2020年2月9日日曜日

第32回国家試験から考える得点力&勉強方法~第33回に向けて

社会福祉士のボーダーラインは,合格発表までわかりません。

しかし,近年の国家試験は,受験生の30%が90点を取れるような問題づくりを目指して作られているだろうということは推測できます。

ただし,そのように150問を設計していたらといって,必ずしも結果がそうなるとは限りません。

そのために,ボーダーラインが補正されます。

多くの人が得点できていれば,第30回国試のようにボーダーラインが上がります。
多くの人が得点できなけれぱ,第25回国試のようにボーダーラインが下がります。

将来的には,固定されたボーダーラインを超えたら合格とするということも検討されているようです。

社会福祉士の国家試験は,すでに32回を数えます(2020年2月時点)。

社会福祉士の国家試験の実施機関である社会福祉振興・試験センターは,これまでにかなりのデータが集積されて分析していると思います。

しかし,実際の国家試験は人が作るので。予測どおりの結果になるとは限りません。

ボーダーラインが毎年変わると,受験生はどんな勉強をしたらよいのか,といった不安になることでしょう。

ボーダーラインが変わることは,年度ごとのに問題の難易度に差があることを示しています。

もし,ボーダーラインを固定すると,難易度が上がった問題が出題された年に受験する人は不利になります。

そのために難易度によるボーダーラインの補正が必要となります。

しかも,国家試験は,新しいスタイルの問題を一定数混ぜて出題ことになっています。
そのタイプの問題は,以前のデータがないために,予測しない結果をもたらす恐れがあります。

受験生にとって,ボーダーラインが年度によって変わることは,国家試験の合格発表の日まで安心できないことになるので良いことに思わないかもしれませんが,年度間の不公平を生じさせないためには必要なことだと考えています。

話が長くなりましたが,社会福祉士の国家試験は,上位から30%の点数が取れれば基本的に合格できます。

そのラインは,7割や8割ラインではなく,6割ラインです。

第32回国試問題です。

問題22 社会福祉法の内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉サービス利用援助事業は,第一種社会福祉事業である。
2 市町村は,地方社会福祉審議会を設置しなければならない。
3 市町村は.社会福祉事業等に従事する者の確保に関する基本指針を定めなければならない。
4 都道府県は,都道府県地域福祉支援計画を策定しなければならない。
5 共同募金は.都道府県を単位として毎年1回実施される。

正解は,選択肢5です。


問題36 社会福祉法に規定されている地域福祉に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 地域住民等は,地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に努めなければならない。
2 市町村は,市町村地域福祉計画を市町村社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画と一体的に策定しなければならない。
3 都道府県は,福祉サービスを必要とする地域住民の地域生活課題を把握し.支援関係機関と連携して解決を図るよう留意しなければならない。
4 社会福祉を目的とする事業を経営する者は,地域福祉の推進に係る取組を行う他の地域住民等に助言と指導を行わなければならない。
5 国及び地方公共団体は.地域福祉の推進のために必要な各般の措置を講ずるよう努めなければならない。

正解は,選択肢5です。


問題59 「障害者総合支援法」に定められている市町村の役割などに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 障害支援区分の認定のための調査を,指定一般相談支援事業者等に委託することができる。
2 障害支援区分の認定に関する審査判定業務を行わせるため,協議会を設置する。
3 市町村障害福祉計画を策定するよう努めなければならない。
4 指定障害福祉サービス事業者の指定を行う。
5 高次脳機能障害に対する支援普及事業などの特に専門性の高い相談支援事業を行う。

正解は,選択肢1です。


問題61 障害者基本法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 法の目的では,障害者本人の自立への努力について規定されている。
2 都道府県は,都道府県障害者計画の策定に努めなければならないと規定されている。
3 国及び地方公共団体は,重度の障害者について,終生にわたり必要な保護等を行うよう努めなければならないと規定されている。
4 社会的障壁の定義において,社会における慣行や観念は除外されている。
5 障害者政策委員会の委員に任命される者として,障害者が明記されている。

