2020年12月12日土曜日

地域福祉計画の策定

地域福祉計画は,平成30年改正で,各福祉計画の上位計画に位置づけられました。


それに伴い,策定は任意から努力義務になっています。


さて,今回は,どの程度策定されているのかについての問題です。


前説なしで今日の問題です。知恵を働かせましょう。


第28回・問題48 厚生労働省が発表した「平成26年3月31日時点における地域福祉計画策定状況等の調査結果概要」に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 全都道府県において,地域福祉支援計画が策定されていた。

2 市町村地域福祉計画の市区部・町村部別策定状況については,町村部の方が市区部より「策定済み」である自治体が多かった。

3 市町村地域福祉計画の策定効果があった事項として「住民の地域福祉の理解が進んだ」への回答が「地域の要望や課題が明らかになった」より多かった。

4 市町村地域福祉計画を改定する際に要点となった事項及び新たに盛り込まれた事項として最も多く記載されたのは,「災害時要援護者支援方策」であった。

5 市町村地域福祉計画評価等のための委員会を設置している市町村は,設置していない市町村より多かった。

(注) 「平成26年3月31日時点における地域福祉計両策定状況等の調査結果概要」とは,平成26年10月31日付け社援地発1031第3号「市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画の策定状況等調査の結果について」(厚生労働省社会・援護局地域福祉課長通知)のことである。


古い調査結果です。


ここで,知恵を使ってほしいのは,この時点では,地域福祉計画の策定は任意であったことです。


どれが正解だと思いましたか?


それでは,解説です。


1 全都道府県において,地域福祉支援計画が策定されていた。


都道府県は,体力があるので,任意であってもすべての都道府県で策定されているだろう


と思うと間違います。


努力義務に変わった令和2年度であっても,いまだ全都道府県では策定されていません。


実は,策定が義務とされている福祉計画であっても,市町村では策定は100%ではないのです。


義務であっても策定されないのですから,市町村に比べて体力がありそうな都道府県でも策定されないのかもしれません。


この選択肢は,勉強不足の人のほうが消去できたかもしれません。


なぜなら「全」「すべて」といったものは,正解になりにくいことは多くの人が知っているからです。


2 市町村地域福祉計画の市区部・町村部別策定状況については,町村部の方が市区部より「策定済み」である自治体が多かった。


体力があるのは,町村部よりも市区部です。


体力がある,というのは,職員が多いという意味で使っています。


職員が少ない町村部が,職員が多い市区部よりも策定されているというのは,通常考えられないでしょう。


規模の小さい自治体では,職員が50人以下ということもあります。


3 市町村地域福祉計画の策定効果があった事項として「住民の地域福祉の理解が進んだ」への回答が「地域の要望や課題が明らかになった」より多かった。


これがくせものの選択肢です。


この選択肢をどのようにとらえるかが,この問題が正解できるかできないかの分かれ目となっています。


この選択肢だけは,定性的データです。

ここに着目したいです。

「住民の地域福祉の理解が進んだ」

「地域の要望や課題が明らかになった」

いずれも調査対象者の主観です。


ここが味噌です。


調査対象者は,行政職員です。

そうなるとどちらと答えたいですか?


「地域の要望や課題が明らかになった」では,自己満足の世界にとどまります。


それに比べると,


「住民の地域福祉の理解が進んだ」のほうが価値が高いと思いませんか?


2つ並べて比較するものは,頻出のもの以外は正解にはなりにくいことを覚えておきたいです。


4 市町村地域福祉計画を改定する際に要点となった事項及び新たに盛り込まれた事項として最も多く記載されたのは,「災害時要援護者支援方策」であった。


これが正解です。


試験委員は,これを伝えたかったのだと思います。


5 市町村地域福祉計画評価等のための委員会を設置している市町村は,設置していない市町村より多かった。


この時点で,策定は任意でした。


設置している市町村がそれほど多くないと考えられます。



市町村地域福祉計画策定状況等の調査結果概要(平成31年4月1日時点)


https://www.mhlw.go.jp/content/000657610.pdf


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