今回は,国民年金(基礎年金)を学びましょう。
社会保険の根幹は,
保険者
被保険者
保険事故
保険料
です。
わが国の社会保険は,5つあります。
そのうち,都道府県が保険者となるのは,国民健康保険しかありません。
政府が保険者となるのは,年金保険,労働者災害補償保険,雇用保険です。
医療保険は,各制度をまとめて国民皆保険をつくったので,保険者はバラバラです。
現時点で最も新しい介護保険は,市区町村が保険者です。
さて,今回は国民年金の被保険者です。
この制度の被保険者は,第三号まであるのが特徴です。
第一号被保険者 |
第二号被保険者 |
第三号被保険者 |
日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者であって第二号,第三号に該当しないもの |
厚生年金保険の被保険者 |
第二号被保険者の被扶養配偶者であって,二十歳以上六十歳未満のもの |
近年は出題されたことがありませんが,以前は,「厚生年金保険の加入者は,国民年金に加入しなくてもよい」とよく出題されたものです。
厚生年金保険の被保険者は,自動的に国民年金の被保険者となります。
「いやだ」と言ってもだめです。
第三号被保険者は,保険料の納付はありません。
その代わり,第二号被保険者が全体で第三号被保険者の保険料を負担しています。
それでは,今日の問題です。
第28回・問題52 次のうち,国民年金の第三号被保険者になる者として,正しいものを1つ選びなさい。
1 厚生年金の適用事業所で,正社員として1日8時間,週40時間働いている夫(63歳)の被扶養配偶者である妻(61歳)
2 国民年金の第一号被保険者である夫(40歳)の被扶養配偶者である妻(37歳)
3 厚生年金の適用事業所で,正社員として1日8時間,週40時間働いている妻(25歳)の被扶養配偶者である大学生である夫(22歳)
4 国民年金の第一号被保険者である夫(40歳)の妻で,正規雇用の公務員として働いている者(35歳)
5 学生納付特例制度の適用を受けている妻(22歳)の夫で学生である者(22歳)
頭の体操のような問題でとても難しいですが,よい出題です。よく考えられた問題だと思います。
知識が足りない人は,粉砕するでしょう。
さて,この問題は,第三号被保険者になる者を探し出すものです。
第三号被保険者は,第二号被保険者の被扶養配偶者です。それを探します。
それでは解説です。
1 厚生年金の適用事業所で,正社員として1日8時間,週40時間働いている夫(63歳)の被扶養配偶者である妻(61歳)
厚生年金の適用事業所で,正社員として1日8時間,週40時間働いている夫の被扶養配偶者は,第三号被保険者となり得ます。
しかし,残念ながら,妻は61歳です。20~60歳ではありません。
2 国民年金の第一号被保険者である夫(40歳)の被扶養配偶者である妻(37歳)
これは明快,夫は第二号保険者ではありません。
3 厚生年金の適用事業所で,正社員として1日8時間,週40時間働いている妻(25歳)の被扶養配偶者である大学生である夫(22歳)
これが正解です。
厚生年金の適用事業所で,正社員として1日8時間,週40時間働いている妻は,第二号被保険者となります。
4 国民年金の第一号被保険者である夫(40歳)の妻で,正規雇用の公務員として働いている者(35歳)
これも明快です。夫は第二号保険者ではありません。
5 学生納付特例制度の適用を受けている妻(22歳)の夫で学生である者(22歳)
学生納付特例制度は,保険料納付を猶予してくれる制度です。
学生さんは,必ず申請してくださいね。
適用されると,保険料を納付していなくても,第一号被保険者となります。
学生の間に事故で障害を負った場合,適用されていれば,障害基礎年金の給付を受けられる可能性があります。
1986年の法改正以前は,学生の加入は任意だったために無年金者となったことが社会問題となり,現在は「特別障害給付金」が給付されます。
しかし,現在は,学生は20歳から加入義務があるため,同給付金の対象とはなりません。
そのために,学生納付特例制度の適用を受けておくことが重要なのです。