正解は,選択肢5です。


問題132 介護保険制度に関する次の記述のうち,国の役割として,正しいものを1つ選びなさい。
1 介護保険事業支援計画を策定すること。
2 介護給付費等審査委員会を設置すること。
3 介護保険に関する収入及び支出について特別会計を設けること。
4 市町村に対して介護保険の財政の調整を行うため,調整交付金を交付すること。
5 指定情報公表センターの指定をすること。

正解は,選択肢3です。 正解は,選択肢4です。


この5問は第32回国家試験で,福祉計画の策定に関して出題されたものを抽出しました。

福祉計画は,このように複数の科目で出題されているのがわかるでしょう。

「福祉行財政と福祉計画」は,多くの人が苦手としていますが,この科目を強化すると,ほかの科目も強化されることになります。


<今日の一言>

人によっては,「福祉行財政と福祉計画はまとめの科目です」というアドバイスをするかもしれません。

たしかに内容を見るとまとめの科目のようになっています。

しかし,この科目はもともと「社会福祉原論」から独立したものです。

つまり本当は,まとめの科目ではなく,入口の科目です。

ボーダーラインを超えるためには,どんな勉強方法をしても良いと思いますが,「福祉行財政と福祉計画」や「社会保障」のような中心をなす科目を先に勉強するという方法は,案外,得点力を高めるためには重要なことなのかもしれません。

今回紹介した5問は決して奇をてらった問題ではないので,改めてよく読めば正解できそうな問題かもしれません。

しかし,決して勘では正解することができません。

確実な知識にするためにも,勉強の入り口は,「現代社会と福祉」「福祉行財政と福祉計画」や「社会保障」といった科目群であるように思います。

2020年2月8日土曜日

人名問題対策~第32回国家試験に出題された人名(日本人・外国人)

受験生の多くが苦手としているのは,歴史と人名です。

第32回国試では,以下の人名が出題されています。

科目
問題
人名
出題
回数
心理学理論と心理的支援
9
クレッチマー
6
ユング
13
オールポート
3
キャッテル
3
社会理論と社会システム
15
ウェーバー
14
19
パーソンズ
10
地域福祉の理論と方法
24
木田徹郎
2
三浦文夫
7
岡村重夫
14
孝橋正一
5
一番ヶ瀬康子
3
相談援助の基盤と専門職
93
ベーム
3
ジャーメイン
17
シュワルツ
9
ゴールドシュタイン
2
バートレット
14
相談援助の理論と方法
101
ランク
6
ロス
10
ホリス
14
タフト
2
パールマン
14
109
カデューシン
1
児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
137
ヤヌシュ・コルチャック
1
トーマス・ジョン・バーナード
4
セオドア・ルーズベルト
2
エレン・ケイ
2
ロバート・オーウェン
2


8問にわたり,27名が出題されています。

出題回数は,国家試験問題が公開されるようになった第3回~第32回までに国家試験の問題中に現れた回数です。

そのため,選択肢の内容がある人物のことを述べていても,文章として現れていないものは,カウントしていません。

問題137では,一見さんであるコルチャックが出題されて驚愕した人が多かったと思います。
児童の科目では,近年,日本人の出題が続いていたので,なおのこと,びっくりしたことでしょう。

