2022年12月5日月曜日

高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)

サービス付き高齢者向け住宅事業(サ高住)を規定する高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)は,国土交通省と厚生労働省が共同で所管する法律です。


国土交通省がかかわるのは不思議な感じがするかもしれませんが,賃貸住宅は国土交通省が所管しているので,厚生労働省とともに国土交通省もかかわりがあります。


近年,サービス付き高齢者向け住宅事業(サ高住)が急速に増加していることもあり,高齢者住まい法の出題は,サ高住が中心です。


それでは,今日の問題です。


第28回・問題30 高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定されている事項として,正しいものを1つ選びなさい。

1 高齢者の移動上や施設利用上の利便性や安全性の向上を目的とする。

2 国土交通大臣及び厚生労働大臣は,高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針を定める。

3 都道府県は,高齢者の賃貸住宅への入居促進のため,居住支援協議会を組織する。

4 都道府県は,自然災害により被災した高齢者に住宅再建のための支援金を支給する。

5 都道府県は,サービス付き高齢者向け住宅の認可を行う。


かなり難しい問題だと思います。


それでは解説です。


1 高齢者の移動上や施設利用上の利便性や安全性の向上を目的とする。


高齢者住まい法が目的とするのは,高齢者の居住の安定の確保を図ることです。


高齢者の移動上や施設利用上の利便性や安全性の向上を目的とするのは,バリアフリー法です。


2 国土交通大臣及び厚生労働大臣は,高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針を定める。


これが正解です。


高齢者住まい法は,国土交通省と高齢労働省が共同で所管する法律です。


そのため,基本指針を策定するのは,国土交通大臣と高齢労働大臣だということになります。


3 都道府県は,高齢者の賃貸住宅への入居促進のため,居住支援協議会を組織する。


この問題の難易度を上げている理由は,この選択肢でしょう。


居住支援協議会は,「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」(住宅セーフティネット法)です。


この法律は,住宅確保要配慮者(低所得者,高齢者,障害者,被災者など)に対する賃貸住宅の供給の促進を目的とするものです。


4 都道府県は,自然災害により被災した高齢者に住宅再建のための支援金を支給する。


これも根拠法が異なります。

正しくは,被災者生活再建支援法です。しかし,これは対応可能です。


覚えておいてほしいヒントがあります。法律名は,法の内容を示すということです。


自然災害により被災した高齢者に住宅再建のための支援金を支給することが目的なら,法律名に必ずその内容を示すものが入るはずです。


そこから高齢者住まい法ではないと推測することが可能です。


5 都道府県は,サービス付き高齢者向け住宅の認可を行う。


これは誤りですが,確実に覚えておいてほしいものです。

有料老人ホーム等が都道府県知事に登録することでサービス付き高齢者向け住宅となります。認可制ではなく,登録制です。

2022年12月4日日曜日

あきらめない心

今日は前説なしに問題です。


第32回・問題30 文部科学省の「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針」(2017年(平成29年))で示された不登校児童生徒への支援に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。

1 不登校児童生徒が学校へ登校するという結果を,第一の目標としている。

2 不登校児童生徒の意思を十分に尊重し,その状況によっては休養が必要な場合があることに留意する。

3 不登校児童生徒の実態に配慮した教育を実施する「特例校」の設置を促進している。

4 不登校児童生徒や保護者のプライバシーの保護に配慮して,学校や教育委員会による家庭訪問は控える。

5 「チーム学校」体制の整備を,スクールソーシャルワーカーのリーダーシップの下で推進する。


令和元年度カリキュラム改正によって,国家試験の出題がどのようにするのかは現時点(2022年12月)では詳細は不明ですが,平成19年度カリキュラム改正による国家試験の「現代社会と福祉」はかなりやっかいな科目だと言えます。


というのは,勉強する機会がなかったものが出題されるからです。

この問題もいかにもそんな問題です。


こういった問題を目にすると勉強不足を実感すると思いますが,それはほとんどの受験生が思うことです。


それにもめげずに問題に取り組むと多くの場合,よい結果となります。


合格・不合格を分けるのは,最終的には強い心を持っているか,というところにかかっているように思います。


この問題の場合は「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針」を勉強したことがなくても正解できる可能性があることを信じることができることだと言えます。


