児童委員は,児童福祉法に規定されています。
児童福祉法では,以下のように定められています。
第十六条 市町村の区域に児童委員を置く。 ② 民生委員法による民生委員は、児童委員に充てられたものとする。 ③ 厚生労働大臣は、児童委員のうちから、主任児童委員を指名する。 ④ 前項の規定による厚生労働大臣の指名は、民生委員法第五条の規定による推薦によつて行う。 第十七条 児童委員は、次に掲げる職務を行う。 一 児童及び妊産婦につき、その生活及び取り巻く環境の状況を適切に把握しておくこと。 二 児童及び妊産婦につき、その保護、保健その他福祉に関し、サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助及び指導を行うこと。 三 児童及び妊産婦に係る社会福祉を目的とする事業を経営する者又は児童の健やかな育成に関する活動を行う者と密接に連携し、その事業又は活動を支援すること。 四 児童福祉司又は福祉事務所の社会福祉主事の行う職務に協力すること。 五 児童の健やかな育成に関する気運の醸成に努めること。 六 前各号に掲げるもののほか、必要に応じて、児童及び妊産婦の福祉の増進を図るための活動を行うこと。 ② 主任児童委員は、前項各号に掲げる児童委員の職務について、児童の福祉に関する機関と児童委員(主任児童委員である者を除く。以下この項において同じ。)との連絡調整を行うとともに、児童委員の活動に対する援助及び協力を行う。 ③ 前項の規定は、主任児童委員が第一項各号に掲げる児童委員の職務を行うことを妨げるものではない。 ④ 児童委員は、その職務に関し、都道府県知事の指揮監督を受ける。 第十八条 市町村長は、前条第一項又は第二項に規定する事項に関し、児童委員に必要な状況の通報及び資料の提供を求め、並びに必要な指示をすることができる。 ② 児童委員は、その担当区域内における児童又は妊産婦に関し、必要な事項につき、その担当区域を管轄する児童相談所長又は市町村長にその状況を通知し、併せて意見を述べなければならない。 ③ 児童委員が、児童相談所長に前項の通知をするときは、緊急の必要があると認める場合を除き、市町村長を経由するものとする。 ④ 児童相談所長は、その管轄区域内の児童委員に必要な調査を委嘱することができる。 第十八条の二 都道府県知事は、児童委員の研修を実施しなければならない。 |
そんなに複雑なものはないので,一度目を通せば記憶に残りやすいのではないでしょうか。
気をつけたいのは,児童委員が指揮監督を受けるのは,都道府県知事であることです。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題141 児童委員の職務として,正しいものを1つ選びなさい。
1 児童及び妊産婦について,生活や取り巻く環境の状況を把握する。
2 養育医療の給付を行う。
3 乳児院に入所させる。
4 一時保護を決定する。
5 里親への委託を行う。
児童委員の職務を押さえていなくても,正解できる問題でしょう。
こういったところが,過去最高の合格基準点となった第30回国試らしいと言えるでしょう。
念のために解説します。
1 児童及び妊産婦について,生活や取り巻く環境の状況を把握する。
これが正解です。
ほかの選択肢は確実に消去できると思いますので,知らなくてもこれが残ります。
2 養育医療の給付を行う。
養育医療は,未熟児に対する医療費を支給するもので,根拠法は母子保健法です。
最近は障害者総合支援法の自立支援医療の育成医療(障害児に対する医療)と混同させるようには出題されていませんが,区別してきっちり覚えたいものです。
なお,養育医療も育成医療も市町村が支給します。
3 乳児院に入所させる。
乳児院は,児童福祉施設です。都道府県知事の措置によって入所します。市町村ではありません。
入所は都道府県知事,通所は市町村長と役割が分かれているのです。
4 一時保護を決定する。
児童の一時保護を行うのは,児童相談所です。
5 里親への委託を行う。
里親への委託を行うのは,都道府県知事です。
<今日の一言>
今日の問題は簡単ですが,この問題が都道府県の役割なのか,市町村の役割なのか,を問う問題だったとしたら,難易度が何倍にもなったことでしょう。
制度に関する問題は,実は確実に正解するのは簡単ではないのです。
ぜひ自分でまとめてみてください。そうすると共通するものが見えてくることでしょう。