2020年12月5日土曜日

事例問題の注意ポイント

今回は,事例問題を取り上げます。

 

事例問題は,多くの人が思っているほど,簡単ではありません。

 

しかしポイントを押さえれば必ず正解できます。

 

以前にも何回も述べていますが,事例問題は不適切問題にならないように,慎重に仕掛けを作っています。これは,精神保健福祉士の長文事例問題も同じです。

 

それでは今日の問題です。

 

第28回・問題40 事例を読んで,社会福祉協議会のB福祉活動専門員のとるべき対応として,次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕

 「最近,一人暮らしの80歳のCさんを見かけない」と近隣住民から民生委員に相談があった。民生委員がCさんを訪問したところ,Cさんは居たものの,部屋の中はゴミが溜り食事も十分ではない様子であった。しかしCさんは「特に困っていない」と繰り返すだけであった。市内には55歳の独身の息子Dさんが暮らしているが,あまりCさん宅を訪れることはないようであった。民生委員から相談を受けたB福祉活動専門員は,次のような対応をした。

1 Cさんに認知症の疑いがあるため,地域包括支援センターの保健師に以降の対応を任せた。

2 Dさんの職場を訪問し上司にCさんの様子を伝え,Dさんの職場での状況を間いた。

3 Cさんの近隣では,ふれあい・いきいきサロンが開催されているが,Cさんにサロンへの参加を促すことは,かえって刺激する可能性があるため控えた。

4 Cさんに,近隣住民が行っている配食サービスの利用を提案した。

5 ゴミ出しなどについて困っている住民が他にもいたので,民生委員や自治会役員などに参加を求め,生活支援の仕組みづくりを考える話合いを行った。

 

この問題は,事例を読まなくても解けてしまうので,あまり良い題材になりません。しかし,決してこのような問題ばかりではないので,本当に注意が必要です。

さて,ポイントです。

 

 「最近,一人暮らしの80歳のCさんを見かけない」と近隣住民から民生委員に相談があった。民生委員がCさんを訪問したところ,Cさんは居たものの, ①部屋の中はゴミが溜り ②食事も十分ではない 様子であった。しかしCさんは「特に困っていない」と繰り返すだけであった。市内には55歳の独身の息子Dさんが暮らしているが,あまりCさん宅を訪れることはないようであった。民生委員から相談を受けたB福祉活動専門員は,次のような対応をした。

 

優先して解決しなければならないのは,

②食事も十分ではない

です。

正解を1つ選ぶものなら,これが第一選択です。

最も優先されるのは,生命の安全だからです。


この問題は,正解を2つ選ぶ問題なので,もう1つは

①部屋の中はゴミが溜り

清潔な環境も優先課題です。

 

正解を2つ選ぶために,ポイントはそれに対応して2つ仕込んであります。

 

何て親切なのでしょう。

 

①部屋の中はゴミが溜り への対応は,

 

5 ゴミ出しなどについて困っている住民が他にもいたので,民生委員や自治会役員などに参加を求め,生活支援の仕組みづくりを考える話合いを行った。

 

②食事も十分ではない への対応は,

 

4 Cさんに,近隣住民が行っている配食サービスの利用を提案した。

 

何と明確な問題だと思いませんか?

 

<今日の一言>

 

手元に過去問があったら,事例問題を見てみてください。

 

注意してみると,極めて明確なポイントが事例の中に仕掛けられているのに気がつくことでしょう。

 

国家試験が終わると,各社が解答速報を出します。

各社の答えが分かれる問題があります。

 

急いで解答速報をつくるので,十分な吟味がされていないのでしょう。

 

事例問題は,足りない情報を推測で足して考えると間違う原因となるので注意が必要です。

問題は,問題の中にある文章だけで解けるようにつくられているからです。

2020年12月4日金曜日

勉強したことがない問題への対処法~その2

「地域福祉の理論と方法」を苦手だと思っている人は意外と多いようです。


受験勉強で学んだものではないよく分からないものが出題されるからでしょう。


今回,取り上げる問題もそういったタイプです。


しかし,糸口がないわけではありません。それを見つける方法を考えましょう。


第28回・問題39 地域住民の相談を受ける仕組みに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 地域包括支援センターの総合相談支援業務は,センターに配置された社会福祉士,保健師,主任介護支援専門員がチームとして連携して行うこととされている。

