今回は,減価償却を取り上げます。
減価償却とは・・・
固定資産(土地と建設仮勘定を除く)の取得原価をその耐用年数にわたり費用化する手続であり,過去に投下した資金を回収するものです。
今までに出題されたものを並べてみます。
第23回 ×
減価償却とは,長期間にわたって使用される固定資産の取得に要した支出を,その資産が使用できる期間にわたって費用配分する会計上の手続きであり,福祉サービスのために利用する土地や建物もその対象となる。
第27回 ×
財務諸表では,「土地」のように価値が上下する資産については,毎期一定の方法により償却計算を行わなくてはならない。
第30回 ×
土地は,減価償却の対象となる資産である。
第33回 〇
減価償却とは,固定資産(土地と建設仮勘定を除く)の取得原価をその耐用年数にわたり費用化する手続であり,過去に投下した資金を回収するものである。
第29回 ×
減価償却費はコストであるため,法人外部に資金流出する。
第32回 ×
減価償却費は,法人の外部に資金が流出する費用である。
出題ポイントは,
土地が対象となるか?
資金は,外部に流出するか?
であることがわかります。
土地は対象になりません。
減価償却は,会計上の処理なので,実際には外部に流出するものではありません。
減価償却は,固定資産を取得した際に,かかった費用を耐用年数で割って,経費として計上します。
外部に資金が出るのは固定資産を取得した時であり,その後の年は帳簿上で経費計上するだけです。
土地も固定資産ですが,建物などのように時間の経過とともに価値が下がるものではないために,土地は減価償却の対象にはなりません。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題122 社会福祉法人の財務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 再投下可能な財産(社会福祉充実残額)を算定しなければならない。
2 土地は,減価償却の対象となる資産である。
3 財務会計は,組織内での使用を目的とする。
4 財務諸表に関する開示義務はない。
5 役員の報酬等の支給の基準を公表する義務はない。
2 土地は,減価償却の対象となる資産である。
これを選ぶ人は今はいないでしょう。国試までしっかり覚えておきましょう。
正解は,選択肢1です。
1 再投下可能な財産(社会福祉充実残額)を算定しなければならない。
2016年(平成28年)に改正された社会福祉法は,社会福祉法人の経営のガバナンスと透明性の強化を目指したものです。
社会福祉法人は,利益の配当が認められていないために,赤字経営ではない限り,過去の利益は蓄積していきます。これは以前に出題されていましたね。
そこで,この改革では,厚生労働省が定めた額以上の社会福祉充実残額がある社会福祉法人に対して,その使い道を定める社会福祉充実計画の作成を義務付けました。
それでは,ほかの選択肢も確認しましょう。
3 財務会計は,組織内での使用を目的とする。
財務会計は,内部でも使いますが,外部に向けたものでもあります。そのために社会福祉法人の会計ルールを定めた社会福祉法人会計基準があります。
4 財務諸表に関する開示義務はない。
もちろん開示義務はあります。
5 役員の報酬等の支給の基準を公表する義務はない。
もちろん公表する義務はあります。