2020年12月10日木曜日

地域福祉計画と地域福祉活動計画

今回は,地域福祉計画と地域福祉活動計画を取り上げたいと思います。

 

地域福祉計画は,社会福祉法で規定されて,市町村地域福祉計画と都道府県地域福祉支援計画があります。

 

一方,地域福祉活動計画とは何でしょう?

 

ネットで調べてもよくわからないかもしれません。

 

それはそのはず。法に規定されているものではなく,市町村社会福祉協議会による民間計画だからです。

 

歴史的にみると,この計画の方が古いようです。

 

もちろん地域によって異なりますが,もともと地域福祉計画と呼ばれていた地域もあったようです。その後,社会福祉法によって,地域福祉計画ができたこともあり,市町村社協によるものは,地域福祉活動計画となっています。

 

これが面倒なのは,市町村によって,一体のものとして策定する自治体があることです。

 

そのため,自分の住む自治体が一体のものとして策定しているので,そのような法規定があると思う人がいるのです。あまりに勉強不足ではありますが,そういう勘違いをする人がいるからこそ,国家試験で出題されるのでしょう。

 

地域福祉活動計画の出題頻度は高いですが,勉強不足の人を引っ掛けるために出題されているだけで,重要だから出題されているわけではないように思います。

 

なぜなら,地域福祉活動計画は民間計画だからです。

 

それでは,今日の問題です。

 

28回・問題46 市町村地域福祉計画及び社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 両計画は,共に地域住民,社会福祉を目的とする事業を経営する者,ボランティアなどを地域福祉を推進する担い手として位置づけている。

2 両計画は,共に社会福祉法に根拠を置いている。

3 両計画は,共にその達成を支援するための都道府県による支援計画がある。

4 両計画は,共に計画期間を3年として策定することとされている。

5 両計画は,共にその策定及び事業の実施に関して国庫補助が受けられる。

 

このような出題があると,

 

地域福祉計画は勉強したけれど,地域福祉活動計画は勉強していなかった。困った。

 

と思う人が出てくることでしょう。

 

それが一つのねらいでもあります。

 

いかに知恵を働かせて考えることができるか,を試しているとも言えます。

知識だけで解けるような国試なら,記憶力だけが優れた人が有利です。

 

自分で考えて行動することができる知恵のない人は,現場ではいらないです。

 

国試当日は脳にいっぱい汗をかいて,問題に取り組んでください。

私たちチームfukufuku21は,試験会場までついていくことができません。

 

それでは解説です。

 

1 両計画は,共に地域住民,社会福祉を目的とする事業を経営する者,ボランティアなどを地域福祉を推進する担い手として位置づけている。

 

これが正解です。しかし,これを正解だと思う人はそれほどいないはずです。

なぜなら,地域福祉活動計画の中身を勉強する人は少ないからです。

 

この問題が大変なのは,ほかの選択肢を消去することで,結果的にこの選択肢が残るタイプの問題だからです。

 

それでは,ほかの選択肢を消去していきましょう。

 

2 両計画は,共に社会福祉法に根拠を置いている。

 

地域福祉活動計画は,何の法律にも規定されることのない民間計画です。

 

3 両計画は,共にその達成を支援するための都道府県による支援計画がある。

 

支援計画があるのは,地域福祉計画です。

 

社会福祉協議会には,都道府県社会福祉協議会と市町村社会福祉協議会がありますが,地方自治法に規定される都道府県と市町村との関係のようなものではありません。

 

4 両計画は,共に計画期間を3年として策定することとされている。

 

いずれも策定期間の定めはありません。

 

5 両計画は,共にその策定及び事業の実施に関して国庫補助が受けられる。

 

いずれも国庫補助はありません。

地域福祉計画に国庫補助があるかどうかは迷うところかと思いますが,民間計画である地域福祉活動計画には国庫補助はないだろうと推測できそうです。


<今日の一言>


今日の問題で正解できるためのポイントは,地域福祉活動計画は,民間の計画であるということを知っていることです。

その信念をもって,問題に向き合わないと,消去できない選択肢が生じてしまいます。

合格できる人とできない人の差は,意外とこんなところにあるのかもしれません。

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