今回は,事例問題を取り上げます。
事例問題は,多くの人が思っているほど,簡単ではありません。
しかしポイントを押さえれば必ず正解できます。
以前にも何回も述べていますが,事例問題は不適切問題にならないように,慎重に仕掛けを作っています。これは,精神保健福祉士の長文事例問題も同じです。
それでは今日の問題です。
第28回・問題40 事例を読んで,社会福祉協議会のB福祉活動専門員のとるべき対応として,次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
1 Cさんに認知症の疑いがあるため,地域包括支援センターの保健師に以降の対応を任せた。
2 Dさんの職場を訪問し上司にCさんの様子を伝え,Dさんの職場での状況を間いた。
3 Cさんの近隣では,ふれあい・いきいきサロンが開催されているが,Cさんにサロンへの参加を促すことは,かえって刺激する可能性があるため控えた。
4 Cさんに,近隣住民が行っている配食サービスの利用を提案した。
5 ゴミ出しなどについて困っている住民が他にもいたので,民生委員や自治会役員などに参加を求め,生活支援の仕組みづくりを考える話合いを行った。
この問題は,事例を読まなくても解けてしまうので,あまり良い題材になりません。しかし,決してこのような問題ばかりではないので,本当に注意が必要です。
さて,ポイントです。
「最近,一人暮らしの80歳のCさんを見かけない」と近隣住民から民生委員に相談があった。民生委員がCさんを訪問したところ,Cさんは居たものの, ①部屋の中はゴミが溜り ②食事も十分ではない 様子であった。しかしCさんは「特に困っていない」と繰り返すだけであった。市内には55歳の独身の息子Dさんが暮らしているが,あまりCさん宅を訪れることはないようであった。民生委員から相談を受けたB福祉活動専門員は,次のような対応をした。
優先して解決しなければならないのは,
です。
正解を1つ選ぶものなら,これが第一選択です。
最も優先されるのは,生命の安全だからです。
この問題は,正解を2つ選ぶ問題なので,もう1つは
清潔な環境も優先課題です。
正解を2つ選ぶために,ポイントはそれに対応して2つ仕込んであります。
何て親切なのでしょう。
①部屋の中はゴミが溜り への対応は,
5 ゴミ出しなどについて困っている住民が他にもいたので,民生委員や自治会役員などに参加を求め,生活支援の仕組みづくりを考える話合いを行った。
②食事も十分ではない への対応は,
4 Cさんに,近隣住民が行っている配食サービスの利用を提案した。
何と明確な問題だと思いませんか?
<今日の一言>
手元に過去問があったら,事例問題を見てみてください。
注意してみると,極めて明確なポイントが事例の中に仕掛けられているのに気がつくことでしょう。
国家試験が終わると,各社が解答速報を出します。
各社の答えが分かれる問題があります。
急いで解答速報をつくるので,十分な吟味がされていないのでしょう。
事例問題は,足りない情報を推測で足して考えると間違う原因となるので注意が必要です。
問題は,問題の中にある文章だけで解けるようにつくられているからです。