2021年8月6日金曜日

外国人の在留資格~EPA,技能実習,特定技能

外国人が適法に日本で生活するためには,在留資格が必要です。


不足するマンパワーを確保するためには,外国人労働者が必要です。


ニーズがあっても,サービスを提供する人材がいない,ということになりかねません。


在留資格の中に,介護が加わったのは記憶に新しいことでしょう。


しかし,この在留資格は,介護福祉士の資格を持っていることが条件です。


国は少しずつ外国人労働について,門戸を広げています。


一番古いのは「EPA(経済連携協定)」に基づくものです。


インドネシア,フィリピン,ベトナムの3か国と協定を結び,資格取得までの研修と就労を認めています。


次にできたのは,技能実習です。


最長5年間,訓練を行います。終わったら自国に帰ります。


最も新しい制度は,特定技能です。


技能実習は,訓練を行うものなので雇用契約は締結しませんが,特定技能は就労なので,雇用契約を締結します。


技能実習と特定技能は名称が似ていますが,まったく異なる制度です。


それでは今日の問題です。


第32回・問題124 介護サービスの人材の確保に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 第7期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づく介護人材の必要数は,2020年度末には約100万人が見込まれている。

2 経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者の受入れの対象国は,インドネシア,フィリピン,ベトナムの3か国である。

3 厚生労働省が示す「介護に関する入門的研修」の目的は,潜在介護福祉士の現場復帰を目指すプログラムの一環である。

4 介護分野の有効求人倍率は,全産業平均とほぼ同程度で推移している。

5 「平成29年度「介護労働実態調査」の結果」(公益財団法人介護労働安定センター)によると,訪問介護員,介護職員の1年間の離職率は正規職員,非正規職員合わせて約30%であった。



古いデータのものが含まれますが,こういったものを覚える必要は一切ありません。


この中で,覚えておきたいのは,先述のEPAです。

2 経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者の受入れの対象国は,インドネシア,フィリピン,ベトナムの3か国である。


これが正解です。


まだ国試では技能実習と特定技能は出題されたことがありませんが,しっかり押さえておきたいです。


「介護に関する入門的研修」だけ簡単に触れておくと,介護への新たな人材の参入を促すために,介護に興味のある人に対してその入り口になるように基礎的な知識を学んでもらうものです。


この問題では,潜在介護福祉士となっていますが,潜在介護福祉士に対する国の施策として,介護福祉士の資格等取得者の届出制度というものがあります。


この制度は,離職した際,都道府県福祉人材センターに対して,氏名・住所等を届け出ることを努力義務化したものです。

2021年8月5日木曜日

サービスマネジメントについて

組織の管理には


・人事管理

・財務管理

・品質管理


があります。


サービス提供組織にとって品質管理とは,今日のテーマであるサービスマネジメントだということになります。


それでは今日の問題です。


第30回・問題123 サービスマネジメント論に基づく福祉サービスの運営管理の在り方に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 サービスへの利用者の満足度を高めるためには,サービス利用前から利用者がサービスへの高い期待を持つように働き掛けることが望ましい。

