わが国の社会保障制度は以下のように分類することができます。
社会保障制度 |
社会保険制度 (主に社会保険料が財源) |
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社会扶助制度 (主に税財源) |
社会福祉制度 |
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生活保護制度 |
このうち,社会保険制度がわが国の社会保障制度の中心です。
なぜなら,大多数を対象としているからです。
社会福祉制度と生活保護制度は,特別なニーズをもつ人を対象とした制度です。
社会保障制度審議会の1962年勧告では,社会福祉制度は,低所得者を対象,生活保護制度は,生活困窮者を対象にした施策であると述べてています。
それでは,今日の問題です。
1 公的扶助は防貧的な機能をもつ。
2 公的扶助は個別の必要に応じて給付を行う。
3 社会保険の給付は,実施機関の職権により開始される。
4 社会保険では原因のいかんを問わず,困窮の事実に基づいて給付が行われる。
5 公的扶助は,保険料の拠出を給付の前提条件としている。
公的扶助制度とは,わが国では生活保護制度にあたります。
丸暗記勉強をしている人は,「???」となるような問題でしょう。
知識は必要ですが,国試ではこのような柔軟な思考が求められる問題が出題されます。
解説を読んで「なるほど」と思う段階は,もう過ぎました。
国試会場には,解説してくれる人はいません。チームfukufuku21もついていくことはできません。
ここに訪れている方,一人ひとりが自分で考えて国試に臨まなければなりません。
辛いと思いますが,国試に合格できる人は,そういった人です。
さて,この問題の正解は,選択肢2です。
2 公的扶助は個別の必要に応じて給付を行う。
生活保護は,最低限度の生活を下回った分を扶助するものです。
これが,「個別の必要に応じて給付を行う」という意味です。
それに対して,社会保険制度は,保険事故の発生によって,事前に定められた金額が給付されます。そのために「画一的に給付する」と表現されます。
それでは,ほかの選択肢を簡単に解説します。
1 公的扶助は防貧的な機能をもつ。
公的扶助,つまり生活保護は,生活困窮者を対象としています。これを「救貧的な機能」と表現します。
防貧的な機能をもつのは,社会保険制度です。貧困に陥らないように,保険事故が生じると保険給付されるからです。
3 社会保険の給付は,実施機関の職権により開始される。
社会保険の給付は,職権ではなく,保険事故の発生によって開始されます。
4 社会保険では原因のいかんを問わず,困窮の事実に基づいて給付が行われる。
困窮の事実に基づいて給付が行われるのは,公的扶助制度です。
5 公的扶助は,保険料の拠出を給付の前提条件としている。
公的扶助制度は,税財源で運用されます。社会保険料で運用されるのは社会保険制度です。