社会福祉法では,「福祉サービスの質の向上のための措置等」として,以下のように定めています。
社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に福祉サービスを受ける者の立場に立って良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努めなければならない。(第78条) |
自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずること
法律用語は難しいなぁ,と感じるのはこのような規定です。
自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うこと
ではなく
自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずること
前半は自己評価を指しますが,それに限定するのではなく「その他」を付け加えることで,ほかの方法もあることを提示しています。
これによって,
今日のテーマである「福祉サービス第三者評価」が実施されています。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題124 福祉・介護サービス提供体制の確保に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉サービス第三者評価事業は,福祉サービスの質の向上を目的に創設された。
2 介護サービス情報の公表制度では,介護保険事業を行う全事業所への調査が義務づけられている。
3 社会福祉事業の経営者は,利用者等からの苦情の解決を所在地の市町村に委ねなくてはならない。
4 市町村は,社会福祉法に基づき,運営適正化委員会を設けなければならない。
5 個人データは,利用する必要がなくなった場合でも,電子データとして保存するよう努めなければならない。
この中で,注意しなければならないのは,選択肢4です。これまでに何度出題されたかわからないくらいに繰り返し繰り返し問われています。
確実に押さえたいです。
それでは解説です。
1 福祉サービス第三者評価事業は,福祉サービスの質の向上を目的に創設された。
これが正解です。
福祉サービス第三者評価事業は,社会福祉法第78条が根拠としています。
2 介護サービス情報の公表制度では,介護保険事業を行う全事業所への調査が義務づけられている。
介護サービス情報の公表制度は,介護保険制度に基づいて実施されるもので,利用者が事業所を選ぶ際の参考にしてもらうために創設されました。
実は,制度ができた当初は,介護保険事業者には報告が義務付けられたのですが,事業所の負担が大きいことなどの理由で,現在はその規定は廃止されています。
3 社会福祉事業の経営者は,利用者等からの苦情の解決を所在地の市町村に委ねなくてはならない。
社会福祉法第82条では,以下のように定められています。
社会福祉事業の経営者は、常に、その提供する福祉サービスについて、利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならない。
再度,言いますが,市町村は質の向上にかかわることは行いません。規模の小さい自治体では,その役割を担えるほど人材に余裕がないからです。
4 市町村は,社会福祉法に基づき,運営適正化委員会を設けなければならない。
先述のように,これが要注意です。
運営適正化委員会が設置されるのは,都道府県社会福祉協議会です。
市町村でも都道府県でもなく,都道府県社会福祉協議会です。
運営適正化委員会が設置されるのは,都道府県社会福祉協議会です。
しっかり頭に焼き付けましょう。
5 個人データは,利用する必要がなくなった場合でも,電子データとして保存するよう努めなければならない。
個人情報が含まれるデータは,必要でなくなったら破棄します。