夏場には,新しい参考書が発売されていきますが,おそらくカデューシンもコルチャックもその中に含まれるでしょう。

そうなると,もう目新しくなくなってしまうので,第32回国試を受験した人が味わった驚愕を感じることはないはずです。

この表に示したように,出題された回数は,まったく異なります。
極めて重要な人とそうではない人がいます。

参考書では,それらの出題頻度が書かれていないので,どれもが重要だと思いがちですが,実はそんなことはありません。

気楽に取り組んでいくことが大切なように思います。

さて,人名問題には,いくつかの種類に分類することができます。

①実績を問うもの。
②提唱した理論を問うもの。

このうち,

①実績を問うもの。

は,石井十次は岡山孤児院を創設した,といったものです。

その問題への対応は「人名+実績」となります。

上記の表では,問題9,137がこれに当たります。

②提唱した理論を問うもの。

は,人名+実績に加えて,その内容を押さえることが必要です。

①に比べると少し高度になります。

理論の内容を理解することが必要だからです。

上記の表では,問題15,19,24,93,101,109がこれに当たります。

②であるのに①のような覚え方をすると,せっかく覚えたものでも,国家試験では役立たないことになるので要注意です。

2020年2月7日金曜日

第32回国家試験が教えてくれた~合格するのに必要なもの

社会福祉士の国家試験は,1年に1回実施されます。

第33回国家試験の受験を予定している人は,1年間の準備期間があります。

国家試験合格に必要なのは

「どれだけ勉強するのか」ではなく,「どのように勉強するのか」です。

とは言うものの,時間はかけがえのないものです。

さて,今回のテーマは「第32回国家試験が教えてくれた~合格するのに必要なもの」です。

おそらく受験する人で,過去問を解かない人はいないでしょう。
過去問は,国試合格のヒントにあふれています。
解くだけではもったいないです。


今回は例として「福祉行財政と福祉計画」の問題を紹介します。

この科目は,現在のカリキュラムになったとき,旧カリキュラムの「社会福祉原論」から独立したものです。社会福祉原論の流れを引く科目は,「現代社会と福祉」です。

第37回から始まる新しいカリキュラムによる国家試験では,再び2つの科目が合わさって,「社会福祉の原理と政策」という科目になります。

福祉行財政と福祉計画を苦手とする人は多いようです。

しかし,もう出題される内容はほぼ固定化されてきています。
科目として独立させたものの出題すべき内容はそれほどなかったということなのでしょう。

新しい科目では,「福祉行財政と福祉計画」という科目はなくなりますが,「福祉計画」というものを強く意識させるには極めて有効だったと言えます。

現在の「現代社会と福祉」と「福祉行財政と福祉計画」はどちらも難しい科目ですが,新しい科目ではミックスされるので,さらに難しくなるでしょう。
考えるだけでも恐ろしいです。

さて,今日の問題は何を教えてくれると思いますか?

問題45 次の計画のうち,定めたとき,又は変更したときに内閣総理大臣に提出しなければならないものを1つ選びなさい。
1 都道府県介護保険事業支援計画
2 都道府県における子どもの貧困対策についての計画
3 都道府県障害福祉計画
4 都道府県老人福祉計画
5 都道府県子ども・子育て支援事業支援計画


この問題の答えは,選択肢5です。
5 都道府県子ども・子育て支援事業支援計画

この問題を正解した人はおそらく自信を持って選んだのではないかと思います。

しかし正解できなかった人は,「内閣総理大臣に提出しなければならないということは勉強しなかった」と焦ったのではないかと想像できます。

さらに「2 都道府県における子どもの貧困対策についての計画」という知らないものを含んでいるので,受験者の混乱を引き出します。

この問題で正解するために絶対的に必要な知識は,「子ども・子育て支援法」は内閣府が所掌しているということです。

これを知らなければ,どんなに考えても正解することはできないでしょう。

今の国家試験問題は,今日の問題のように文章になっていない問題が多いので,日本語的に判断することができなくなっています。


<今日の結論>


国家試験に合格するために必要なのは,確かな知識とそれに伴う自信!


解説を読めば「ああ,そうだった」と思います。
「ああ,そうだった」と思わないのは,明らかに知識不足です。
そういった人は,まずは知識をつけなければなりません。

注意が必要なのは,「ああ,そうだった」と思う人です。
特にそういった問題で正解していたらボーダーラインに到達していただろうと思われる人です。

注意が必要な理由は,知識不足で正解できなかったのではないからです。

こういった傾向のある人は,よほど注意しないと同じことをまた繰り返します,


今日の問題で学ぶべきことは「根拠法」を意識して覚えることです。


<おまけ>

福祉の計画化は,1990(平成2)年の福祉関係八法改正で,老人保健福祉計画が策定義務化されたところから始まります。

現在では,計画を立てて,評価し,次の計画を立てる,という「PDCAサイクル」で行われるようになってきています。

そのため,社会福祉法では,以下のような規定が加わっています。

市町村は、定期的に、その策定した市町村地域福祉計画について、調査、分析及び評価を行うよう努めるとともに、必要があると認めるときは、当該市町村地域福祉計画を変更するものとする。

