無料低額宿泊所は,社会福祉法第2条第3項第8号に規定される「生計困難者のために、無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業」のことで,第二種社会福祉事業に規定されています。
入所系サービスは,第一種社会福祉事業ではなかったの? と思われる人もいるのではないかと思います。
「本来の」無料低額宿泊所は,宿泊施設であり,入所施設ではありません。いやなら利用しなければ良いだけの話です。
「本来の」と書いたのは,無料低額宿泊所を利用して貧困ビジネスを行う事業者がいるからです。
第二種社会福祉事業は,第一種社会福祉事業と異なり,実施主体は限定されません。
しかも認可を受ける必要はありません。
以前は,事業を開始してから1か月以内に届け出ることで良かったこともあります。
現在も届出主義であることには変わりはありませんが,国,都道府県,市町村,社会福祉法人以外の者は,事前の届出を必要とするように法改正されています。
それでは今日の問題です。
第31回・問題69 生計困難者に対する無料低額宿泊所に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 食事を提供することができない。
2 生活保護法の住宅扶助を利用することができない。
3 事業開始に当たっては,都道府県知事の許可を受けなければならない。
4 第二種社会福祉事業である。
5 運営することができるのは,社会福祉法人及びNPO法人に限定されている。
無料低額宿泊所が問題になっていた頃に出題されたものです。
国家試験に無料低額宿泊所が出題されたのは,実はこれが初めてです。日陰の存在的だったものが,奇しくも貧困ビジネス&火災という暗黒面にスポットが当たったわけです。
それでは,解説です。
1 食事を提供することができない。
無料低額宿泊所は宿泊施設ですが,食事を出すことは制限されません。
2 生活保護法の住宅扶助を利用することができない。
無料低額宿泊所を利用していても住宅扶助は利用することができます。
3 事業開始に当たっては,都道府県知事の許可を受けなければならない。
無料低額宿泊所は,第二種社会福祉事業なので,届出だけで設立できます。
4 第二種社会福祉事業である。
これが正解です。
無料低額宿泊所は,第二種社会福祉事業です。
5 運営することができるのは,社会福祉法人及びNPO法人に限定されている。
無料低額宿泊所は第二種社会福祉事業なので,設置主体は限定されません。