わが国の高齢者に対する施策は長らく救貧制度の中にありました。
現在の養護老人ホームの変遷を考えてみるとよくわかります。
救護法(1929・昭和4年) 養老院
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旧・生活保護法(1946・昭和21年) 養老施設
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老人福祉法(1963・昭和38年) 養護老人ホーム
もう一つ老人保健を見てみます。
1963・昭和38年 老人福祉法 65歳以上の者に対する健康診査を実施する。
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1982・昭和57年 老人保健法 老人保健は老人福祉法から独立する。
これでわかるように老人保健は,最初は老人福祉法の中にあり,老人保健法ができたことで制度が独立したのです。
最後,老人医療費を見てみます。
1973・昭和48年 老人福祉法を改正して,70歳以上の高齢者に対する「老人医療費支給制度」をつくり,老人医療費の無料化する。
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1982・昭和57年 老人保健法により,老人医療費の一部負担が実施される。
そして,2000・平成12年に介護保険が実施されます。
2005・平成17年には,老人保健法を改正して,高齢者の医療の確保に関する法律,となり後期高齢者医療制度が始まりました。
これらを押さえたところで,今日の問題です。
第30回・問題131 高齢者に関わる保健医療福祉施策に関する次の記述のうち,施策の開始時期が最も早いものを1つ選びなさい。
1 老人福祉法による70歳以上の者に対する老人医療費支給制度
2 老人保健制度
3 老人福祉法による65歳以上の者に対する健康診査
4 介護保険制度
5 高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)
歴史が苦手な人はいやになってしまう問題かもしれません。
こういった問題を見ると,年号をしっかり覚えないと正解できないと思う人もいるかもしれません。
しかし,決してそんなことはありません。
前説のように,ポイントはいくつかあります。
この問題で言えば1963年の老人福祉法です。
それでは,入れ替えてみます。
3 老人福祉法による65歳以上の者に対する健康診査 1963(昭和38)年
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1 老人福祉法による70歳以上の者に対する老人医療費支給制度 1973(昭和48)年
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2 老人保健制度 1982(昭和57)年
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5 高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン) 1989(平成元)年
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4 介護保険制度 2000(平成12)年
ということで,正解は選択肢3でした。