都道府県は、定期的に、その策定した都道府県地域福祉支援計画について、調査、分析及び評価を行うよう努めるとともに、必要があると認めるときは、当該都道府県地域福祉支援計画を変更するものとする。


PDCAサイクルについては,以下の出題があります。

問題46 次の各計画の策定を規定している法律に,計画の実績について評価を行うと明記されているものを1つ選びなさい。
1 市町村自殺対策計画
2 市町村介護保険事業計画
3 市町村障害者計画
4 市町村子ども・子育て支援事業計画
5 市町村老人福祉計画

この問題の正解は,選択肢2です。

介護保険法では,以下のように規定されています。

市町村は、第二項第三号に規定する施策の実施状況及び同項第四号に規定する目標の達成状況に関する調査及び分析を行い、市町村介護保険事業計画の実績に関する評価を行うものとする。

都道府県は、第二項第二号に規定する施策の実施状況及び同項第三号に規定する目標の達成状況に関する調査及び分析を行い、都道府県介護保険事業支援計画の実績に関する評価を行うものとする。

問題46ははっきり言うと難しいです。
福祉計画の評価について,問われたことが少なかったからです。

だからと言って,正解できない問題ではありません。

なぜなら,福祉計画の評価については,近年の動きなので,近年に改正されたものを考えるというヒントがあるからです。

よくわからないのは「市町村自殺対策計画」ですが,評価するポイントは自殺者が減ったのか増えたのか,といったポイントしかなさそうなので,法で明記することではないように思えます。

そのように考えると「介護保険事業計画」がそれっぽいと推測することができるでしょう。


計画については,以下のような問題も出題されています。

問題47 福祉計画に関して,1990年(平成2年)の福祉関係八法改正より以前の記述として,正しいものを1つ選びなさい。
1 「エンゼルプラン」が策定された。
2 障害福祉計画が障害者自立支援法に規定された。
3 社会福祉施設緊急整備5か年計画が策定された。
4 「新ゴールドプラン」が策定された。
5 地域福祉計画が社会福祉法に規定された。

この問題の正解は,選択肢3です。
3 社会福祉施設緊急整備5か年計画が策定された。

この計画は,どの参考書にも必ず載っているものでしょう。

これは,1971(昭和46)年に策定されたものです。

内容の中には,施設の不燃化も含まれます,
戦後すぐに作られた福祉施設は,木造であまりにも古かったためです。
時代を感じます。

2020年2月6日木曜日

第32回国試を振り返る~知識が足りなかったのか?

国家試験が終わったあと,受験者の行動は2つに分かれます。

一つは,①解答速報ですぐ自己採点する。

もう一つは,②合格発表まで,国家試験のことは忘れる。

不合格が内定取り消しにつながる新卒学生は,①の行動をとります。

②は,合否が仕事に直結しない社会人に多いようです。

②のタイプの人は,現時点(第32回国家試験直後)には,この記事は見ることはないと思います。

①の行動の人は,解答速報の答えが割れている問題に対して,ドキドキします。
発表直後は正確性を欠くことが多いようです。
例年では,時間が経つにつれて修正していくので,だんだん答えはそろっていく傾向にあります。

落ち着いて経緯を見守りましょう。

第32回国家試験の問題の中で話題になっているのは,これらの問題です。

問題23 「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年(平成28年)6月閣議決定)の内容に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 地域資源の活用や自然環境を活用した第4次産業革命を実現すべきとした。
2 一億総活躍社会を実現するのは,次世代の役割であるとした。
3 地方創生は,一億総活躍社会を実現する上で最も緊急度の高い取組の一つであるとした。
4 一億総活躍社会は,政府に頼らず社会の側の責任において実現すべきとした。
5 「成長」か「分配」かという論争に終止符を打ち,「成長」に重点を置いた施策を推進するとした。