それでは解説です。


1 不登校児童生徒が学校へ登校するという結果を,第一の目標としている。


学校へ登校することを第一の目標にするなら,今さら指針で示す必要はありません。


学校へ登校することを第一の目標をしないことこそ指針で示す意義があると思いませんか。


2 不登校児童生徒の意思を十分に尊重し,その状況によっては休養が必要な場合があることに留意する。


これが一つ目の正解です。


正解を2つ選ぶ問題の多くは,1つめはわかっても,もう1つで悩むことが多いです。


そのために,消去できるものは消去することが必要です。


3 不登校児童生徒の実態に配慮した教育を実施する「特例校」の設置を促進している。


特例校がよくわからないので,この時点では冷静に△をつけて,先に進みます。


結果的にこれが2つめの正解です。


国家試験では,こういったタイプのものが正解になることがあります。


「こういったタイプ」というのは,「このような施策があります」ということを知らしめるタイプということです。


一度試験に出題すると,それが次の年の参考書に記載されます。


そのため受験者は,その施策について学ぶことになります。その結果としてその施策が周知されていくことになります。


しかし,多くの場合,「こういったタイプ」のものは二度と出題されません。


なぜなら,一度出題することで,目的が達成されているからです。


4 不登校児童生徒や保護者のプライバシーの保護に配慮して,学校や教育委員会による家庭訪問は控える。


家庭訪問を控えることを指針で本当に示しているなら,教育界に未来はありません。


個別に合わせた対応の工夫の芽を摘み取ることになってしまいます。


5 「チーム学校」体制の整備を,スクールソーシャルワーカーのリーダーシップの下で推進する。


迷うのはこの選択肢です。


スクールソーシャルワーカーといってもソーシャルワーカーです。


ソーシャルワーカーがチームのリーダーとなる,といった出題は正解になることはありません。リーダーになることもあるかもしれませんが,いつもリーダーになることが求められているわけではないからです。


スクールソーシャルワーカーはチーム学校のメンバーです。リーダーとなるのは,現場の責任者となる学校長です。


2022年12月3日土曜日

無料低額宿泊所は第二種社会福祉事業です

 無料低額宿泊所は,社会福祉法第2条第3項第8号に規定される「生計困難者のために、無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業」のことで,第二種社会福祉事業に規定されています。


入所系サービスは,第一種社会福祉事業ではなかったの? と思われる人もいるのではないかと思います。


「本来の」無料低額宿泊所は,宿泊施設であり,入所施設ではありません。いやなら利用しなければ良いだけの話です。


「本来の」と書いたのは,無料低額宿泊所を利用して貧困ビジネスを行う事業者がいるからです。


第二種社会福祉事業は,第一種社会福祉事業と異なり,実施主体は限定されません。


しかも認可を受ける必要はありません。


以前は,事業を開始してから1か月以内に届け出ることで良かったこともあります。


現在も届出主義であることには変わりはありませんが,国,都道府県,市町村,社会福祉法人以外の者は,事前の届出を必要とするように法改正されています。


それでは今日の問題です。


第31回・問題69 生計困難者に対する無料低額宿泊所に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 食事を提供することができない。

2 生活保護法の住宅扶助を利用することができない。

3 事業開始に当たっては,都道府県知事の許可を受けなければならない。

4 第二種社会福祉事業である。

5 運営することができるのは,社会福祉法人及びNPO法人に限定されている。


無料低額宿泊所が問題になっていた頃に出題されたものです。


国家試験に無料低額宿泊所が出題されたのは,実はこれが初めてです。日陰の存在的だったものが,奇しくも貧困ビジネス&火災という暗黒面にスポットが当たったわけです。


それでは,解説です。


1 食事を提供することができない。


無料低額宿泊所は宿泊施設ですが,食事を出すことは制限されません。


2 生活保護法の住宅扶助を利用することができない。


無料低額宿泊所を利用していても住宅扶助は利用することができます。


3 事業開始に当たっては,都道府県知事の許可を受けなければならない。


無料低額宿泊所は,第二種社会福祉事業なので,届出だけで設立できます。


4 第二種社会福祉事業である。


これが正解です。


無料低額宿泊所は,第二種社会福祉事業です。


5 運営することができるのは,社会福祉法人及びNPO法人に限定されている。


無料低額宿泊所は第二種社会福祉事業なので,設置主体は限定されません。


2022年12月2日金曜日

第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業

 学校によっては,第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業を覚えさせるところもありますが,そこまでして覚える必要はないように思います。


基本を覚えた上で例外を押さえるのが効率的かつ確実な覚え方です。


第一種社会福祉事業は,入所系。


第二種社会福祉事業は,通所系及びその他。


〈例外例〉

入所系ではないのに,共同募金は第一種社会福祉事業。


それでは今日の問題です。


第32回・問題22 社会福祉法の内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 福祉サービス利用援助事業は,第一種社会福祉事業である。

