今回は,市町村社会福祉協議会の役員に占める関係行政庁の職員の割合を学びたいと思います。
社会福祉法では,以下のように規定されています。
第109条の5 関係行政庁の職員は、市町村社会福祉協議会及び地区社会福祉協議会の役員となることができる。ただし、役員の総数の5分の1を超えてはならない。 |
地味な規定ですが,国家都市には忘れた頃に出題されています。
過去の出題実績
第7回(再試験)
第9回
第11回
第23回
第32回
現時点(第35回国試の直前)では,第32回に出題されたばかりなので,もうしばらく出題されないかもしれません。
何を言いたいかと言えば,近年の出題は,過去3年間や過去5年間の過去問を解いても,出てこない範囲にあるということです。
それに対して,第7(再),9,11回は,1年おきに出題されています。この当時に受験した人は,過去3年間の過去問を解けば対応できました。
年を追うごとに覚えるべきものが増えてきているので,参考書にあるものをまんべんなく覚えることが必要です。
この勉強がなければ,国家試験に合格することは難しいように思います。
なお,第7回(再試験)は,1995年の阪神・淡路大震災で受験できかった人のために,同年7月23日に再試験を実施したものです。
これまでの国家試験で再試験が実施されたのは,このときのたった1回です。
このくらいのことが起きなければ,再試験は実施されないということでしょう。
降雪などで時間が繰り下げられて実施したことはあります。その時は,一般の会場で受験した人も遅く始めた会場が終了するまで会場内で待機させられたらしいです。
それでは,今日の問題です。
第23回・問題36 社会福祉協議会に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 都道府県社会福祉協議会が実施することとなっている日常生活自立支援事業の委託先は,市町村社会福祉協議会に限定されている。
2 地域福祉計画は,市町村社会福祉協議会が中心となって策定する地域福祉活動計画と一体的に策定するよう社会福祉法に義務づけられている。
3 関係行政庁の職員は市町村社会福祉協議会の役員になることができるが,役員総数の5分の1を超えてはならない。
4 市町村社会福祉協議会には,第一種・第二種社会福祉事業の企画及び実施が義務づけられている。
5 市町村社会福祉協議会は,社会福祉を目的とする事業を経営する者を会員にすることができない。
正解は,選択肢3です。
3 関係行政庁の職員は市町村社会福祉協議会の役員になることができるが,役員総数の5分の1を超えてはならない。
過去の出題は2パターンになっています。
①正しく5分の1として出題されるもの
②5分の1をほかの割合に変えて出題されるもの,またはその派生
調べてみたら,「関係行政庁の職員は市町村社会福祉協議会の役員になることができない」という出題はありませんでした。この出題がされないほど,多くの市町村社協では関係行政庁の職員が役員になっていることだということなのだと思います。
この出題だと消去しやすいという理由もあるのかもしれません。
それでは解説です。
1 都道府県社会福祉協議会が実施することとなっている日常生活自立支援事業の委託先は,市町村社会福祉協議会に限定されている。
日常生活自立支援事業は,市町村社会福祉協議会以外にも委託することができます。
2 地域福祉計画は,市町村社会福祉協議会が中心となって策定する地域福祉活動計画と一体的に策定するよう社会福祉法に義務づけられている。
こんな規定はありません。
地域福祉活動計画は,根拠法のない民間計画であることを忘れてはなりません。
4 市町村社会福祉協議会には,第一種・第二種社会福祉事業の企画及び実施が義務づけられている。
社会福祉法で規定されている市町村社会福祉協議会が実施する事業は以下のとおりです。
一 社会福祉を目的とする事業の企画及び実施
二 社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助
三 社会福祉を目的とする事業に関する調査、普及、宣伝、連絡、調整及び助成
四 前三号に掲げる事業のほか、社会福祉を目的とする事業の健全な発達を図るために必要な事業
なお,しゃかい
5 市町村社会福祉協議会は,社会福祉を目的とする事業を経営する者を会員にすることができない。
市町村社会福祉協議会は,社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加して構成されています。