今回は,不服申立て制度を取り上げます。
不服申立ては,行政処分に不服がある場合に行うものです。
行政処分とは,要介護認定,障害支援区分認定,生活保護の決定,保育所利用などです。
提供されたサービスに不服がある時は,不服申立てではなく,苦情を申立てします。
行政処分の場合は,どの機関に申立てするのかが問われます。
それでは,今日の問題です。
第28回・問題43 不服申立て制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 国民健康保険の保険料に不服があるときは,国民健康保険団体連合会に審査請求することができる。
2 介護保険の要介護認定に不服があるときは,介護保険審査会に審査請求することができる。
3 生活保護の決定に不服があるときは,市町村長に審査請求することができる。
4 「障害者総合支援法」の介護給付費等の支給に不服があるときは,運営適正化委員会に審査請求することができる。
5 介護保険サービスの内容に不服があるときは,給付費等審査委員会に審査請求することができる。
(注) 「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
この問題の中で,一つだけ仲間はずれのものがあります。
5 介護保険サービスの内容に不服があるときは,給付費等審査委員会に審査請求することができる。
介護保険サービスの内容は,行政処分ではありません。
提供された介護保険サービスに不満がある場合は,国保連(国民健康保険)に苦情を申立てします。
提供された福祉サービスに不満がある場合は,都道府県社会福祉協議会に設置される運営適正化委員会に苦情を申立てします。
さて,この問題の正解は,選択肢2です。
2 介護保険の要介護認定に不服があるときは,介護保険審査会に審査請求することができる。
介護保険審査会は,都道府県に設置されます。
この選択肢は極めて重要で,必ず覚えておきたいものです。
そのため,ほかの選択肢がよくわからなくても,勉強した人なら答えがわかる問題になっています。
ほかの選択肢も確認します。
1 国民健康保険の保険料に不服があるときは,国民健康保険団体連合会に審査請求することができる。
国民健康保険の保険料に不服があるときの審査請求先は,都道府県の国民健康保険審査会です。
3 生活保護の決定に不服があるときは,市町村長に審査請求することができる。
生活保護の決定に不服があるときの審査請求先は,都道府県です。
4 「障害者総合支援法」の介護給付費等の支給に不服があるときは,運営適正化委員会に審査請求することができる。
「障害者総合支援法」の介護給付費等の支給に不服があるときの審査請求先は,都道府県知事です。
<今日の一言>
今日の問題は,複雑に感じる人もいるでしょう。
そう思う人への問題の解き方のヒントです。
不服申立て制度に関する問題が出題された場合は,まずどれが行政処分なのかを考えて仕分けします。
そして,残った選択肢の中に,運営適正化委員会と国保連が含まれていれば,それは消去できます。なぜならこれからは提供されたサービスに不満があるとき,苦情を申し立てるところだからです。
そのうえで残ったものから答えを考えます。
これで,ミスは減らせるでしょう。