2 市町村は,地方社会福祉審議会を設置しなければならない。

3 市町村は,社会福祉事業等に従事する者の確保に関する基本指針を定めなければならない。

4 都道府県は,都道府県地域福祉支援計画を策定しなければならない。

5 共同募金は,都道府県を単位として毎年1回実施される。


福祉サービス利用援助事業が出題されてドギマギした人もいたのではないかと思います。


過去には,以下のような出題があります。


〈第23回〉

日常生活自立支援事業は国庫補助事業であり,第二種社会福祉事業に規定された「福祉サービス利用援助事業」に該当する。


これは正解です。


日常生活自立支援事業は,平成11年に地域福祉権利擁護事業として始まり,平成12年の社会福祉法によって,第二種社会福祉事業となり,平成19年に日常生活自立支援事業となりました。


第23回に出題されたように,日常生活自立支援事業は,社会福祉法では,福祉サービス利用援助事業に該当します。


福祉サービス利用援助事業と出題されたら,日常生活自立支援事業のことである,と置き換えて考えることが必要です。


そうすれば,第一種社会福祉事業ではないだろうと推測可能です。


それではほかの選択肢も確認します。


2 市町村は,地方社会福祉審議会を設置しなければならない。


地方社会福祉審議会を設置しなければならないのは都道府県(及び指定都市&中核市)です。


3 市町村は,社会福祉事業等に従事する者の確保に関する基本指針を定めなければならない。


社会福祉事業等に従事する者の確保に関する基本指針を定めるのは,厚生労働大臣です。


「基本●●」(基本計画や基本指針など)は基本的に中央政府が策定します。ただし,基本構想の策定は,地方公共団体の役割です。


4 都道府県は,都道府県地域福祉支援計画を策定しなければならない。


都道府県地域福祉支援計画の策定は努力義務です。


5 共同募金は,都道府県を単位として毎年1回実施される。


これが正解です。現在(2022年)は,10/1~3/31の間に実施されています。

2022年12月1日木曜日

社会福祉法の成立

社会福祉法は,従来の社会福祉事業法を2000年に改正したものです。

 

それでは今日の問題です。

 

第31回・問題30 社会福祉法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 第一種社会福祉事業の経営は,国・地方公共団体に限定されている。

2 2000年(平成12年)の社会福祉基礎構造改革の際に,社会福祉事業法の題名が改められたものである。

3 「社会福祉事業」を行わない事業者であっても社会福祉に関連する活動を行う者であれば,社会福祉法人の名称を用いることができる。

4 市町村に対して,福祉人材センターの設置を義務づけている。

5 国,地方公共団体と社会福祉事業を経営する者との関係を規定した「事業経営の準則」は,社会福祉法では削除された。

 

不思議な問題です。この時に受験した人はあっけにとられたのではないかと思います。

 

正解は,内容を問われたものではなかったからです。

そのため,何か裏があるのではないかと思って,正解を選ぶことができないのです。

 

それでは解説です。

 

1 第一種社会福祉事業の経営は,国・地方公共団体に限定されている。

 

重要なものが抜けています。

 

このほかに社会福祉法人が含まれます。

 

2 2000年(平成12年)の社会福祉基礎構造改革の際に,社会福祉事業法の題名が改められたものである。

 

これが正解です。

 

制度の内容ではなく,題名が変わったことを問う問題です。

 

実に不思議な問題です。

 

3 「社会福祉事業」を行わない事業者であっても社会福祉に関連する活動を行う者であれば,社会福祉法人の名称を用いることができる。

 

社会福祉法人は,社会福祉事業を行うことを目的とする特別法人です。

 

社会福祉事業を行わない法人は,社会福祉法人として認可されることはありません。

 

4 市町村に対して,福祉人材センターの設置を義務づけている。

 

福祉人材センターは,都道府県が指定します。

 

また,設置は任意です。

 

5 国,地方公共団体と社会福祉事業を経営する者との関係を規定した「事業経営の準則」は,社会福祉法では削除された。

 

事業経営の準則

第六十一条 国、地方公共団体、社会福祉法人その他社会福祉事業を経営する者は、次に掲げるところに従い、それぞれの責任を明確にしなければならない。

一 国及び地方公共団体は、法律に基づくその責任を他の社会福祉事業を経営する者に転嫁し、又はこれらの者の財政的援助を求めないこと。

二 国及び地方公共団体は、他の社会福祉事業を経営する者に対し、その自主性を重んじ、不当な関与を行わないこと。

三 社会福祉事業を経営する者は、不当に国及び地方公共団体の財政的、管理的援助を仰がないこと。

 

このように,事業経営の準則は,現在の規定があります。

 

廃止された規定を出題してそれを正解にするのは,問題の意義として弱いように思います。

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