問題27 「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(2018年(平成30年)12月,外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議決定)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 地域における外国人の活躍と共生社会の実現を図る地方公共団体の主体的で先導的な取組のために,社会福祉法人からの寄附金を募る。
2 災害時に避難所等にいる外国人被災者への情報伝達を支援する「災害時外国人支援情報コーディネーター」の養成研修を実施する。
3 外国人への行政•生活情報の提供において,個人情報保護の観点からソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用は極力避ける。
4 公営住宅法に基づき,外国人を含む住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録や住宅情報の提供,居住支援等を促進する。
5 外国人への情報提供及び相談を行う一元的な窓口として,厚生労働省の地方厚生局に「多文化共生総合相談ワンストップセンター(仮)」を設置する。

問題28 国際連合が掲げている「持続可能な開発目標」(SDGs)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 2000年に制定されたミレニアム開発目標(MDGs)の目標を破棄し,それに代わる目標を掲げている。
2 経済成長,社会的包摂,人口増加抑制策の調和が,持続可能な開発を達成するために求められている。
3 持続可能な開発の達成には,政府の手を借りることなく民間セクターによる行動が必要とされている。
4 貧困に終止符を打つとともに,気候変動や環境保護への取組も求めている。
5 目標実現に向けた進捗状況のフォローアップと審査の責任は国際連合にあるとし,独立した国際的専門機関を設置している。

これらはすべて「現代社会と福祉」の問題です。

こんな問題が出題されると「勉強不足」を実感するかもしれません。
先生方は「社会の動きにも気を配りましょう」と言います。

確かに知識があった方がよいですが,知識がなければ必ずしも解けないという問題ではありません。

問題28を見てみましょう。

1 2000年に制定されたミレニアム開発目標(MDGs)の目標を破棄し,それに代わる目標を掲げている。

多くの場合,目標は,前のものを踏まえて作られます。目標が達成されなければ,達成するための方策を考えることになるでしょう。

2 経済成長,社会的包摂,人口増加抑制策の調和が,持続可能な開発を達成するために求められている。

社会的包摂は,西ヨーロッパで広まってきたものです。先進国では重要かもしれませんが,世界規模で考えた場合,優先される問題ではなさそうな気がします。

3 持続可能な開発の達成には,政府の手を借りることなく民間セクターによる行動が必要とされている。

これは正解ではなさそうだ,と判断できそうです。

4 貧困に終止符を打つとともに,気候変動や環境保護への取組も求めている。

これが正解です。

5 目標実現に向けた進捗状況のフォローアップと審査の責任は国際連合にあるとし,独立した国際的専門機関を設置している。

国際的な専門機関が設置されたのであれば,どこかで聞く機会もあるでしょう。


これらの問題は,必ずしも正解できなくても,ほかの問題が正解できるように勉強していけば必ずボーダーラインは越えます。

「現代社会と福祉」は,現代の問題を取り上げるので,問題が難しくなる傾向があります。

しかし,それはすべての受験生に同じ条件です。

知識が足りなかったのかどうかを見極めるバロメーターとなる問題があります。

問題44 「平成31年版地方財政白書」(総務省)における民生費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額のうち,民生費は教育費に次いで多い。
2 都道府県の目的別歳出では,生活保護費の割合が最も高い。
3 都道府県の性質別歳出では,扶助費の割合が最も高い。
4 市町村の目的別歳出では,児童福祉費の割合が最も高い。
5 市町村の性質別歳出では,人件費の割合が最も高い。

正解は4です。

合格する実力を持つ人は,こういった問題を確実に正解します。


<今日の一言>

第33回国家試験を受験する人が,第31回と第32回国試を解いたとき,出題内容に大きな変化を感じないでしょう。

国家試験は,実際に受験した人が感じる難しさがあります。

これは今回だけに限ったことではなく,これまでの国家試験を受験した人すべてが体験しています。

知識が足りなければ合格できませんが,知識だけでは合格するのに十分ではありません。

再受験を目指すことになったとき,「知識不足だった」という現実認識だけでは,次回もあと数点で泣くことになります。

どのような知識が必要なのかを今後も追いかけていきます。ご期待ください。

2020年2月5日水曜日

第32回国家試験の感想~ボーダーラインの行方

(2020/03/20追記)

第32回国家試験の結果

ボーダーライン 88点(前回よりも1点ダウン)
合格率 29.3%(前回よりも0.6%ダウン)

