2020年12月9日水曜日

民生費

今回は,民生費について学びます。


民生費は,地方公共団体における社会福祉にかかる費用のことです。


目的別歳出では,最も大きな割合を占めています。

しかし,ちょっと面倒なのは,都道府県と市町村に分けると第1位が異なることです。


都道府県+市町村 →民生費

都道府県 → 教育費

市町村 → 民生費


さらに民生費の内訳をみると

都道府県+市町村 → 児童福祉費

都道府県 → 老人福祉費

市町村 → 児童福祉費


一般イメージでは,老人福祉費が多そうに感じますが,高齢者対策の多くは,社会保険制度である介護保険なので,社会福祉制度である老人福祉費はそれほど多くないところが注意ポイントです。


社会保険にかかるお金は,民生費に含まれません。



それでは,今日の問題です。


第28回・問題45 「平成27年版地方財政白書」(総務省)に基づく2013年度(平成25年度)の市町村の民生費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 目的別歳出のうち,民生費の割合は総務費の割合より少ない。

2 目的別歳出の民生費のうち,老人福祉費の割合は児童福祉費の割合より少ない。

3 目的別歳出の民生費のうち,市町村の歳出額は都道府県の歳出額より少ない。

4 民生費の性質別内訳をみると,扶助費の割合は人件費の割合より少ない。

5 民生費の目的別扶助費の状況をみると,補助事業の割合は単独事業の割合より少ない。


勉強不足の人は,5分の1以上の確率で正解するのはかなり難しい問題です。


しかし,勉強をしっかりしてきた人なら,ものすごく簡単です。


正解は,選択肢2です。

2 目的別歳出の民生費のうち,老人福祉費の割合は児童福祉費の割合より少ない。


注意が必要だとすれば,「より」ということばが入っている文章は,読み間違いをする恐れがあることです。


この問題の場合は,最も多いのは児童福祉費のほうが大きいので,老人福祉費のほうが小さいということになります。


それではほかの選択肢も見てみましょう。


1 目的別歳出のうち,民生費の割合は総務費の割合より少ない。


総務費がどのくらいなのか知らなくても,最も多いのは民生費なので,悩むこともないです。


3 目的別歳出の民生費のうち,市町村の歳出額は都道府県の歳出額より少ない。


基本的な住民サービスを行うのは,基礎的地方公共団体である市町村の役割です。

そのため,歳出額は,市町村のほうが大きくなっています。


4 民生費の性質別内訳をみると,扶助費の割合は人件費の割合より少ない。


扶助費は,実際に給付するものです。

人件費のほうが多ければ,人件費を削減せよ,という声が大きくなりそうです。

もちろん,性質別では,扶助費が最も大きくなります。


ただし,これも市町村と都道府県と分けると第1位が変わります。


都道府県+市町村 → 扶助費

都道府県 → 補助費

市町村 → 扶助費


都道府県は,住民への直接的なものではなく,間接的な補助費が多くなるのは納得です。


5 民生費の目的別扶助費の状況をみると,補助事業の割合は単独事業の割合より少ない。


補助事業は,国の補助を受けて行うものです。

単独事業は,自主財源を用いて行うものです。


圧倒的に補助事業の方が多いです。


<今日の一言>


今日の問題は,複雑に思う人もいるかもしれません。

しかし,結局正解は,超頻出である「民生費のうちで最も多いのは児童福祉費」という知識があれば,正解できるものです。


注意なのは,民生費は社会保障のうちの社会福祉にかかる費用なので,社会保険にかかる費用は含まれないことです。


別会計となっている介護保険特別会計や国民健康保険特別会計のほうが,児童福祉費よりも大きいことも覚えておきましょう。


これらが大きくなる理由は,社会保険なので,社会保険料も含まれるためです。


民生費は,税財源です。


この関係は,社会保障給付費と社会保障関係費と同じです。

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