外国人が適法に日本で生活するためには,在留資格が必要です。
不足するマンパワーを確保するためには,外国人労働者が必要です。
ニーズがあっても,サービスを提供する人材がいない,ということになりかねません。
在留資格の中に,介護が加わったのは記憶に新しいことでしょう。
しかし,この在留資格は,介護福祉士の資格を持っていることが条件です。
国は少しずつ外国人労働について,門戸を広げています。
一番古いのは「EPA(経済連携協定)」に基づくものです。
インドネシア,フィリピン,ベトナムの3か国と協定を結び,資格取得までの研修と就労を認めています。
次にできたのは,技能実習です。
最長5年間,訓練を行います。終わったら自国に帰ります。
最も新しい制度は,特定技能です。
技能実習は,訓練を行うものなので雇用契約は締結しませんが,特定技能は就労なので,雇用契約を締結します。
技能実習と特定技能は名称が似ていますが,まったく異なる制度です。
それでは今日の問題です。
第32回・問題124 介護サービスの人材の確保に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 第7期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づく介護人材の必要数は,2020年度末には約100万人が見込まれている。
2 経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者の受入れの対象国は,インドネシア,フィリピン,ベトナムの3か国である。
3 厚生労働省が示す「介護に関する入門的研修」の目的は,潜在介護福祉士の現場復帰を目指すプログラムの一環である。
4 介護分野の有効求人倍率は,全産業平均とほぼ同程度で推移している。
5 「平成29年度「介護労働実態調査」の結果」(公益財団法人介護労働安定センター)によると,訪問介護員,介護職員の1年間の離職率は正規職員,非正規職員合わせて約30%であった。
古いデータのものが含まれますが,こういったものを覚える必要は一切ありません。
この中で,覚えておきたいのは,先述のEPAです。
2 経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者の受入れの対象国は,インドネシア,フィリピン,ベトナムの3か国である。
これが正解です。
まだ国試では技能実習と特定技能は出題されたことがありませんが,しっかり押さえておきたいです。
「介護に関する入門的研修」だけ簡単に触れておくと,介護への新たな人材の参入を促すために,介護に興味のある人に対してその入り口になるように基礎的な知識を学んでもらうものです。
この問題では,潜在介護福祉士となっていますが,潜在介護福祉士に対する国の施策として,介護福祉士の資格等取得者の届出制度というものがあります。
この制度は,離職した際,都道府県福祉人材センターに対して,氏名・住所等を届け出ることを努力義務化したものです。