合格率に関しては,第31回国家試験は,合格発表の後で不適切問題が発覚して,追加合格がありました。追加合格前のもともとの合格率は,28.9%でした。それと比べると0.4%アップです。

社会福祉振興・試験センターは,受験生の得点に関するデータは一切発表していません。
しかし,ここからここから推測することができることがあります。

これまで実施された国家試験で実質的に最も合格率が高かったのは,第20回の30.6%です。

(実質的というのは,実際には第15回の31.4%がありますが,この時も不適切問題で追加合格があり,それがなかったもともとの合格率は,29.1%です)

第32回国試のボーダーラインは,88点でした。

1点引き下げて87点にすると,今まで最高だった30.6%を超えた可能性があります。
もし,87点だった場合に,合格が30.7%だったと仮定すると

受験者数39,629人×合格率30.7%=合格者数12,166人

30.7%だった時の合格者数12,166人-29.3%の合格者数11,612人=554人

つまり1点差で泣いた人は,最低でも554人が存在していることになります。

国家試験を実施している社会福祉試験・振興センターが理想としている社会福祉士の国家試験は,

ボーダーライン 90点
合格率 30%

だと推測しています。

第32回は,88点,29.3%なので,同センターが理想としている試験よりも難易度が高かった問題だったと言えるでしょう。

それを踏まえて,第33回はどのような問題が出題されることでしょうか?

知識なしで解ける問題が多くて,誰も解けない問題が少なければ,ボーダーラインが上がります。

知識なしで解ける問題が多くても,誰も解けない問題が同数であれば,ボーダーラインに影響がありません。

国家試験に合格するためには,知識なしで解ける問題や誰も解けない問題以外の中間程度の難易度である問題を確実に正解することが大切です。

(ここまでが追記部分)


現時点(2020年2月)での直近の社会福祉士の国家試験は,第32回のものです。

第33回国家試験は,試験委員メンバーはよほどのことがない限り,ほとんどが留任することでしょう。

第37回の新しいカリキュラムに向けた準備が始まっているように思います。

第32回国家試験の特徴は,科目間のバランスを欠いているように思います。

一つはこんな問題です。

問題21 社会問題は,ある状態を解決されるべき問題とみなす人々のクレイム申立てとそれに対する反応を通じて作り出されるという捉え方がある。このことを示す用語として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会統制論
2 緊張理論
3 文化学習理論
4 構築主義
5 ラベリング論

正解は,選択肢4です。

もう一つは,こんな問題です。

問題134 厚生労働省の介護人材確保対策に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 介護福祉士の資格等取得者の届出制度では,離職した介護福祉士に対し.その再就業を促進し効果的な支援を行うため,都道府県福祉人材センターに氏名・住所等を届け出ることを努力義務としている。
2 介護保険制度の介護報酬における介護職員処遇改善加算では,介護サービス事業所・施設等が特段の届出や要件を問われることなく,介護職員の賃金増額などを図るための加算を取得できることとなっている。
3 福祉・介護人材確保緊急支援事業により,キャリア支援専門員が福祉事務所に配置され,個々の求職者にふさわしい職場を開拓するとともに働きやすい職場づくりに向けた指導・助言を行うこととなっている。
4 「2025年に向けた介護人材の確保」によると,介護人材の構造転換を図るために,専門性の高い人材を活用する「富士山型」の方策から.基礎的な知識を有する人材を活用する「まんじゅう型」の方策へと転換を図る必要性が示されている。
5 「2025年に向けた介護人材の確保」によると,中高年齢者等や介護未経験の者に対し,生活支援サービスの担い手養成のための研修の受講を支援するため,介護福祉士等修学資金貸付制度の充実を図るとされている。


今回の国家試験では,今まで見たことのないようなミスプリントがあります。

問題85の設問。

20 07年

2007年でなければなりません。

他にもどこかに同じようなものがあったように思います(今は見つけられません)。

これは,十分に校正する時間がなかったか,時間があっても,しっかりチェックしていなかったことによるものだと考えられます。

試験委員のメンバーが大幅に変わったことが影響しているように思います。

そのためなのか,知識なしでも解ける問題が登場しています。

問題84 社会調査に関する次の記述のうち最も適切なものを1つ選びなさい。
1 貧困の実態調査などの社会調査を基に,社会改良が行われることもある。
2 社会調査は.研究者が個人ではなくて共同で行わなければならない。
3 報道機関が行っている世論調査は,社会調査には含まれない。
4 社会調査は,社会福祉援助技術として有効な方法ではない。
5 社会調査は,数量的データとして結果を提示できなければならない。


