もいるでしょう。
実際の合格率は25~30%の間です。
社会福祉振興・試験センター
http://www.sssc.or.jp/
この試験センターが国試を実施しているのですが,受験生がどのような点数を取ったのかといったデータは一切公表していません。
公表されているのは,受験者数,合格者数,合格基準点と合格率,合格者に占める年代別の割合,そして都道府県別合格者数のみです。
得点分布は分かりませんが,試験センターが蓄積しているデータによって,6割程度の難易度に設定すると合格率は25~30%の中に納まると考えて良いように思います。
つまり6割の正解率は受験者全体の平均なので,それ以上得点する受験生が半分,それ以下の得点である人が半分と考えられます。
その結果,6割の半分の3割の受験者が合格基準点を超えることになります。
社会調査の基礎で学ぶように,平均値は中央値と違い,いわゆる外れ値があると,平均値よりも高い人と平均値よりも低い人の数は同数にはなりません。
その結果として,合格率が上下すると考えられます。
さて,話を本題に戻します。
「保健医療サービス」は,現在の前のカリキュラムにはなかった科目です。
そのため,試験センターでは蓄積されたデータがなかったために,どのような出題がどのくらいの正解率になるのか図り切れなかったと考えられます。
その結果として難しい科目になったように思います。
それでなくても,医療ソーシャルワークをベースにする試験委員は張り切っているのです。自分の思うように問題は作られます。それらを組み合わせて試験センターは国試問題を作成します。
回数を重ねるうちに,正解率6割程度はどのような問題なのかを探り当てたのではないかと思います。
それでは今日の問題です。
第23回・問題65 診療報酬に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 診療報酬には,医科診療報酬・歯科診療報酬・調剤報酬がある。
2 診療報酬の算定に当たっては,実際に実施した医療行為ごとにそれぞれの項目に対応した点数を合算して算定しており,いわゆる包括払い方式と呼ばれている。
3 診療報酬のがん患者カウンセリング料の施設基準には,緩和ケアの研修を修了した医師及び専任の社会福祉士がそれぞれ1名以上配置されていること,と規定されている。
4 診療報酬の慢性期病棟等退院調整加算の施設基準には,退院調整に関する経験を有する専従の看護師又は介護支援専門員が1名以上配置されていること,と規定されている。
5 通常の診療行為に加えて診療報酬に規定されていない医療行為を提供する場合,診療報酬に加えて保険医又は保険医療機関が自由に料金を設定したものを追加して,請求することができる。
これが加算が含まれた最初の出題です。
がん患者カウンセリング料は,その後,がん患者指導管理料となっています。
慢性期病棟等退院調整加算は,その後,退院調整加算,退院支援加算,入退院支援加算と名称を変えて現在に至ります。
診療報酬の具体的な内容は,すぐ使えない知識になることを意味します。
それでは解説です。
1 診療報酬には,医科診療報酬・歯科診療報酬・調剤報酬がある。
これが正解です。
しかし,これを正解にできる人はそんなに多くはなかったですです。
2 診療報酬の算定に当たっては,実際に実施した医療行為ごとにそれぞれの項目に対応した点数を合算して算定しており,いわゆる包括払い方式と呼ばれている。
これは間違いです。
保健医療サービスは,現行カリキュラムで加わった科目ですが,診療報酬自体の出題は,旧カリキュラム時代からあります。
包括払い方式は,診療の内容や回数にかわらず一定の金額を支払うものです。点数を合算して算定されるのは,出来高払い方式と呼ばれるものです。
包括払い方式は,当初は慢性期医療に導入されましたが,現在は急性期医療にも導入されています。ただし入院だけであり,外来診療には包括払い方式は導入されていません。なぜなら,それなら適切な検査等が行えなくなってしまうからです。
3 診療報酬のがん患者カウンセリング料の施設基準には,緩和ケアの研修を修了した医師及び専任の社会福祉士がそれぞれ1名以上配置されていること,と規定されている。
これも間違いです。
現在は,「がん患者指導管理料」と名称が変わっていますが,今も変わらないのは,社会福祉士は配置されないことです。配置されるのは医師と看護師です。
医療ソーシャルワーカーは,経済的な相談,入退院に関する支援等を行いますが,医療に関するものは,かかわりません。カウンセリングというと一見MSWの役割のように感じるかもしれませんが,MSWはカウンセリングの専門家ではありません。
カウンセリングというあいまいな名称だったために,おそらく指導料と名称を変えたのでしょう。