2 民生委員には守秘義務があるため,心配ごと相談事業の取組は民生委員単独で行うこととされている。

3 福祉サービスの利用相談などを行う福祉サービス利用援助事業は,市町村が実施することとされている。

4 生活困窮者自立相談支援事業では,相談支援員と地域福祉コーディネーターを配置することとされている。

5 生活福祉資金貸付事業の相談は,社会福祉士が行うこととされている。


すべて「こととされている」で統一された問題です。

統一されると難易度がグーンと高くなります。


落ち着いて問題を読めば,正解は


1 地域包括支援センターの総合相談支援業務は,センターに配置された社会福祉士,保健師,主任介護支援専門員がチームとして連携して行うこととされている。


だと見えてくるかもしれません。


社会福祉士が必置になっているのは,地域包括支援センターのみだからです。


そのことから,選択肢5は消去できます。


選択肢2は比較的容易に消去できることでしょう。


正解するための別れ道は


3 福祉サービスの利用相談などを行う福祉サービス利用援助事業は,市町村が実施することとされている。

4 生活困窮者自立相談支援事業では,相談支援員と地域福祉コーディネーターを配置することとされている。


の2つの選択肢を消去できることです。


ここだけは,確実な知識が必要です。


選択肢3の福祉サービス利用援助事業は,都道府県社会福祉協議会及び指定都市社会福祉協議会が実施主体の日常生活自立支援事業です。


選択肢4の生活困窮者自立相談支援事業は,生活困窮者自立支援法が根拠法ですが,地域福祉コーディネーターは法的根拠はありません。


ということで,選択肢1が残ります。

2020年12月3日木曜日

勉強したことがない問題への対処法

社会福祉士の国家試験は,一定程度,勉強したことがない問題が出題されます。


全体の分量のうち,それほど多くはないので,正解できなくても焦ることはありません。

ほかの受験者も同じ条件だからです。

今回は,そういった問題への対処法を紹介します。

ただし,今日の問題のような問題で正解できなくても,ほかの問題で十分ボーダーラインを超えることができます。


なぜなら,全体の4割程度は間違うことができるからです。


それでは今日の問題です。


第28回・問題38 地域福祉活動における情報の取扱いに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 社会福祉法では,社会福祉事業者による個人情報の取扱いに関して規定している。

2 地域ケア会議では,保護のため,個人情報を含んだ個別ケースは検討できない。

3 災害対策基本法では,避難行動要支援者名簿は,市町村の条例に特別の定めがあれば,本人の同意がなくても,平常時から民生委員や消防機関等に提供できる。

4 個人情報の保護に関する法律では,生命,身体又は財産の保護のための個人データの第三者への提供に当たっては,本人の同意が必須とされている。

5 「子ども虐待対応の手引き」(厚生労働省)では,児童虐待が疑われる情報があっても,実態が確認できるまでは通告や相談は避けた方が良いとされている。


選択肢1,選択肢2,選択肢5は消去できそうです。


残るのは,

3 災害対策基本法では,避難行動要支援者名簿は,市町村の条例に特別の定めがあれば,本人の同意がなくても,平常時から民生委員や消防機関等に提供できる。


4 個人情報の保護に関する法律では,生命,身体又は財産の保護のための個人データの第三者への提供に当たっては,本人の同意が必須とされている。


どちらも「本人の同意」がキーワードになっている選択肢です。

逆になっているところがチェックポイントです。


どちらかが正解になりそうです。


一般的に,個人情報の提供は,本人の同意が必要ですが,いずれも一般事例ではないものです。


そうなると,「本人の同意がなくても」が正解っぽいのではないかと考えることができそうです。


正解は,選択肢3です。


3 災害対策基本法では,避難行動要支援者名簿は,市町村の条例に特別の定めがあれば,本人の同意がなくても,平常時から民生委員や消防機関等に提供できる。


これが単独で出題されれば,正解だと考えることは難しいですが,反対の内容である選択肢4とセットで出題されているので,正解できる可能性が高まっています。


<今日の一言>


人によっては,一問一答の参考書を使って仕上げましょう,とアドバイスする人もいます。

一問一答もそれなりの意味はありますが,国家試験は,一問一答式で出題されるわけではありません。

最後の仕上げは,国試のスタイルで実力アップするのが適切です。参考書や一問一答式の参考書では身につけられない力をつけることができるでしょう。


2020年12月2日水曜日

事例問題でミスしない方法

事例問題は,知識がなくても解ける可能性があります。

そのため,受験者の多くが正解することができます。


社会福祉士の国家試験に合格するために必要なのは,受験者の多くが正解できる問題をミスしないことです。


しかし,実は多くの人が思っているほど,事例問題は簡単ではありません。


今日の問題もそういったタイプの問題だと言えるでしょう。


第28回・問題37 事例を読んで,Aボランティアコーディネーターの取組に関する次の記述のうち,より適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕

 N市社会福祉協議会のボランティアセンターのAボランティアコーディネーターは,窓口での相談対応や地域の状況把握などを踏まえて,ボランティア活動の調整など,コーディネーターとしての業務に取り組んでいる。