あいまい表現に正解多し。
言い切り表現に正解少なし。

の問題です。

このほかにも

問題5 1978年にWHOが採択したアルマ・アタ宣言に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 先進国と開発途上国間における人々の健康状態の不平等について言及している。
2 政府の責任についての言及はない。
3 自己決定権についての言及はない。
4 保健ニーズに対応する第一義的責任は,専門職個人にあると言及している。
5 地域,国家,その他の利用可能な資源の活用についての言及はない。

このように表現がばらついているものは,答えが分かりやすくなる傾向があります。

言及している。

あるいは

言及はない。

で統一された問題だったらとても難しくなります。

「言及はない」(言い切り表現に正解少なし)は正解になりにくいので,消去できます。
残る選択肢から考えると良いことになります。

残る選択肢は,

1 先進国と開発途上国間における人々の健康状態の不平等について言及している。
4 保健ニーズに対応する第一義的責任は,専門職個人にあると言及している。

解答テクニック的に言えば,「第一義」という表現は,間違いである傾向があります。

正解は,選択肢1です。
1 先進国と開発途上国間における人々の健康状態の不平等について言及している。


この逆に,表現をそろえた問題もあります。


問題78 事例を読んで,次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
 Aさんは,判断能力が低下している状況で販売業者のU社に騙され,50万円の価値しかない商品をU社から100万円で購入する旨の売買契約書に署名捺印した。U社は,Aさんに代金100万円の支払を請求している。
1 Aさんにおいて,その商品と同じ価値の商品をもう一つ引き渡すよう請求する余地はない。
2 Aさんにおいて,消費者契約法上,Aさんの誤認を理由とする売買契約の取消しをする余地はない。
3 Aさんにおいて,商品が引き渡されるまでは,代金の支払を拒む余地はない。
4 Aさんにおいて,U社の詐欺を理由とする売買契約の取消しをする余地はない。
5 Aさんにおいて,契約当時,意思能力を有しなかったとして,売買契約の無効を主張する余地はない。

「余地はない」で統一されています。

このような問題は難易度が高くなります。

こういった問題の場合は,その内容で違うものを見つけ出すと良いです。


この問題の場合は,取り消しなどではないものが,選択肢1です。

1 Aさんにおいて,その商品と同じ価値の商品をもう一つ引き渡すよう請求する余地はない。

難しそうでも,視点を変えると解ける問題は多いです。


第32回国家試験のボーダーラインがどうなるかは誰もわかりません。

とは言っても,解きやすい問題が多かったことは確かです。

だからと言って,ボーダーラインが上がるということとは別の話です。

なぜなら,解きやすい問題があっても,難しい問題が同じ数あれば,ボーダーラインは変わらないからです。

第33回の話をすれば,

第32回国試が易しければ,難しくなるでしょう。
その逆に難しければ,第33回国試は易しくなるでしょう。

第32回国家試験の試験委員長は,新任の岩崎晋也先生(法政大学教授)でした。

そのためなのか,ミスプリがあるなど,バタついた感じがします。

これからしばらくは岩崎時代が続くことでしょう。第33回国家試験以降は,試験委員が慣れてくるので,第32回国試よりも洗練された問題が出題されると思うので,解きやすいと感じる問題は減るはずです。



<今日の一言>

第33回国家試験を受験される方は,今後,第32回の問題を解くでしょう。

その時には,知識なしでも解ける問題があるので,「国家試験は意外と簡単だ」と思うかもしれません。

しかしそれは危険な思い込みです。第32回国家試験の結果,再受験を目指すことになる人も要注意です。

勉強が不十分でも,ボーダーラインに近い点数が取れた人は特に注意です。

そこからの点数の積み上げは簡単ではありません。
合格できる基礎的な知識をきっちりつけることは,一朝一夕にできるものではありません。

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