4 診療報酬の慢性期病棟等退院調整加算の施設基準には,退院調整に関する経験を有する専従の看護師又は介護支援専門員が1名以上配置されていること,と規定されている。
これも間違いです。慢性期病棟等退院調整加算の流れは,現在は入退院支援加算となっています。
カウンセリングと違って,入退院支援は,MSWの役割です。配置されるのは看護師又は社会福祉士ということになります。
5 通常の診療行為に加えて診療報酬に規定されていない医療行為を提供する場合,診療報酬に加えて保険医又は保険医療機関が自由に料金を設定したものを追加して,請求することができる。
これは間違いです。
診療には,保険適用されない自由診療がありますが,保険診療と組み合わせる,いわゆる「混合診療」は認められていません。そのために,現在は「保険外併用療養費」というものが設定されています。
これについては,また改めて説明したいと思います。
<今日の一言>
今日の正解は,
診療報酬には,医科診療報酬・歯科診療報酬・調剤報酬がある。
でした。
しかし,これを正解にできた人はそんなに多くはなかったように思います。
なぜなら,このように内容を列記したものには,間違った内容を含めることができるからです。
あるいは,本来のものを減らして出題することができます。
こういったことから,「何となく,違うかも・・・」と思ってしまう受験者心理が働きます。
<おまけ>
もう言い回しで不正解にするということは少ないと思います。
しかし,怪しい文章は,「●●●,●●●。そして●●●がある」というものであることを覚えておきましょう。
この場合注意して問題を見るときのポイントは,「そして」の後の部分です。そしての前はおそらく正しいものです。そしての後が正しければ正解になります。そこを重点的に注意しましょう。
現時点(2018年11月)までに,9回実施されていることになります。
「保健医療サービス」は,現行カリキュラムで加わったものです。
つまり9回出題されていることになります。
最初の頃は,どのような出題が適切なのかが図り切れなかったように思います。
チームfukufuku21が考える適切な問題というのは,受験者のうち6割程度が解ける問題です。
もちろん150問のうち,実際の正解率にはばらつきは出るでしょう。9割が解ける問題や2割が解ける問題もあるはずです。
全体で6割程度であれば良いのですが,科目全体で低い正解率になると,いわゆる0点科目になってしまう受験者が続出してしまいます。
そのため,できるだけ科目の中でも正解率を平均6割程度に収める必要があります。
全体で6割程度の正解率ばかりになると,合格率は6割くらいになってしまうのではないかと思う人もいるでしょう。
実際の合格率は25~30%の間です。
社会福祉振興・試験センター
http://www.sssc.or.jp/
この試験センターが国試を実施しているのですが,受験生がどのような点数を取ったのかといったデータは一切公表していません。
公表されているのは,受験者数,合格者数,合格基準点と合格率,合格者に占める年代別の割合,そして都道府県別合格者数のみです。
得点分布は分かりませんが,試験センターが蓄積しているデータによって,6割程度の難易度に設定すると合格率は25~30%の中に納まると考えて良いように思います。
つまり6割の正解率は受験者全体の平均なので,それ以上得点する受験生が半分,それ以下の得点である人が半分と考えられます。
その結果,6割の半分の3割の受験者が合格基準点を超えることになります。
社会調査の基礎で学ぶように,平均値は中央値と違い,いわゆる外れ値があると,平均値よりも高い人と平均値よりも低い人の数は同数にはなりません。
その結果として,合格率が上下すると考えられます。
さて,話を本題に戻します。
「保健医療サービス」は,現在の前のカリキュラムにはなかった科目です。
そのため,試験センターでは蓄積されたデータがなかったために,どのような出題がどのくらいの正解率になるのか図り切れなかったと考えられます。
その結果として難しい科目になったように思います。
それでなくても,医療ソーシャルワークをベースにする試験委員は張り切っているのです。自分の思うように問題は作られます。それらを組み合わせて試験センターは国試問題を作成します。
回数を重ねるうちに,正解率6割程度はどのような問題なのかを探り当てたのではないかと思います。
それでは今日の問題です。
第23回・問題65 診療報酬に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 診療報酬には,医科診療報酬・歯科診療報酬・調剤報酬がある。