1 N市では孤立死が数件発生しているが,住民がショックを受けないように,地元の孤立死の件数,自殺者数などの情報は伏せておくことにした。

2 子どもの不登校で悩んでいる親が相談に来たことをきっかけに,不登校の子どもを支援するボランティアの養成講座を企画した。

3 担当地区の高齢化率が著しく高いため,ボランティアの新規募集は別の地区で行うことにした。

4 市内の企業からボランティアへの協力の申出があったので,近くの福祉施設で活動できるようにした。

5 N市の住民のボランティアへの参加意欲を知ろうと考え,社協が開いているふれあい・いきいきサロンの利用者を対象とする調査を実施することにした。


この問題で確実に正解するためには,ボランティアコーディネーターは何をする人なのかを押さえておくとミスしないでしょう。


この問題を正解することが難しい理由は,正解を2つ選ぶ問題だからです。


事例問題の場合,1つは選べても,もう1つを選ぶのが意外と難しい問題が多いのです。


正解を先に言うと,

2 子どもの不登校で悩んでいる親が相談に来たことをきっかけに,不登校の子どもを支援するボランティアの養成講座を企画した。

4 市内の企業からボランティアへの協力の申出があったので,近くの福祉施設で活動できるようにした。


この2つです。

ボランティアコーディネーターという名称から,選択肢4は選べるはずです。

しかし,ボランティアコーディネーターの役割は,ボランティアを受け入れたい施設とボランティアをしたい人のマッチングを行うことだけではなく,ボランティアを養成することもボランティアコーディネーターの役割とされています。

そのため,選択肢2がもう1つの正解となります。


さて,ここまでがボランティアコーディネーターの役割を正しく理解していることが前提となる解説です。


それを知らなかった場合,選択肢5を選ぶ人もいるはずです。


しかし,冷静にこの選択肢を読めば,「より適切」ではないと思えるはずです。


なぜなら,N市の住民のボランティアへの参加意欲を知ろうとすることは,適切なのですが,その方法が「より適切」ではないのです。


N市の住民の意識を調査したいのに,調査する対象が,社協が開いているふれあい・いきいきサロンの利用者となっています。


社協が開いているふれあい・いきいきサロンの利用者が,N市の住民を代表する意見をもつ集団であれば,適切な意識調査ができるでしょう。


しかし,おそらくそうではないはずです。


N市の住民の意識を正しく把握するためには,N市の住民を無作為抽出すると,「より適切」な調査となります。


<今日の一言>


今日の問題でわかると思いますが,「地域福祉の理論と方法」は,「社会調査の基礎」で学ぶ知識の応用の問題も存在します。


例えば,KJ法などです。


今日の問題は,その知識がなければ解けない問題ではありませんが,さまざまな知識を使って冷静に考えることで,得点できる可能性が高まります。

2020年12月1日火曜日

勉強したことのないものが出題された時

国家試験では,毎年一定程度,目新しいものが出題されます。


そのときに,冷静に問題に向かうことができるか,イメージしたことはありますか?


それらができなくても,そのほかの問題で十二分に合格基準点は超えることができます。


しかし,余裕をもって,合格発表の日を迎えるために,正解できそうな問題は確実に得点したいとものです。


あと1点,2点で合格基準点に届かない人は,たくさんいます。


問題を前にして,右往左往している姿が思い浮かびます。

実力を発揮できずに,国試を終えることになると,悲しいです。


過去問を解く時,どのように問題が作られているのか,意識してみると,正解できる可能性がかなり高くなります。ミスを減らすことができます。


今日の問題で,確認してみましょう。



第28回・問題36 厚生労働省による「市民後見推進事業」に関する次の記述のうち正しいものを1つ選びなさい。

1 市町村は,市民後見人を選任する。

2 市民後見人は,一定額以上の所得税を納めた市民に限られる。

3 今後増加する認知症の人の福祉を増進する観点から,市町村に対して市民後見人の育成及び活用を求めている。

4 市民後見人は,弁護士,社会福祉士などの専門職による指示に基づいて業務を行う。

5 市民後見人による後見開始に当たり,被後見人は市民後見人と契約を締結しなければならない。



正解は,選択肢3です。


3 今後増加する認知症の人の福祉を増進する観点から,市町村に対して市民後見人の育成及び活用を求めている。


この選択肢は,実はちょっと迷うものです。

専門職の育成は都道府県の役割だからです。


市民後見人は,専門職かもしれませんが,市民なので,市町村の役割となります。


この選択肢が


市町村に対して市民後見人の育成


だったら,選べないかもしれません。


市町村に対して市民後見人の育成及び活用


活用が加わることで,この選択肢を選びやすくなっています。


活用は,都道府県では市民と距離が遠すぎるからです。そこから市町村だと推測できます。


この問題の場合は,市民後見人であっても,後見人であると考えられれば,そのほかの選択肢は消去できます。



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