福祉計画は,種類がたくさんあって,覚えるのがとても面倒ですね。
特に気をつけなければならないのは,
①都道府県と市町村の違い
②介護保険事業計画と老人福祉計画の関係
③障害者計画と障害福祉計画の関係
あたりでしょうか。
①都道府県と市町村の違い
市町村は,基礎的地方公共団体として,基本的な住民サービスに関連するものを定めます。
都道府県は,市町村の支援に関連するものを定めます。
②介護保険事業計画と老人福祉計画の関係
③障害者計画と障害福祉計画の関係
②は,どちらも提供するサービスの量などを定めます。
③は,提供するサービスの量などを定めるのは,障害福祉計画のみです。
このような違いが生じるのは,高齢者に関しては,社会保険制度である介護保険制度と社会福祉制度である老人福祉制度があるのに対し,障害者は,社会福祉制度しかないためです。
障害者計画は,障害者施策の方向性を定めます。
それでは,今日の問題です。
第28回・問題47 次の福祉計画などの法定事項に関する記述として,正しいものを1つ選びなさい。
1 市町村老人福祉計画では,市町村介護保険事業計画に定められている事項を勘案する必要はない。
2 市町村地域福祉計画には,社会福祉を目的とする事業に従事する者の資質の向上に関する事項を定めるものとされている。
3 市町村障害福祉計画には,障害福祉サービス,相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に係る目標に関する事項を定めるものとされている。
4 市町村子ども・子育て支援事業計画には,子どものための現金給付に関する事項を定めるものとされている。
5 市町村介護保険事業計画には,介護サービス情報の公表に関する事項を定めるものとされている。
基本事項が理解できないと皆目見当のつかないものかもしれませんね。
それでは,解説です。
1 市町村老人福祉計画では,市町村介護保険事業計画に定められている事項を勘案する必要はない。
もちろん勘案する必要があります。そのために,両計画は,一体のものとして作成されます。
2 市町村地域福祉計画には,社会福祉を目的とする事業に従事する者の資質の向上に関する事項を定めるものとされている。
社会福祉を目的とする事業に従事する者の資質の向上に関する事項を定めるものとされているのは,都道府県地域福祉支援計画です。
専門職の確保,資質向上,基盤整備等は,都道府県の役割だからです。
3 市町村障害福祉計画には,障害福祉サービス,相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に係る目標に関する事項を定めるものとされている。
これが正解です。
障害者分野には,障害者計画と障害福祉計画がありますが,提供するサービスの量などを定めるのは,障害福祉計画です。
4 市町村子ども・子育て支援事業計画には,子どものための現金給付に関する事項を定めるものとされている。
市町村子ども・子育て支援事業計画で定めるのは,教育・保育のサービス量の見込みなどです。
子どものための現金給付とは,児童手当法の児童手当のことです。
児童手当は,子ども・子育て支援法により,市町村が給付していますが,この事項を市町村子ども・子育て支援事業計画で定めないのは,法定受託事務であり,特に定める必要はないからでしょう。
5 市町村介護保険事業計画には,介護サービス情報の公表に関する事項を定めるものとされている。
介護サービス情報の公表に関する事項を定めるのは,都道府県介護保険事業支援計画です。
介護サービス情報の公表は,直接的な住民サービスではないからです。