2 診療報酬の算定に当たっては,実際に実施した医療行為ごとにそれぞれの項目に対応した点数を合算して算定しており,いわゆる包括払い方式と呼ばれている。
3 診療報酬のがん患者カウンセリング料の施設基準には,緩和ケアの研修を修了した医師及び専任の社会福祉士がそれぞれ1名以上配置されていること,と規定されている。
4 診療報酬の慢性期病棟等退院調整加算の施設基準には,退院調整に関する経験を有する専従の看護師又は介護支援専門員が1名以上配置されていること,と規定されている。
5 通常の診療行為に加えて診療報酬に規定されていない医療行為を提供する場合,診療報酬に加えて保険医又は保険医療機関が自由に料金を設定したものを追加して,請求することができる。
これが加算が含まれた最初の出題です。
がん患者カウンセリング料は,その後,がん患者指導管理料となっています。
慢性期病棟等退院調整加算は,その後,退院調整加算,退院支援加算,入退院支援加算と名称を変えて現在に至ります。
診療報酬の具体的な内容は,すぐ使えない知識になることを意味します。
それでは解説です。
1 診療報酬には,医科診療報酬・歯科診療報酬・調剤報酬がある。
これが正解です。
しかし,これを正解にできる人はそんなに多くはなかったですです。
2 診療報酬の算定に当たっては,実際に実施した医療行為ごとにそれぞれの項目に対応した点数を合算して算定しており,いわゆる包括払い方式と呼ばれている。
これは間違いです。
保健医療サービスは,現行カリキュラムで加わった科目ですが,診療報酬自体の出題は,旧カリキュラム時代からあります。
包括払い方式は,診療の内容や回数にかわらず一定の金額を支払うものです。点数を合算して算定されるのは,出来高払い方式と呼ばれるものです。
包括払い方式は,当初は慢性期医療に導入されましたが,現在は急性期医療にも導入されています。ただし入院だけであり,外来診療には包括払い方式は導入されていません。なぜなら,それなら適切な検査等が行えなくなってしまうからです。
3 診療報酬のがん患者カウンセリング料の施設基準には,緩和ケアの研修を修了した医師及び専任の社会福祉士がそれぞれ1名以上配置されていること,と規定されている。
これも間違いです。
現在は,「がん患者指導管理料」と名称が変わっていますが,今も変わらないのは,社会福祉士は配置されないことです。配置されるのは医師と看護師です。
医療ソーシャルワーカーは,経済的な相談,入退院に関する支援等を行いますが,医療に関するものは,かかわりません。カウンセリングというと一見MSWの役割のように感じるかもしれませんが,MSWはカウンセリングの専門家ではありません。
カウンセリングというあいまいな名称だったために,おそらく指導料と名称を変えたのでしょう。
4 診療報酬の慢性期病棟等退院調整加算の施設基準には,退院調整に関する経験を有する専従の看護師又は介護支援専門員が1名以上配置されていること,と規定されている。
これも間違いです。慢性期病棟等退院調整加算の流れは,現在は入退院支援加算となっています。
カウンセリングと違って,入退院支援は,MSWの役割です。配置されるのは看護師又は社会福祉士ということになります。
5 通常の診療行為に加えて診療報酬に規定されていない医療行為を提供する場合,診療報酬に加えて保険医又は保険医療機関が自由に料金を設定したものを追加して,請求することができる。
これは間違いです。
診療には,保険適用されない自由診療がありますが,保険診療と組み合わせる,いわゆる「混合診療」は認められていません。そのために,現在は「保険外併用療養費」というものが設定されています。
これについては,また改めて説明したいと思います。
<今日の一言>
今日の正解は,
診療報酬には,医科診療報酬・歯科診療報酬・調剤報酬がある。
でした。
しかし,これを正解にできた人はそんなに多くはなかったように思います。
なぜなら,このように内容を列記したものには,間違った内容を含めることができるからです。
あるいは,本来のものを減らして出題することができます。
こういったことから,「何となく,違うかも・・・」と思ってしまう受験者心理が働きます。
<おまけ>
もう言い回しで不正解にするということは少ないと思います。
しかし,怪しい文章は,「●●●,●●●。そして●●●がある」というものであることを覚えておきましょう。
この場合注意して問題を見るときのポイントは,「そして」の後の部分です。そしての前はおそらく正しいものです。そしての後が正しければ正解になります。そこを重点的に注意しましょう。
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