2 サービス・プロフィット・チェーンの考え方によれば,サービスへの利用者の満足度を高めるためには,従業員の仕事への満足度を高めることが重要である。

3 利用者のニーズに沿った創意工夫を従業員に促すためには,現場の裁量を認めるのではなく,マニュアルなどの外在的な管理手段を徹底していくことが有効である。

4 利用者にサービスの品質を評価してもらう際は,サービスの提供過程に対する評価よりも,サービスの結果に対する評価を重視することが重要である。

5 利用者の多様性に対応するためには,各々の従業員の価値観の多様性を認めることが望ましいので,組識としてのサービスの理念や価値を明文化すべきではない。


どんなに勉強しても,知らないものが出題されるのが国試です。


それはそれでよいです。


なぜなら,勉強したことがあるものばかりが出題されたら,合格基準点は90点どころか,150点に限りなく近づいてしまいます。


そのため,適度に新しいものを盛り込むことで,調整を図っていると考えられます。


しかし,知らないものが出題されたからといって,決して得点できないということはありません。


落ち着いて落ち着いて,とにかく落ち着いて考えれば,突破口は見えてきます。

今日の問題は,いわゆる消去法で答えるタイプの問題です。


そのために落ち着いて問題を読むことが大切なのです。

落ち着いて冷静に問題を読まないと消去できないものが出てきてしまいます。そうなると正解できないことになります。


さて,解説です。


1 サービスへの利用者の満足度を高めるためには,サービス利用前から利用者がサービスへの高い期待を持つように働き掛けることが望ましい。


解答テクニックを使っても消去できますが,きちっと説明します。


サービス利用前から利用者がサービスへの高い期待を持つことを「事前期待が高い」と表現します。


事前期待が高いと,利用者が満足するラインが高くなります。事前期待を高めると提供するサービスの質を上げなければ満足しないこととなります。


高級ホテルなら,質の良い接客サービスを期待します。少しの落ち度も許されないでしょう。


事前期待が低いと,利用者が満足するラインは低くなります。


安ホテルなら,接客サービスは期待しません。期待していなかった接客サービスがあれば,それだけで満足するでしょう。


福祉サービスは多くの場合,提供するサービスは公定価格となっています。


サービスの質が悪いから,私たちのサービスは安いです。


サービスの質は良いから,私たちのサービスは高いです。


といったことはできません。需要と供給のバランスで価格が決まる自由競争の社会とは異なります。


それではどんな時に事前期待が高くなり,事前期待が低くなるのでしょうか。


一つはハードです。施設を立て替えた時が注意です。古い施設では満足していたものが,新しい施設で同じレベルのサービスを提供していては,利用者に満足していただくのは難しくなります。


ほかには,利用する事業所が変わることも注意です。前に利用していた事業所のサービスが基準となるからです。


2 サービス・プロフィット・チェーンの考え方によれば,サービスへの利用者の満足度を高めるためには,従業員の仕事への満足度を高めることが重要である。


これが正解です。


プロフィットとは利益と訳されます。


それでは,サービス・プロフィット・チェーンとはどんなチェーン(連鎖)なのでしょう。


従業員の仕事への満足度を高める

 ↓ ↓

提供するサービスの質が上がる

 ↓ ↓

利用者の満足が高まる

 ↓ ↓

リピーターが増える

 ↓ ↓

利益が増える

 ↓ ↓

組織が満足する

 ↓ ↓

給料が上がる

 ↓ ↓

従業員の仕事への満足度を高める

 ↓ ↓

提供するサービスの質が上がる

 ↓ ↓

利用者の満足が高まる

 ↓ ↓

リピーターが増える

 ↓ ↓

利益が増える

 ↓ ↓

組織が満足する


このような連鎖が起きます。


これが,サービス・プロフィット・チェーンの例です。


3 利用者のニーズに沿った創意工夫を従業員に促すためには,現場の裁量を認めるのではなく,マニュアルなどの外在的な管理手段を徹底していくことが有効である。


これを正解だと思う人は要注意です。


マニュアルは,過去の経験によって作り上げられます。そこからは新しい発想を生み出すことは難しいと言えます。


現場のことを一番知っているのは,現場職員です。


ある程度は,現場の裁量に任せて,管理者はそれを実現するためのバックアップすることが大切です。


現場職員がせっかく良いアイディアを出しても「そんな青臭いことを言って」とストップをかける管理者の元では,創意工夫に富んだ発想は生かされません。


4 利用者にサービスの品質を評価してもらう際は,サービスの提供過程に対する評価よりも,サービスの結果に対する評価を重視することが重要である。


対人援助は,物を提供するといったサービスではありません。物なら質の高い製品が出来上がることが大切ですが,無形のサービスは,提供する過程が大きな影響を及ぼします。


例えば,車いすの介助では,移動して目的地に到着するということと同時に安心・安全にサービスを提供することが必要です。乱暴な介助では評価されないでしょう。


5 利用者の多様性に対応するためには,各々の従業員の価値観の多様性を認めることが望ましいので,組識としてのサービスの理念や価値を明文化すべきではない。


プライベートでは,どんな価値観を持っていても良いです。しかし,プロとしては,自己覚知で自分の価値観の偏りに気づき,それを意識しながら対人援助することが求められます。


判断のよりどころになるものが,組織理念であり,価値です。


そうしないと,サービスの質はバラバラになってしまい,利用者の信頼をつかむことは難しくなります。



<今日の一言>


第30回の国家試験を受験した人の中で「サービス・プロフィット・チェーン」を知っていた人はそれほど多くなかったことでしょう。


しかし,今の国試を受験する人はこの用語を知っていると思います。


参考書に書かれているからです。


過去問よりも本試験のほうが難しく感じるのは,参考書を読んで過去問を解くからです。


主だったものは,参考書に書かれています。しかし,本当は参考書に書かれているものだけではなく,一定数はテキストにも参考書にも書かれていないものが出題されます。そのために本試験は難しく感じるのです。


