2020年12月21日月曜日

ICF(国際生活機能分類)

今回は,ICF(国際生活機能分類)を取り上げます。


 ICFに用いられている用語 

心身機能

身体系の生理的機能(心理的機能を含む)

身体構造

身体の解剖学的部分

機能障害

心身機能または身体構造上の問題

活動

課題や行為の個人による遂行のこと

参加

生活・人生場面への関わりのこと

活動制限

個人が活動を行うときに生じる難しさのこと

参加制約

個人が何らかの生活・人生場面に関わるときに経験する難しさのこと

環境因子

人々が生活し,人生を送っている物的な環境や社会的環境,人々の社会的な態度による環境を構成する因子のこと


背景因子には,環境因子のほかに個人因子がありますが,ICFでは,社会的・文化的に差があるため,定義づけしていません。しかし,それまでの人生の経験など個人的なものであることには間違いありません。

 

それでは,今日の問題です。

 

28回・問題57 事例を読んで,国際生活機能分類(ICF)の「参加制約」に該当するものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事例〕

 Eさん(49歳,男性)は,脳性麻痺で足が不自由なため,車いすを利用している。25年暮らした障害者支援施設を退所し1年がたつ。本日,どうしても必要な買物があるが,支援の調整が間に合わない。その場での支援が得られることを期待して,一人で出掛けた。店まで来たが,階段の前で動けずにいる。

1 脳性麻痺で足が不自由なこと

2 階段があること

3 支援なしで外出できること

4 店で買物ができないこと

5 障害者支援施設を退所したこと

 

「参加制約」を「個人が何らかの生活・人生場面に関わるときに経験する難しさのこと」とたように言葉だけで覚えていると,とても難しいと思うでしょう。

 

単純に「参加するのが難しいこと」と考えるとどうでしょう?

 

「参加」とはどのようなことを指すのか,正確にはわからなくても,何かに参加するということは推測できそうです。

 

この問題の正解は,選択肢4です。

 

4 店で買物ができないこと

 

「参加」は,「活動」とセットで覚えるべきものです。

 

たとえば「活動」は,店まで行くことです。

 そこに「買い物をする」という要素が加われば「参加」となります。


ただし,「活動」と「参加」は,明確に分けることができないので,「活動と参加」という一つのカテゴリーとなっています。


それでは,ほかの選択肢もみてみましょう。

 

1 脳性麻痺で足が不自由なこと

 

これはわかりやすいですね。機能障害です。

 

2 階段があること

 

階段があることは,環境因子です。

 

3 支援なしで外出できること

 

支援なしで外出できることは,活動と参加です。

 「できる」ということばから,「制約」は結び付かないでしょう。

 

5 障害者支援施設を退所したこと

 

これは,何だかわかりにくいですが,これが「個人因子」です。

最新の記事

児童手当法と児童手当

  今回は児童手当法と児童手当を学びます。 児童手当法,児童扶養手当法,特別児童扶養手当法は,児童扶養手当法(1961年),特別児童扶養手当法(1964年),児童手当法(1971年)の順で成立していきました。 児童手当法の児童の定義は,18歳に達する日以後の最初の3月31日までの...

過去一週間でよく読まれている記事