2020年12月17日木曜日

国民年金制度の保険料

社会保険制度で重要なのは,

 

保険者

被保険者

保険事故

保険料

 

などです。

 

社会福祉士は,社会保険労務士ではないので,細かい出題はされません。

制度の根幹にかかわるものがひたすら出題されています。

 

知らない人は「制度が変わったところが出題される」と言います。

 

確かに変わったところは出題されます。

しかし,それは制度改正があってすぐではなく,多くは数年後です。

 

32回国試では,国民健康保険の保険者について出題されました。

保険者が変わるのは,社会保険制度の根幹にかかわるものですが,それであっても,2年後です。

 

国民健康保険は,都道府県が市町村とともに保険者となり,運営主体となりました。

これは極めて制度の根幹にかかわるものです。

しっかり押さえておきたいです。

 

さて,今回は,国民年金の保険料に関するものを取り上げます。

 

第一号被保険者

第二号被保険者

第三号被保険者

日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者であって第二号,第三号に該当しないもの

厚生年金保険の被保険者

第二号被保険者の被扶養配偶者であって,のうち二十歳以上六十歳未満のもの

 

保険料を納付できない場合には,免除(法定免除と申請免除)と猶予される制度があります。

 

免除されると,たとえば,全額免除の場合,国庫負担分が将来受け取る年金額に反映されます。

 

法定免除されるのは,生活保護受給者と障害基礎年金受給者です。

 

現在の国庫負担は2分の1です。

生活保護を2060歳の40年間にわたって受給していた場合,満額の2分の1が年金額となります。

 

障害基礎年金は定額制なので,1級は老齢基礎年金の1.25倍,2級は同額です。

 

猶予には,学生納付特例制度と納付特例制度があります。

 

免除と違って,猶予されているだけなので,追納しないと将来受け取る年金額に反映されません。

 

それでは,今日の問題です。

 

28回・問題53 国民年金制度の保険料に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 60歳以下の者が生活保護を受給している場合,生活扶助費に国民年金保険料分が加算される。

2 20歳以上の学生は,学生を扶養する親の前年の所得が一定額以下である場合,学生納付特例制度を利用することができる。

3 基礎年金の給付に要する費用に対する第三号被保険者の負担は,第一号被保険者全体の保険料負担から拠出されている。

4 障害基礎年金を受給している場合,国民年金保険料の納付は免除される。

5 若年者納付猶予制度により,保険料納付の猶予を受けた者が保険料を追納しなかった場合,当該期間の国庫負担分のみが老齢基礎年金の支給額に反映される。

 

知識がないと,正解するのはかなり難しいものかもしれません。

 

しかし,よくよく考えてみると,正解は何となく見える問題です。

 

正解は,選択肢4です。

 

4 障害基礎年金を受給している場合,国民年金保険料の納付は免除される。

 

年金を受給しながら,保険料を納付するというのはおかしな話です。

そのために,正解っぽいだろうと推測できそうです。

 

それではほかの選択肢も確認します。

 

1 60歳以下の者が生活保護を受給している場合,生活扶助費に国民年金保険料分が加算される。

 

生活保護受給者は,保険料の納付が免除されます。

これとよく似たものには,介護保険料があります。

生活保護受給者であっても,介護保険の第一号被保険者となるので,介護保険料は,生活扶助費に介護保険料分が加算されて,給付されます。

 

2 20歳以上の学生は,学生を扶養する親の前年の所得が一定額以下である場合,学生納付特例制度を利用することができる。

 

学制納付特例制度は,親の所得は問われません。問われるのは本人及び配偶者の所得です。

 

3 基礎年金の給付に要する費用に対する第三号被保険者の負担は,第一号被保険者全体の保険料負担から拠出されている。

 

第三号被保険者は保険料の納付はありません。

その代わり,第二号被保険者全体の保険料負担から拠出されています。

 

第三号被保険者は,第二号被保険者の被扶養配偶者だからです。

第一号被保険者は関係ないでしょう。

 

5 若年者納付猶予制度により,保険料納付の猶予を受けた者が保険料を追納しなかった場合,当該期間の国庫負担分のみが老齢基礎年金の支給額に反映される。

 

猶予は,免除ではないので,追納しないと,将来受け取る年金額に反映されません。

 

それであっても,猶予してもらうのは,未納だと過去2年間の分しか追納できませんが,猶予だと,10年分を追納することができるからです。

 

免除には,法定免除のほかに申請免除があります。

所得が減った場合などに,申請することで免除されます。

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