そんなときでも,とにかく落ち着いて問題を読むことが必要です。


2021年8月3日火曜日

貸借対照表&資金収支計算書&事業活動計算書

 社会福祉法人の会計は,ルールを示した「社会福祉法人会計基準」に従って作成されます。

 

社会福祉法人が公表しなければならない財務諸表は,

 

・貸借対照表

・資金収支計算書

・事業活動計算書

 

があります。

 

貸借対照表

当該会計年度末現在における全ての資産,負債及び純資産の状態を表示するもの。

資産の部,負債の部及び純資産の部に区分し,更に資産の部は流動資産及び固定資産に,負債の部は流動負債及び固定負債に区分しなければならない。

2 純資産の部は,基本金,国庫補助金等特別積立金,その他の積立金及び次期繰越活動増減差額に区分する。

資金収支計算書

当該会計年度における全ての支払資金の増加及び減少の状況を表示するもの。

支払資金残高は,当該流動資産と流動負債との差額。

事業活動計算書

当該会計年度における全ての純資産の増減の内容を表示するもの。

 

 

それでは,今日の問題です。

 

第30回・問題122 社会福祉法人の財務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 再投下可能な財産(社会福祉充実残額)を算定しなければならない。

2 土地は,減価償却の対象となる資産である。

3 財務会計は,組織内での使用を目的とする。

4 財務諸表に関する開示義務はない。

5 役員の報酬等の支給の基準を公表する義務はない。

 

いやだなぁ,と思う人もいるかもしれません。

しかし,出題されるものはほとんど決まっています。

 

確実に覚えられれば得点できます。

 

それでは,解説です。

 

1 再投下可能な財産(社会福祉充実残額)を算定しなければならない。

 

これは,社会福祉法の平成28年改正の目玉の一つです。

 

社会福祉充実残額を算定して,一定額を超えた法人は,既存事業の充実及び新規事業の実施に関する社会福祉充実計画を策定して,所轄庁の承認を受けなければなりません。

 

ということでこれが正解です。

 

2 土地は,減価償却の対象となる資産である。

 

減価償却とは,固定資産の購入等にかかった費用を使用年数に分けて費用として計上する会計上の仕組みです。

 

土地も固定資産ですが,使用年数が長くなっても,それによって価値が下がるということはないので,減価償却の対象とはなりません。

 

これまでに何度も何度も出題されています。

 

3 財務会計は,組織内での使用を目的とする。

 

財務会計は,組織内での使用も目的としますが,もう一つ忘れてはならないのは,社会福祉法人には経営の透明性が求められていることです。

 

そのため,開示することが義務づけられた財務諸表もあります。

 

4 財務諸表に関する開示義務はない。

 

もちろん開示義務があります。

 

社会福祉法人に開示を義務づけている財務諸表は,貸借対照表&資金収支計算書&事業活動計算書です。

 

5 役員の報酬等の支給の基準を公表する義務はない。

 

もちろん公表する義務があります。

2021年8月2日月曜日

プロジェクトX(プロジェクトチーム)

以前,プロジェクトXというテレビ番組がありました。

かなり前なのでリアルタイムでは知らない人もいるかもしれません。

 

何かのプロジェクトをやり遂げた人たちをクローズアップしたものです。

 

プロジェクトチームとは,何かの目的を持って組織され,その目的を達成したら解散するチームの形態です。

 

プロジェクトXで取り上げられたプロジェクトチームは,そのプロジェクトを達成するとささやかなお祝いをして,解散したのではないでしょうか。

 

それでは,今日の問題です。

 

第30回・問題120 Z介護老人福祉施設では,介護課(介護職員),看護課(看護職員),相談(相談員),栄養課(栄養士等),総務課に分かれ,各職種が連携してサービスを提供している。また,施設全体で取り組むべき特定の課題の解決のために,各職種が横断的に参加する委員会を適宜設置している。

 次のうち,以上の記述にみられるZ施設の組織構造の特徴を表す用語として,適切なものを2つ選びなさい。

1 非公式組織

2 事業部制組織

3 職能別組織

4 機械的組織

5 プロジェクト組織

 

正解を2つ選ぶ問題は,意外と難しいものです。

 

一つは,「施設全体で取り組むべき特定の課題の解決のために,各職種が横断的に参加する委員会を適宜設置している」という情報から,「5 プロジェクト組織」であると何となくわかるでしょう。

