2020年12月14日月曜日

社会保険と社会扶助

わが国の社会保障制度は以下のように分類することができます。


社会保障制度

社会保険制度

(主に社会保険料が財源)

社会扶助制度

(主に税財源)

社会福祉制度

生活保護制度

 

このうち,社会保険制度がわが国の社会保障制度の中心です。

 

なぜなら,大多数を対象としているからです。

 

社会福祉制度と生活保護制度は,特別なニーズをもつ人を対象とした制度です。

 

社会保障制度審議会の1962年勧告では,社会福祉制度は,低所得者を対象,生活保護制度は,生活困窮者を対象にした施策であると述べてています。

 

それでは,今日の問題です。

 

 28回・問題50 日本の社会保険制度と公的扶助制度の基本的な特質に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 公的扶助は防貧的な機能をもつ。

2 公的扶助は個別の必要に応じて給付を行う。

3 社会保険の給付は,実施機関の職権により開始される。

4 社会保険では原因のいかんを問わず,困窮の事実に基づいて給付が行われる。

5 公的扶助は,保険料の拠出を給付の前提条件としている。

 

公的扶助制度とは,わが国では生活保護制度にあたります。

 

丸暗記勉強をしている人は,「???」となるような問題でしょう。

知識は必要ですが,国試ではこのような柔軟な思考が求められる問題が出題されます。

 

解説を読んで「なるほど」と思う段階は,もう過ぎました。

 

国試会場には,解説してくれる人はいません。チームfukufuku21もついていくことはできません。

 

ここに訪れている方,一人ひとりが自分で考えて国試に臨まなければなりません。

 

辛いと思いますが,国試に合格できる人は,そういった人です。

 

さて,この問題の正解は,選択肢2です。

 

2 公的扶助は個別の必要に応じて給付を行う。

 

生活保護は,最低限度の生活を下回った分を扶助するものです。

これが,「個別の必要に応じて給付を行う」という意味です。

 

それに対して,社会保険制度は,保険事故の発生によって,事前に定められた金額が給付されます。そのために「画一的に給付する」と表現されます。

 

それでは,ほかの選択肢を簡単に解説します。

 

1 公的扶助は防貧的な機能をもつ。

 

公的扶助,つまり生活保護は,生活困窮者を対象としています。これを「救貧的な機能」と表現します。

 

防貧的な機能をもつのは,社会保険制度です。貧困に陥らないように,保険事故が生じると保険給付されるからです。

 

3 社会保険の給付は,実施機関の職権により開始される。

 

社会保険の給付は,職権ではなく,保険事故の発生によって開始されます。

 

4 社会保険では原因のいかんを問わず,困窮の事実に基づいて給付が行われる

 

困窮の事実に基づいて給付が行われるのは,公的扶助制度です。

 

5 公的扶助は,保険料の拠出を給付の前提条件としている。

 

公的扶助制度は,税財源で運用されます。社会保険料で運用されるのは社会保険制度です。

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