 

それ以外の選択肢を解説します。

 

1 非公式組織

 

職場の組織ですから,公式組織です。

 

2 事業部制組織

 

事業部とは,事業ごとに分かれた組織です。

 

一般組織(自動車製造)で考えた場合は,

・乗用車事業部

・軽自動車事業部

・商用車事業部

 

といったように事業ごとに組織されます。

 

福祉で考えたときは,

・特別養護老人ホーム事業部

・デイサービス事業部

・訪問介護事業部

・居宅介護支援事業部

 

といったように,事業ごとに分かれたものが事業部制です。

 

3 職能別組織

 

これがもう一つの正解です。

 

介護課(介護職員),看護課(看護職員),相談(相談員),栄養課(栄養士等),総務課に分かれ,各職種が連携してサービスを提供している,というのが職能別組織にあたります。

 

4 機械的組織

 

機械的組織とはほとんど聞かないですが,組織が固定された伝統的な組織であるようです。

 

代表的なのは,トップダウン型組織です。

2021年8月1日日曜日

社会福祉法人の組織等について

社会福祉法人は,社会福祉事業を行うことを目的として,社会福祉法の規定によって設立されています。

 

社会福祉法では,第22~59条にわたって,社会福祉法人が規定されています。

 

社会福祉法は,社会福祉士を目指すものにとっては,極めて重要なので,どこから出題されても決して不思議ではありません。

 

つまり,過去問だけではなく,社会福祉法には目を通しておくことが必要です。

 

2016(平成28)年の法改正は,社会福祉法人制度改革を目的としたものです。


以下の出典元:厚生労働省「社会福祉法人制度改革について」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000155170.pdf




 
















それでは,今日の問題です。

 

第30回・問題119 社会福祉法人に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 役員の選任は,評議員会の決議を必要とする。

2 株主がいないため,事業経営の透明性の確保は求められない。

3 親族等特殊関係者の理事,評議員,監事への選任に係る規定はない。

4 監事は,理事,評議員又は当該法人の職員を兼ねることができる。

5 理事・監事等の関係者に対し特別の利益を与えることができる。

 

簡単そうで,簡単ではない問題です。

 

確かな知識がなければ間違う可能性があるからです。

 

解答テクニックで問題は解ける,という人がいます。確かにそういった問題もありますが,解答テクニックを駆使したところで,確かな知識がなければ到底合格基準点を超えることができません。

 

それでは,解説です。

 

1 役員の選任は,評議員会の決議を必要とする。

 

これが正解です。

 

2016年改正では,評議員会は必置の機関となり,法人運営に係る重要事項の議決機関となりました。

重要事項の中には,役員の選任,解任等が含まれます。

 

2 株主がいないため,事業経営の透明性の確保は求められない。

 

事業経営の透明性の確保は,提供する福祉サービスの質の向上とともに「経営の原則」として定められています。

 

3 親族等特殊関係者の理事,評議員,監事への選任に係る規定はない。

 

親族等特殊関係者の制限は,以下のように定められています。

 

親族等特殊関係者の制限

理事 一定の数を超えなければなることができる。

評議員 なることができない

監事 なることができない。

 

このように,評議員,監事の選任は厳しい条件がつけられています。

 

なお,社会福祉法では,役員は,理事と監事のことを指しています。

 

そのため,親族等特殊関係者は,役員になることができない,と出題されたら誤りになるので,注意が必要です。

 

役員のうち,理事は一定の範囲を超えなければ親族等特殊関係者も理事になることができるからです。

 

親族等特殊関係者がなれないのは,評議員と監事です。

 

4 監事は,理事,評議員又は当該法人の職員を兼ねることができる。

 

監事は,理事,評議員又は当該法人の職員が兼ねることができません。

 

5 理事・監事等の関係者に対し特別の利益を与えることができる。

 

特別の利益は,誰に対しても与えることができません。

 


<今日の一言>

 

解答テクニック的にこの問題を見ると

 

ほかの選択肢よりも

4 監事は,理事,評議員又は当該法人の職員を兼ねることができる。

5 理事・監事等の関係者に対し特別の利益を与えることができる。

 

の2つが正解になりやすい「ことができる」という表現になっています。

 

「できない」と「できる」が両方ともあれば,「できる」のほうが正解になりやすいのです。

 

しかし,この問題は社会福祉法の規定です。冷静に考えると,どちらも社会福祉法人の経営の透明性には,程遠い内容です。

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